愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

2016ロンドン⑤ テート&グローブ

普段そんなに美術館なんて行かないのに、旅行となると行き先は美術館だったり博物館が多くなってしまうのはなぜでしょう。
 
しかしー、ロンドンには良い美術館や博物館がいっぱい。そしてその多くが、無料なんです。コリャー行かない手はない。
 
この日はテムズ川沿いにあるテートモダンに行ってみました。川を渡った反対側のロンドンは、新しいオフィスビルが立ち並び、近代的な雰囲気です。そして川沿いにドーン!とそびえ立つ巨大建物。
 
こちら、以前発電所だった建物を改装して美術館にしたもの。
 
 
この建物と内部の巨大感からして、入ったとたんにヒ~っとなります。

 

 
テートさんという砂糖王のコレクションをベースに広がっていった美術館。ここの他にテート・ブリテンなど複数のギャラリー、美術館があります。
 
一部の展示は有料で、この時はジョージア・オキーフの展示をやっていました。が、普通の展示だけでかなりの量があるので、ケチって無料展示だけ見てきました。
 
ダンアート、よくわからん!でも、今回、美術館でそこに記載されている解説をしっかりじっくり読むことの大事さを痛感。
 
例えばこの壁の右側にあるマティスの絵は、彼の晩年の作品なのですが、体力的にも健康面でも筆を握って絵を描くことが難しくなった彼、代わりに色紙をハサミでチョキチョキと切り、それをアシスタントを使って、どの場所に配置するかを口頭で指示して貼り合わせさせて作品を完成させていたそう。
 
実際近くでよくみると、色紙のはじっこに画鋲の穴の後が残ってます。アシスタントにあーだこーだ言ってたんだろうなー、というのが何となく想像できる痕跡でした。

 

 
よく知らない作家も多かったですが、その人が戦争中疎開していた地域の文化の影響を受けて作ったものだとか、作成当時の政治状況、作家の心情や生活状況などが色々説明されていて、なんかよくわからん抽象的なもん、で終わっていたモダンアートが、よりパーソナルなものとしてちょっとは理解できたような・・気がする。
 
学芸員さん達の仕事を無駄にしないで、これからは解説をちゃんとじっくり読もう!!

 


色々なジャンルに絞った無料ガイドツアー、あと有料だけどカップル向けのツアーもあるんだそうです。オーディオガイドもありますが、日本語は残念ながら無いみたい。

今回小さいさんは行きませんでしたが、広いし空いてるし、場所によっては走り回っても大丈夫だし、結構子供も沢山来ていました。中にはインタラクティブな展示もあるので、飽きないかも。

 
全部回りきれなかったけど、建物自体も素敵でした。

 

 

 

 
テート・モダン内にあるレストランも随分素敵なようですが、今回は胃袋に先約があったのでスルー。
 
テムズ川沿い、向こうにはセントポール寺院が見えます。ここらへんでパフォーマンスしているストリートミュージシャン、私が通り掛かる時は毎回違う人なんだけど、どれも結構レベルが高いです(弾き語りに限る)。

 
続きましてぇ〜、向かったのはグローブ座です。というか、味噌や醤油を借りられそうな位すぐ隣にあるので、ついでに立ち寄った感じですが、シェイクスピアが活動拠点としていた劇場です。詳しくは映画「シェイクスピア・イン・ラブ」をご覧ください。
 
ここは歴史的な展示と、劇場のツアーがあります(有料)。その日最後のツアーがあと5分で始まるよ、っていうのでギリギリ滑り込みセーフで参加。

 


ガイドをしてくれたのはオーストラリア人のお兄ちゃん。このグローブ座、もちろん当時のものではなく、もともとあった場所から数メートル離れたところに再建されたものなんだそう。

清教徒がロンドンの市政を牛耳っていた時代、娯楽歓楽は全て街の外に追いやられ、テムズ川の向こう岸に劇場や歓楽街ができたんだそう。どの国でもかぶき者は河原に行くんだな。

ロンドン大火以来、屋根を茅葺きにするのは禁止なんだそうですが、グローブ座は再建にあたり、屋根にスプリンクラーが設置されており、毎日テストするのですっかりキレイに苔むしてるんだとか(笑)この建物が再建されたのも97年だというので、かなり最近です。

ご覧の通り、野外劇場。今でもここでシェイクスピアの劇が上演されています。ポスターを見る限り、色々なアレンジ、解釈があって面白そう。

屋根がある座席の木のベンチに座るのも良いですが、やはり舞台の目の前の立ち見席が一番面白い。シェイクスピアの劇は役者が観客に語りかけるナレーションをしたりするものも多く、役者と観客との距離がとても近い、そして実際そのインタラクションが醍醐味なんだそうですよ。そういえばシェイクスピアの劇って、それを下敷きにしたドラマとか映画は見たことあるけど、正真正銘のやつは見たことないかもしれない・・・。



天気が悪いくらいじゃ公演は中止にはなりません。みんな濡れながら、傘をさしながら見たりするそうです。シェイクスピアの時代にはここにぎうぎうに人が入る+暖をとったり水分補給のためにビール飲む+トイレに行きたくなるが混みすぎてトイレに立つなんて無理=そこらへんで用を足す、ってんでかなり悪臭漂う場所だったそうです。

当時の演劇はセットは無く、ナレーション風のセリフで情景の変化を表していたんだそう。舞台ですが、装飾を見ると、天国と地獄とか、空とか、色々象徴的にペイントされているのだそうです(詳細忘れちゃった)。ちょっと違うけど、なんとなく能舞台というか、和風の舞台にも思えるような感じでした。

 
 
 
と色々説明を受けている間に、舞台で一人音楽を聞きながら大の字に寝そべったりしている人がおり、誰?観光客?と思っていたら、役者さんだった模様。この後公演があるというので、その後もワラワラと舞台に人が現れ、ウォーミングアップと称して異様な動きをしたり奇声を発し始めました。

 


この一番左の藤村俊二風のおじさんは、ニワトリが乗り移ったような動きをしたり、結構体幹がしっかりしていないと出来ないような動きをしたりします。そしてみんないきなりセリフの一部らしきものを叫んだり、るるるるるっ!と巻き舌で鳥の奇声のような音を発します。

一人座っている兄ちゃんは、顔のパーツを全部中心に持っていき、そして口から目から全て前回にするという表情のエクササイズをしています。実は高校時代演劇部だったので、このエクササイズはちょっと懐かしい(笑

ツアーは英語ですが、劇場内の展示は日本語のオーディオガイドを借りられるみたいです。こういうところの歴史をじっくり学ぶの、なかなか面白いので、行くからにはぜひしっかり聞いてみるのがオススメ!