愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

ハリーポッター・スタジオツアー

ロンドンに来てから、ハリー・ポッターにドはまりした小さいさん。

以前は「ハリーポッター怖い」といって見向きもせず。

マギー・スミスを見ても、たいていの子供はハリー・ポッターのマクゴナガル先生だ!と反応するところを、マクゴナガル先生の恰好をしているマギー・スミスのポスターを指さして、「あ、ダウントンアビーの人だ!」と違う方向に興奮する位に興味がなかった。

しかし半年前に本を読み始めたと思ったら止まらなくなり、あっという間に全シリーズを読破。

どの本も1回ずつしか読んでいないはずだけれど、恐るべきはその記憶力で、登場人物名からセリフ回しからいろんなことを語り始めるとキリがない。多分学校で友達同士でも色々話しあっているんだろうけれど、ハリポタの威力って、やはりすごいですね。

私は大昔に1冊目を読み、魔法系の話にそこまで惹かれず、その後本も読まず映画も見ずじまいだったけれど、子供と一緒に映画も少しずつ見始めて、結構話がダークなのに驚いたりもした。

そんな小さいさんがクリスマスにリクエストしたのは、「ハリー・ポッターのスタジオツアー」。

「サンタの家にはネットが無いので、ハリーポッターのチケットを取るように、両親に魔法をかけておいた」とサンタさんからお手紙がきたものの、両親にようやく魔法がかかったのは、クリスマスから1か月後。かなり人気のようで、1月にようやく5月のチケットが取れたので、先日行ってきた。

ハリーポッターの撮影が行われたワーナー・スタジオまで、電車を乗り継いで2時間弱。駅前から専用バスに乗り、イギリスならではの緑の平地と住宅が混ざった閑散とした空間を抜けるとドーンと・・

ハリー・ポッターにそこまではまってない私でも、このチェスの駒、何だったかわかる!!

実際に撮影に使われたセットや小道具などが展示してあるこのスタジオ。一部はこうやってツアーの対象になっているが、広大な敷地にある別棟では、たぶん他の映画撮影もやっている。

驚いたのは、子連ればかり来る場所だと思っていたらそうでもなかったところ。とはいえハリー・ポッターのシリーズ開始から20年たっているし、老若男女に愛されているシリーズなのだから当然といえば当然だった。

実際の撮影に使われたホグワーツの食堂(思っていたより狭い)、衣装や小道具の数々。

衣装を見ただけで映画の登場人物をぱっと思い浮かべることができてしまう。ハリー・ポッターの世界が確固たるものとして出来上がり、人々の意識にしっかりと植わっている証拠。すごいよなあ。

髪型さえそう。登場人物によっては、地毛だと思っていたものも実はカツラだったというのは驚きだった。

あれも見た、これも見た・・と写真の解説をするとキリがないが、じっくり見ると3-4時間以上はかかるこのスタジオ。

あくまで役者や映画の展示ではなく、映画撮影に使われたセットなどの展示なのだが、圧倒されるのはその精密なデザイン。背景に出てくるこういう絵画も、一点一点しっかり描かれているわけだし、

そこで使われる小道具の数々も、考え抜いて作られたり、どこからから入手してきたりするわけだし、

こういうものを作って動かすエンジニアリング力も必要であり、

ダンブルドアの校長室も、実際の建築力学にかなう形で設計されているが、魔法の世界的なイメージが保たれたデザインになっている。映画って役者だけでなく、そういういろんなスキルが終結してできるものなのだということが、ぐわーっと伝わってくる。

校長室に飾られている絵は、みんな寝ている(笑)

実際に設計事務所が作るような模型もたくさん置いてある。個人的には、こういうセットのデザインをした人や裏方の人達が、デザインの背景などのインタビューに答えるビデオがとても良かった。

このツアーは、役者ではなくてそういう人達に敬意を表したくなる、そしてそういう技術やデザインにスポットライトが浴びるようになってるのがとても良いと思う。

こういう小物のデザイン・制作、そして撮影時には管理したりする仕事も発生するわけで。

ハリポタ界の林家パー子、アンブリッジ先生。ドレスがかわいいが、かなりLLサイズだ!

ピエール瀧!・・・ではなくてケンタウルス。CGだと思っていたものも、実はこういう実物大のロボット的なものをわざわざ作り、撮影していてそれも驚きだった。

こういうのも、羽を一本一本刺して作っている。そして動く。こういうものをひとつひとつ作る労力とエネルギーと・・色々考えるとちょっと頭が小爆発を起こしそうになる。



セットで使われる新聞や本などもきちんと作りこまれている。これは壮大な製作費が必要になるに決まっている。

とにかく巨大なセットにも細かい小道具にも圧倒される。

小休止はバタービール。バタースコッチ味の甘ったるいソーダで、この味のソフトクリームも売っている。日本でもUSJで売っているらしいが、頭痛がするほど甘かった!



おじさん・おばさんの家のセットは、さすがにハリボテっぽい感じになっていて、ああやっぱり映画のセットだよなと逆に安心する。

いじわるないとこ、ダドリーが小学校からもらった賞状は「毎日ランチを残さず食べるで賞」

学校の建物は実在しない。こういうセットとCGを組み合わせて映像にしている。

圧巻だったホグワーツの模型。これを概観の撮影に実際に使っている。学校の外をロンが歩き回るシーンでは、役者がトレッドミルをただひたすら歩いている姿を、この模型の外観、そしてCGで作った雪と合成して作ってあった!ハァ~!!!こうやって実在しない世界が作り上げられていたなんて。

ワーウィック・デイビスがシリーズで演じた色々な役柄の特殊メイク。

そしてセットの中で食堂よりも感動したのがこのグリンゴッツ銀行のセット。本当の本当に、古い銀行の中にいるみたい。

ゴブリン役のエキストラの人達が使った特殊メイクのマスクも、役者一人一人、顔が違う。これもみんなの顔の型をとり、マスクのデザイン、制作をし、そして撮影時には役者一人一人に特殊メイクを施し・・。とまた考えるとぬおーっと脳みそが・・。

この立派な石柱が立っているように見えるセットも、近くで見ると実際は絵だというところがまたセットらしくてとても良かった。

しかし次の部屋では、この銀行、破壊される。この破壊時の音声や、モンスターの鳴き声などもどこかでどうにかして作っている訳で、これまたすごい・・・とまた脳みそがパコーン。

とにかく、このツアーは、想像力と創造力と経済力が一体化した時に、どんなものが生み出されるのかということをこれでもか、これでもかと見ることができる、とても良いツアーだった。

もちろんスターウォーズとか、他にもお金をかけて作られている映画シリーズは沢山あるけれど、ハリーポッターは魔法使いの世界が舞台であるぶん、もっと日常の世界や歴史・美術にも関係しつつも、もっと詳細で奇抜で不思議な世界がそこにある。それを現実のものとして見せようとする沢山の人達のエネルギーは凄かった。

他にも映画に登場する動物を訓練する人、それこそ映画にかかわる沢山の人達にご飯を作る人、もうありとあらゆる役割職業がかかわって映画ができている・・・。そういうクリエーティブな世界、そしてなによりハリーポッターの夢のような世界が見れて、そして小さいさんにも見せられてとても良かった。

できたらもう一度映画をじっくり見てから、もう一度来てじっくり見てみたい気もする。