愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

聖★ジョージさん

春の陽気が大分心地よくなってきたロンドン、でも油断するとすぐ風が冷たくなるロンドン。

今週末は特に何かが飛び始めたのか?ロンドン暮らしも数年が経ち、とうとう許容範囲を超えてしまったのか?激しいクシャミと滝というより緩んだ水道の蛇口のように鼻水が流れて止まらないという状況がとうとう始まってしまった。辛み・・

4月23日はセント・ジョージの日ということでトラファルガー広場でのお祝いにちょっと寄った。

音楽あり、屋台アリ、色々パフォーマンスあり。

ブラスの演奏を皆さん直立不動で楽しんでるなか、一人踊りまくる人にカメラ注目(私の写真では躍動感全く伝わらず)

もう一人参入、脱いだサンダル両手に持って、フィニッシュにはサンダルが宙に舞う。吹っ切れている大人は、とても良い。

地味に盛り上がっていたこのお祭り、セント・ジョージという聖人を祝うもの。なんでもこのジョージさんはイングランド守護聖人なのだそう(イングランドの、であってイギリスの、ではない)。

国に守護聖人がいたとは知らなかったが、アイルランドだったらセントパトリックさんとか、そういうことか。

白字に赤十字イングランドの旗も、実はイングランドを表すというよりは聖ジョージの十字と呼ばれる図柄なんだそうな。

このジョージさん、聖ゲオルギオスとかサンジョルジュとかヨーロッパ各地で色々な呼び方をされていて、他の国や地域の守護聖人もやっているらしい。そういえば、日本ではシュクメルリで有名な?ジョージアなんかも名前からしてそうじゃないですか?!

ジョージアの国旗も、聖ジョージというかゲオルギオスの十字と、エルサレム十字という小さい4つの十字が合わさったもの。ほうほう。あとはなんとモスクワの守護聖人もゲオルギオスさんなんですと。

そしてちょうどジェノア旅行中だった友人が、ジェノアの旗もイングランドの旗と一緒というのを見つけて教えてくれた。ジェノア守護聖人も務めるジョージさん、またはゲオルギオスさん。他にも彼を守護聖人としてあげている国や地域は随分ある模様。欧州各地で推されている・・・!

日本では弥生時代古墳時代だった頃の人物らしいジョージさんまたはゲオルギオスさん。キリスト教迫害にも負けず信教を続けたという聖人として重要なポイントのほかに、ドラゴンをやっつけた伝説もあるそうで、そんな勇ましくてカッコいいところも推しの理由になっているのではと勝手に推測する。

ジョージ、ジョルジュ、ホルヘ、ゲオルギオス、ゲオルギーにジルジスと、各国の言語によって色々な呼び方で親しまれているさまは、もちろんジョージの現地読みがそうだからという理由なんだけど、なんとなくインドの神様が日本ではなんとか天と名前を変えても、同じように祀られているような感覚を連想したりもする・・ちょっと違うかもだけど。

それにしてもイングランドの守護神がなぜこのジョージさんなのか。その背景として、ガーディアン紙の昔の記事は「13世紀ごろに敵を欺くため、イギリスの船が(当時強力だった)ジェノアの旗を付けて航行していた」のがきっかけだったと説明している。

昔は旗を使わせてもらっているお礼にと、英国王室がジェノアの元首を毎年訪問するなんていうことをしていたらしい(それこそ当時のイタリアにはイタリアという国はなく、各都市がそれぞれ強力な国家だった頃の話)。へー、意外にもそんな理由だったとは。

www.theguardian.com

そんな理由からか、思ったよりイングランドの皆さん、聖ジョージに対する思い入れはあんまりないというか、知らない人も多いらしい。実際このお祭りも大してそんなに盛り上がってはいなかった。あ、そういえば子供向けにちゃんと中世の騎士みたいな恰好をして、ドラゴンをやっつける写真を撮ることができるブースとかはあった。

こちらはロンドン名物、Pearly KingとQueenの皆さん。すごく昔からあるチャリティ団体で、貝ボタンを縫い付けて作ったジャケットを派手派手ジャケットを着ているのが特徴。イーストエンドの労働者階級の伝統を伝えつつファンドレイジングをしたりしているそうな。

詳しい歴史はここに
www.pearlies.org.uk

まだまだ知らないイギリスの歴史や文化が沢山、いつまでたっても観光客気分で新しい発見があるロンドンなのでした。