愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

【子供の本棚】女装する王子様の話

8歳児の小さいさんはグラフィックノベルを随分愛読している。何というか、日本のコミックともちょっと違う感じの海外の漫画本。

その中でもこの本はお気に入りらしく、アメリカから持ってきて何度も何度も読んでいる。

The Prince and the Dressmaker

The Prince and the Dressmaker

ある王国の王子セバスチャン。両親は彼のお妃探しに懸命だけれど、実は彼の趣味は女装。もちろんこのことは誰にも秘密。

そして彼が出会った身寄りのないお針子フランシス。斬新なデザインのドレスを作る彼女にセバスチャンは秘密を打ち明け、フランシスは王子の専属ドレスメーカーになる。

いつかデザイナーとして成功を夢見るフランシスと、ドレスを着て「レディ・クリスタリア」になり、パリのファッションシーンで人々を魅了しつつ、王子としての立場責任との間で葛藤するセバスチャン。

セバスチャンを応援しつつも、いつまでも彼の秘密に付き合っていると、デザイナーとして世に出ていくことができないと葛藤するフランシス。そんなふたりの友情の物語。

ここで描かれているセバスチャンは「綺麗なドレスを着るのが好きな男の子」。彼のセクシュアリティについてまでは言及は無い。フランシスとの間にぽっと恋のような感情が芽生えるシーンもある。女の子になりたいゲイの王子様、というある意味「ああまた典型的なダイバーシティの話なんでしょこれは」と思わせるキャラクター設定じゃないところもいいし、そこまで「みんながみんなオンリーワン!」的なメッセージ性前面丸出しストーリーでない所も良い。終わり方もそこまできっぱりしているわけではない、気もする。

思えば小さいさんを育てているにあたり、あまり「女の子だから」とか「女の子らしく」、というコンセプトで子供の行動を制限または矯正するような場面は内外ともにあまり無いように思われる。

ただし買い物になると、洋服に関してはやはり売り場に行くと女の子はピンク!男の子は青!とか、おもちゃ屋に行くと女の子のコーナーはピンクでお人形や赤ちゃんお世話セット、男の子のほうは車輪のついたものや銃的なもの・・と明らかに分かれて売っているので、あ・・・と性別による仕分け?的なものにハッと気付かされることもある。

スターウォーズが大好きな小さいさんであるが、ピンクのレイア姫のイラストのTシャツではなくて、もっとリアルなBB-8のTシャツが欲しかったので、男の子のコーナーに行って黒いのを買い求めたり、トランスフォーマーで遊びたいというので誕生日プレゼントにお友達にリクエストしたこともあったな。

別に男の子っぽい性格でそういうものが好き、ではなくて、単に好きだから。だって面白いんだもの、という小さいさん。まあそうだよね。それをかなえるために、時々世の中にある男女別のちょっとした境界線をぴょん、と飛び越える。子供といると自由で、そういうちょっとしたコンセプトがあることも忘れてしまうことがある。

この本の話は王子様だし時代設定も昔なので、好きにドレスを着たくても色々社会的な制約キツメでお気の毒ではあるが、男だろうが女だろうが、綺麗だから好き、かっこいいから好き、面白いから好き、という根本的な気持ちを当たり前に尊重される世界に今のところ住んでいる小さいさん。どういう気持ちでこの本を何度も読み返しているのかはよくわからないけれど、なんだかいいね、と思うのだった。