愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

子連れウィーン旅⑦シェーンブルン宮殿

電車にちょっと乗り、ハプスブルグ家夏の離宮シェーンブルン宮殿を訪れた。

駅を降りて少し歩くと広大な庭園の広がる宮殿にたどり着く。付近には大道芸人に並んで、ここでもモーツァルト的コスプレをしたおじちゃんが、宮殿で開かれるクラシックコンサートのチケットを売っている。

選ばれたものだけが住み、歴史に残るようなあれやこれやが繰り広げられていた場所も、時代が過ぎれば庶民がわらわらとやってきて、建物の中から調度品からじろじろと見まわしていく場所になっていく。

マリアテレジアがここで権勢をふるい、マリーアントワネットがこの庭を走り回り、皇妃エリザベートがメランコリックな日々を過ごした場所。色々な人々が入れ代わり立ち代わり、国を回し王朝を維持するためにここでワチャワチャやっていたんだろうが、今となってはもう、豪華な内装や家具だけが残された、賑わってはいるけれど本来の目的とはかけはなれた、ちょっとポカンとした空気感。できるものならタイムマシンにのって当時の空気を感じてみたいもんだ。

城や宮殿に行くと、昔ここに住んでいた王様や貴族たちは、まさか数百年後にこんな形で人々がやってくる場所になってるとは、思わなんだろうなあ・・王朝の興亡、民主主義の興隆、次にこんな場所になるのは、どこだろう?などとどうでもいいことを考えたり。

ハプスブルグ家の面々、オーストリアについては、我が家の本棚にあるこの本を何度も読み返している。

皇妃エリザベートについてはミュージカルになったりしているぐらい有名だけれど、初めて知って興味を持ったのはやはり塚本さんの著作から。

シシィと呼ばれ、今も美貌と悲劇の皇妃として愛されているエリザベートの姿はこの宮殿のあちこちでも街中でも、冷蔵庫にくっつけるマグネットや、マグカップスマホケースや、そしてチョコレートのパッケージになって並んでいる。ウィーンでの生活を嫌い、逃げるように各地を放浪していた彼女、きっとこの場所でも鬱々とした日々を過ごしていたのではと思うが、そんな場所で自分の姿がこんなふうに使われているのを見たら、いやな顔をするだろうか、クスっと笑うだろうか。

とはいえ、黄金の代わりに黄色く塗られたというこの宮殿、ゴテゴテしておらず、富と権勢をこれでもかと顕示して来るものを威圧するでもなく、威厳と豪華さの中にも安心感もあったような。さすがハプスブルグさんちは趣味がいい。

ハプスブルグ家の子供達が過ごした部屋や、当時の子供の暮らしぶりもわかる子供博物館にも入ってみた。壁一面にジャングルのような壁画が描かれた楽しい部屋。子供達をわくわくさせようとしたんだろうなー、と微笑ましい。

なるべくプライベートな家族の時間が取れるようにと、召使いもあまり入れずに自分たちだけで食事ができるような仕掛けとして、階下から食事のテーブルが舞台装置のようにせりあがってくるようにしてあるダイニングルーム、なんていうのもあった。贅沢で恵まれた子供時代を過ごせるといっても、将来は政治を担い、自由もそれほどきかず、厳しい教育も。そんな中でのちょっと無邪気で幸せな家族の団らんがあったのかも。

今の時代の庶民として、好きな時にこういうところに来て、自由にこういうのを見学できる側だというのは、なんぼ気楽なことかw

5月のウィーン、天気は崩れがちで、この日も雨が降ったりやんだり。そんな中、歩きたくないとぐずる子供をアイスクリームとポケモンGoでつりながら丘を登ったり、腰が痛いといいつつ良く歩いた。特別な庭園や、宮殿に入らないのであれば、敷地の中には自由に入れるようなので、ジョギングしている人もちらほら。高低差もあるからトレーニングにはもってこい、なんて贅沢なコース!