愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

夏の思い出⑥ クラパムコモン、漱石の家

もう2月、あっという間に夕方真っ暗になるロンドンの冬も、少しずつ日が長くなってきた。雪が降る日も何回かあり、カリフォルニア生まれの子供は生まれて初めての雪を舐めようと、空に向かって舌を出して大喜び。とはいえ、全然積もらないんですけれどね。

雪は積もらねど、雪以上に堆積し始めている陳家ロンドン生活の思い出あれこれシリーズ。

ロンドンの南、あまり観光客が足を踏み入れることは無いかな、と思われるクラパム・コモン。

コモンというのは、地域団体やら何やらが共同で所有管理する土地らしく(解釈があっているか自信はない)なんというか、緑のオープンスペースみたいな場所。公園、と言って良いのだろうか、でもそれとも違う感じがする。見た感じは自然公園っぽい感じ、かなり広い。

ロンドンには、こういう緑のオープンスペースがいろんなところにあるのが良い。家に庭がなくても、ちょっとこういうところに行くとスッとする。

この日記を書いている寒い時期に見ると夢のような天気と日差しだなぁ、この日は屋台が出て小さなコミュニティイベントがあったのだった。

ハリーポッターに出てくる、ほうきに乗ってやる球技クィディッチ、子供も参加。こういうのがあるのと、おお、イギリスに来たな〜!とちょっと感動したりしてた。

さて、このクラパムコモンからちょっと歩いたところに、夏目漱石が下宿していた家がある。

漱石はロンドンに滞在中、何度か下宿を転々としたそうで、もっと中心部のほうに住んでいたのだと勝手に思っていたら、最初の頃は大英博物館近くにいたらしいけれど、そのあとは北の方のウェスト・ハムステッド、その後はテムズ川を渡って南側のカンバーウェル、トゥーティング、そしてここクラパム・コモン近くにいたのだそう。漱石さん、SE/SWの住人!意外だった。

コモンを出てThe Chaseという通りを北上していく。ここら辺のお家、緑地に近いからか異様にでかいお屋敷多数。

おっ、何かプラークが出てるぞ、と思って見ると、どうもこの通りの住人のみなさんはロイヤルファミリー大好きのようだ。

2016年には女王様の90歳の誕生日を記念して、2011年にはウィリアムとケイトさんの結婚を記念して、2002年にはゴールデン・ジュビリー(女王様在位50年)を記念して、それぞれストリートパーティーをした、その記念のプラーク

ゴールデン・ジュビリーのパーティーの時には、どういう経緯かはわからぬがアレクサンドラ王女もご列席だった模様。アレクサンドラ王女は、エリザベス女王のいとこだそう。お住まいはリッチモンドの方だそうですよ

どんどん北上するともう少し「庶民的」な感じになっていき・・・

どーん、クラパム・コモンから徒歩5分。ここが漱石が下宿した家。今は普通の住宅で普通に人が住んでいる。

ロンドンの街にはいたるところに、昔ここに誰それ有名人が住んでいた、という青いプラークがついている。おお、という有名人から、画家、医者、政治家、軍人、作家、科学者、聞いたことのない人の方が多いが、古い建物を改装して改装してずっと住んでいるさすがヨーロッパならではだなあ。

そしてここには、漱石が住んだという証のプラークが。

「日本人の小説家がここに住んでいた」

それこそ小学生の頃「我輩は猫である」を何百回と読むほど漱石が好きだったので、なんだか嬉しい。

漱石はクラパムコモンで自転車の稽古をして、ここからハマースミスまでサイクリングをしたりもしたらしい。

どんな経路で行ったんだろうなあ、結構遠くまでと行ったんだな、と思ったけど実際の距離はこんなもんか。ロンドンは意外と狭い。

以前は、この漱石の家の向かい側の建物に、日本人の方が個人的に運営されていた漱石博物館があって、ぜひ行きたいなと思っていたのだが、私たちがロンドンに引っ越す少し前に閉館されてしまった、ちと残念。

漱石の家のすぐ先にあったこの建物がなぜか妙に気になった。漱石の時代にもあっただろうか。漱石が住んだ時代の風景も、こんな感じだったのかなあ。

とても美しい日に彼の家を訪れたので、こんなに良い環境の中で漱石は鬱々と過ごしていたのか、とピンとこなかった。当時は霧という名のスモッグが出まくっていたロンドンではあるが、緑地も近い、閑静な住宅街。

しかし、ロンドンの冬を実際に経験してみると、まあ日は短いし寒いしどんより曇っているし、こりゃあ気をつけないとあかんかもなあ、と多少は彼の気持ちもわかるような気もしてきた。もちろん環境的な問題だけではなかったとは思うが、実際太陽の光に当たらないとうつ症状になったりするらしいので、せっせとビタミンDサプリメントを飲んだりしている。

それにしても、ロンドン歴史散歩は楽しい~!!