愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

子供とシェークスピア

ロンドンに越してきてから、イギリスの古典や歴史に親しむようになった小さいさん。ジェーン・オースティンに続いてはまったのはやはりシェークスピア

A Stage Full of Shakespeare Stories

A Stage Full of Shakespeare Stories

シェークスピアの戯曲の内容をそれぞれ4ページぐらいにうまくまとめた子供用の本を何度も読み返している。挿絵もいい感じで、登場人物の説明もあったりして、この本はなかなかオススメです。

その中でも好きな話は「十二夜」だという小さいさん。せっかくの夏休みだし、ちょうど数日間だけ「十二夜」を上演していたのを見つけたので、グローブ座で初のシェークスピア観劇ときめこんだ。

ギリギリ取れたチケットはステージの横。シェークスピアの時代と同じデザインで建てられたこの劇場、グローブ座がもともとあった場所から数メートル離れたところに、10年ほど前に新しく建てられたんだとか。

全て木造なので、座席・・というかベンチに座ると、木の香りがぷーんとする。ステージ周辺は全て立ち見。小さい子供はステージによじ登って、前の方の人たちもステージに手をかけて鑑賞する。

シェークスピアの時代には、客が野次を飛ばしたり、立ち見の客と舞台上の役者がやり取りする、なんてことは日常茶飯事だったらしい。それに比べると、現代のお客さんは、ずいぶん静かなのかもしれない。この公演では、最初に舞台上の役者が立ち見のお客さんの携帯を借りて、舞台上でセルフィー撮影しちゃう・・というぐらいのインタラクションは、あったけれど。

雨が降っても雨天決行してしまうこの劇場。この日は暑くも寒くもなく、時々爽やかな風が入って来てとても気持ちが良かった。そして上空でヘリコプターが飛び交う音が時々する。どこかからか鳩も舞い込んできたりする。何かとても有機的な空間で、16世紀に書かれた世界が繰り広げられる。


十二夜」の話の筋は、前日に子供に促されてあらすじを読むまで全く知らなかった。考えたら、「ロミオとジュリエット」と、「真夏の夜の夢」をガラスの仮面で読んだ位しか、シェークスピア作品の内容ちゃんと知らないかも・・。ざっとこんな話:

双子の兄と船に乗ったヴィオラ。しかし船は難破し、ヴィオラだけが取り残される。生き延びるため、ヴィオラは男装してシザーリオと名乗り、オーシーオ公爵の小姓になる。

このオーシーオ公爵、オリビアという女性にぞっこんで、シザーリオを愛のメッセンジャーとしてオリビアの所に送り込み、なんとか口説こうとするのだけれど、オリビアは逆にシザーリオ(実はヴィオラ)に一目惚れ。って、男装した女性なんですけど!

でも実はヴィオラは、自分が小姓として仕えているオーシーオ公爵のことが好き。さらにオリビアには別に求婚を迫る男性がいて、シザーリオ(実はヴィオラ)は恋敵!と決闘を申し込んできたり、オリビアに仕える執事までもが、オリビアが自分に気があると勘違いしてハチャメチャな行動に出たりと、もうてんやわんやの大騒ぎ。

そして最後には死んだと思っていたヴィオラの双子の兄が現れたからさあ大変。男装のヴィオラと瓜二つなのでさらに大混乱!!

・・・というドタバタ劇。

今回の上演では、「男装した女性」という設定のヴィオラの役は、短髪のお兄ちゃんが。そしてヴィオラが恋するオーシーオ公爵の役は、シュッとしたゼンデイヤ似の女優さんが演じていたり、さらにモテモテのオリビア役はこれまた背の高い兄ちゃんが顔を白塗りにして登場。他の役柄も、実際の役柄と性別は合っていたりいなかったりと、かなり自由な配役になっていたのが興味深かった。

瓜二つ、ということになっている双子の兄役に至っては、人種も違う女優さんで、2人並んでギャーそっくり!とみんな驚くけれど実際のところは似ても似つかなかったり(さすがに衣装は合わせてあったけれど)。


シェークスピアの時代は、セットや大道具もなく、話は全て役者のセリフで進むようになっていたそう。だから役者の性別が違おうが、見た目が違おうが、これはもう元の本がしっかりあって、見る方も演る方もセリフで状況や設定を全て把握して話が展開していく感じになる。

また当時は、女性が舞台に立つことはなかったんだそうで、女性役も男性が担当していたのだそう。ヴィオラという役柄はそんな中、男性が演じる女性が男装するという設定になっているのも面白い。なんだか、色々性別とか見た目を超えて、役者さんたちがそれぞれの役柄を表現する、面白い出来になっていた。

話しているのは古典英語だし、動きがあまりなく会話が延々続く場面もあったりしたけれど(何か色々な部分が歌舞伎っぽくもありますね)、それでも子供は結構楽しく見れたよう。わかりにくい所は、つい舞台の上についている電光掲示の字幕を見たりしたけれど、役者さんもよくこんなセリフが頭に入っているなあ。実は高校演劇部だった私、本番ギリギリなのにセリフが頭に全く入っておらず、台本開けたら全部草書体の古文で書いてあった、という悪夢を見ていたのを思い出したりもした(苦笑)

でもやっぱり舞台っていいもんですね。ライブだと、ちょっとしたことでも笑ってしまったり、画面を通じるより直接伝わるものが多い。子供のおかげで楽しい経験が出来ました。

marichan.hatenablog.com

以前、グローブ座のツアーに参加した時の話はこちら