愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

マリークワント展

V&A Museumでやっているマリークワント展がとても良かった。

デイジーのマークでおなじみのマリークワントは、私の世代にはコスメブランドのイメージが強いのだけれど、戦後、ミニスカートなど若者のファッションを生み出し、イギリスにファッションという新しい産業を作り出し、とにかくこんなに可愛くてかっこよくてワクワクする洋服の数々を作っていた、というのがすごく伝わる展示だった。今でも着てみたい!と思うドレスが沢山。

女王様に大英帝国勲章をもらった時に着ていたジャージのドレス。着心地がすごく良さそう。

美術学校を出ているけれど、ドレスメーキングについてはアマチュアだったというマリーさん。チェルシーにオープンしたお店Bazaarを開けたときは21歳というからすごいなあ。ハロッズから生地を買って、最初は自分で縫ったりしていたんだって。

初期のころのデザインは、可愛くて上品。こういうのも大好き。欲しい欲しい。

当時の値段が書いてあるのだけれど、ポンドじゃなくて、ギニー!今のお値段にしても、お安くないものも多い。

この展示のために、一般の人から昔のマリークワントの服を集めようと#wewantquantというハッシュタグを使ったキャンペーンもあったそうで、色んな人が来たマリークワントのドレスが、当時の思い出とともに展示されていたのもとても良かった。

私立校の校長秘書とか、必ずしもそんなにお給料の良い職業ではないけれど、憧れて買った服。結婚式参加のため、彼氏の両親に初めて会うため、社交界デビューのため・・色んな背景の人に、色々な理由で買われていったドレス、そしてそれを着たときどんなにワクワクしたかが書かれている。自分にはそんな思い出のドレスあるかな?

平日に行ったせいか、お客のほとんどはかなり年配のおば(あ)様達。(そのせいか?チケットを買うときに「学生さんですか?(学割あるよ)」と聞かれたww)

まさしく60年代ごろに青春を謳歌していただろう年代で、当時ブティックがあったチェルシーの映像を見ては、あそこにあれがあった、どうだったと楽しそうに話していたり、服の値段を見て、自分の初任給は70ポンドだった、そこから下宿代(食事つき)として月3ポンド払っていた、なんて話をしているので、展示も見たいけれど話も盗み聞きたいし(笑)で、つい挙動不審の耳ダンボになってしまう。

こういうファッションが載っている写真を切り抜いては、スクラップブックを作ったりしていたそう。可愛いなあ。

友達や旦那さんとビジネスを始めたマリーさん、適材適所に能力がある良い仲間がいた、というのも成功の理由だったんでしょうね、初期の映像では、彼女がデザインした服をモデルに着て歩かせ売り込むセールス担当のおじさんの様子も写っていたけれど、それを見たおばさまたちは「でもやっぱり男がビジネスを牛耳っていたのね」と厳しい視線。

イギリス発のファッションを海外にも輸出して、ある意味戦後のイギリスの産業や経済の立て直しにも貢献した、という功績もあるんだって。実はマリーって言う位なので若い頃は、フランスのブランドなのかとも思ってたこともあった位全然そんなことに注意を払っていなかった・・。

昔ながらの制服や、ビクトリア時代の服、男の子用の服など、色々なデザインからもインスピレーションを受けたものもあるけれど、それにしてもこんなに色々楽しいアイデアが沸いてくるの、すごいなあ。

ものを作り出す人は、たえず退屈に感じているものだ・・的なことを話しているマリーさんの映像も印象的だった。今の装いは退屈でつまらない、自分は未来のファッションを作りたい・・と思い切りカメラ目線で語っていた。服が変われば、メイクも変わる、というのも、化粧品開発に乗り出した理由だそうで。

これこれ。自分の中では、これが一番見慣れたマリークワント。今でもデパートのコスメカウンターは敷居が高いが、当時もやはり若い子がそういうところで化粧品を買うのは勇気がいる部分もあったようで、ナチュラルで若くてフレンドリーな売り子さん、そして手書きで化粧品の使い方を解説した漫画風のチラシがとても受けたらしい。

ベレー帽や口紅、マニキュアなどは売店でも売ってた。帽子欲しいかなと思ったけど、結構ペラペラだったので買わず。

マリークワントデザインの型紙も。編み図を買って、どこだかのお母さんが編んでくれたニットドレス、というのも展示されていた。こんなの自分で作れたら楽しいだろうなあ。

ちょうど今成人式の時期で、親が着ていた振袖を自分も着たなあ・・といった話題が友達の間であったのだけれど、マリークワントのドレスも、40年にわたって、子供や孫も着た、なんていう人のエピソードも展示の中にあった。と思えば、もう何度も着すぎて、文字通りボロボロになってしまい、とうとう捨てるしかなかった、とインタビューで話している人も。

材質的にも、振袖ほどは長持ちしないんだろうなあ、ジャージ生地とか穴あくし。そう思うと、ちと残念。

実はロンドンに来てからほとんどまったく服を買っていない。好きなデザインと体形の不一致、こういうデザインって、着たいけど、それこそツイッギーとか。野宮真貴とか、しゅっと細い人が一番似合うよなあ。

といいつつ、展示されているドレスは結構、巨大じゃね?というような大きいのも随分あったけれど・・。

このデザインに憧れる、欲しい!と心から思える服が最近無く、なんだか最近適当すぎる格好ばかりしてしまっているのだけれど、このファッションのワクワク感、いいなあ、いいなあ。

着せ替えもできちゃう、デイジーちゃん人形。

こうやって見ると、私の頃のリカちゃんって、バービーとかじゃなくて完全にこの顔だった。

これはキモノ風。そういえばマリークワントって日本にはまだショップがあるみたいだけれど、ロンドンにはもう無いみたいだし、ウェブサイトを見てもメインは完全にコスメだし、なんだか勿体ないなあ。

こういう感じの柄の服、母や祖母が着ていたなあ。80年代には70年代の服は超絶ダサく感じて、90年代には80年代のファッションがありえなすぎたのに、今になるとどの時代のファッションも戻ってきて、これも全然アリに見える。昔はなぜこの柄・・・?!と意味不明すぎたのに。

時々おしゃれなおば様がいて、ついつい見てしまう。

私が年取って、懐かしく見るのはどんな展示かな。

マリークワントの自伝も売店で売っていたけれど、何冊かあるらしい。ちょっと読んでみたいかな。それより写真集を買えばよかった。

尻出しフリル。小さいさんが赤ちゃんの頃、オムツの上にこんなのはいてたなーとか

おしゃれなドラえもん

またこんなデザインの服を出してくれればいいのに。今のマリークワントブランドのラインアップをオンラインで見て、ちょっと残念な気持ちにもなったけれど、久しぶりにワクワクするキレイなものが見れてとても良かった。

もう少し暖かくなったら、自分が買えそうなワクワクがないか、どこかにウィンドーショッピングに行かなきゃ!

おまけ:

裁縫できる人は、V&Aが解説付きで型紙を公開してるよ!

Sew your own: Mary Quant-style minidress · V&A

Sew your own: Mary Quant 'Georgie' dress · V&A

追記:

マリークワント、なんと日本の会社に買収されていたのね・・この記事では、ある意味日本人ビジネスマンに自分のブランドから追い出された的な感じで書かれているけれど・・。

www.theguardian.com