愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

ロンドン散歩:ファサーディズム

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街を歩くと、様々な歴史に出会うロンドン。古い町並みや建物が残る中にも、近代的なビルも立ち並びます(まあ世界の大都市なんてみんなそうか)。

Spitalfields Market周辺をウロウロしている時に見かけた、こちらはフルーツ・ウールの取引所。

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と思って中に入ってみたらびっくり

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古い外観とは裏腹に、ビルの中はピカピカの現代的なビルになっていました。というか、写真の右側が、外壁の裏側になっています。つまりは外から見えている窓は、ダミーというか、実際に使われている窓というわけではなかった。なんというか、映画のセットのようなハリボテ風。

果物を取引してた建物の1階にサラダバーがあるというのもなんだかいいですね(笑)他にもUNIQLOの店舗が入っていました。

こうやって、昔の建物のファサード(建物正面の外壁、とでも言うんでしょうか)だけを保存して、その周辺に新築のビルを建てたりする方法をファサーディズムというそうです(建築学的に完全に正しい説明なのかは自信が無いw)。

古い建物の中を改装して、人が住んだりオフィスにしたりする・・・というのは良くあることですが、これは保存するのは建物の手前部分のみ。

ワシントンDCに住んでいた時、近所の建物がこの方法で新築というか改築されていて、その過程を通り過ぎるたびに見ていたことがあります。正面の壁を除いて建物が全部壊され、まるで映画「21世紀宇宙の旅」のように更地に一枚の壁だけどーんと残されていたのが印象的でした。

建物の中を改装して使い続けるという方法もあるけれど、これだと外は景観を保ちつつ、中は完全にモダンな環境を作ることができる・・・という点ではなかなかよろしいのかと思われます。

一方こちらは、後日また同じ地域をウロウロしている時に通りがかったファサーディズム建築。

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・・・なんじゃこりゃあ

うまく写真が撮れてないんですが、ストリートビューだとこんな感じ

なんだか後ろの建物と窓の位置さえ一致してない感じ。これ、もともとCock & Hoop Tavernという酒場だった建物の外壁なんだそうです。その壁の後ろに建っているのは、LSE(London School of Economics)の学生用住宅。部屋の中からの壁の眺め、日当たりともどうなってるんでしょうね。

歴史的な壁、残しときゃいいんでしょ!とばかりに、建物との融合などを考えずにこのような形で建っているファサーディズム建築も色々あるようで、後で見てみたら、特にこの壁は、色んなメディアや建築ブログなどで、ファサーディズム批判の例として良く取り上げられていました。

古い外壁の上にちぐはぐな近代建築が乗っかっている、酷いファサーディズムの例はこちらにも。

www.theguardian.com

このLSE学生寮の一部、反対側を回ってみると、こんな感じで男女別の入り口が残っている古いビルも繋がっていました。

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この建物はもともと1860年ごろに建てられた、ホームレスシェルター的な施設だったんだそう。日本で言ったら幕末ですねぇ。

この寮のすぐ横にはアメリカ時代にあこがれだったレストラン、オトレンギがあったり、市場もヒップでお洒落な場所になってはいますが、その昔は貧困にあえぐスラム街だったエリアだった名残り。社会保障など無い時代ですから、教会などの慈善団体がこういう施設を建て、貧困層の救済にあたっていたようです。

100年以上前にこの施設を作った団体も、今は別のところでホームレス救済活動を続けているそう。