バース名物サリー・ラン・バン
寒くて冷たい雨が降る日は、すぐにお腹が空く。ちょうど昼前に到着したので、電車から降りて速攻腹ごしらえに向かいました。
1482年から使われている、バースでも最も古い家としても有名なお食事処、Sally Lunn's。
1482年と言うと、日本は室町時代。ちょうど応仁の乱が終わって数年後に建てられたことになるかな。そう考えると、大した昔でもおへんな。
この建物に1680年頃に住んでいたと言う人物、サリー・ランの名がついたこの店。彼女の本名はSolange Luyon、と言うフランス人だそうですが、イギリス人がうまく名前を発音できずにサリー・ランになったとか。
このサリーさんはフランスから逃げてきたユグノー教徒。プロテスタントの一派であるユグノー教徒は、カトリックの国フランスではガンガンに迫害されていて、当時そんなユグノー教徒が大量にイギリスに逃げ込んできたそう。
英語で難民を意味する言葉「refugee」も、もともとはフランス語の「réfugié」 からきてるんだそうで、イギリスで最初の難民はユグノーだったようです。へーへーへー
ここはそんなサリーさんが住み込んで働いたパン屋さんだったようで、ここで彼女が焼いたフランス風のパンが評判になり、バース名物「サリー・ラン・バン」として有名になったんだとか。
まあ、おおよそ元禄時代の話ですから、創業元禄何年の和菓子屋のいわれがどこまで正しいか不明な程度には、その真偽は不明な部分もあると思われます。
さてそんな「サリー・ラン・バン」ですが、形はハンバーガーのバンズを巨大にしたようなもの。直径は15センチぐらいある、ブリオッシュのようなパンです。
高さもあるので、お店ではこれが半分に切られて出てきます。軽くトーストして、ジャムやバター、レモンカードなどを塗った甘味系、ハムなどを乗せた塩味系から選べます。
小さいさんはスモークサーモンを。こうやってみるとベーグルのオープンサンドみたいにも見えますが、バンズはトーストしてあってかなり軽い。
パパはsalt beefを注文。イギリス英語では塩ビーフですが、コーンビーフのことです。
見てお分かりかと思いますが、バンを半分に切った、上の部分が使われています。
私はこちら!ビーフとマッシュルームのシチューがけ。
なんとお皿が発明されたのが1500年頃で、それまでは「トレンチャー(皿)ブレッド」と言ってパンを皿代わりにして上にシチューなどをかけて食べていたそう。パンもシチューなどの味を吸って美味しくなるので、その後も好んでこういう形で出されることも多かったとか。
こちらはバンズの下の部分が使われていました。このシチューがこれまた美味い!寒い天気にはもう最高。お腹にもしっかりたまりました。
こちらは暖かいウィンター・パンチ。甘かった。町中で開かれているクリスマスマーケットでも、色々なスパイスやフルーツや砂糖を混ぜたホットワイン(mulled wine)が売られていましたが、これもこの天気で飲むとホッとする。
小さい建物ですが3フロアあるので、席はそれなりに。ちょっと床が曲がっているのも、古い感じでなかなか良い。そういえば日本の木造の家は、古いからといって床が斜めったりしてたっけ・・。
地階は小さな博物館兼売店になっていて、昔のキッチンが再現されています。
バンズはお土産用に箱入りのを買うことも可。
正直なところ、パン自体の味や食感はそこまで特別な感じはしなかったのですが、地元の名物ということで実際あんまり他でみることはないサイズ感とトッピングが楽しかったです。これで巨大ハンバーガーとかも作れそうかも・・・?!
昼少し前に行ったので待ち時間はほぼゼロでしたが、お店を出る頃には外に長蛇の列ができていました。早めに行くが吉。
コーニッシュパスティ
この地方のものというわけではないですが、コーンウォールは(比較的)近いな。
シチューがかかったサリー・ラン・バンで私はもうお腹がいっぱいで夕食も食べたくない位だったのですが、街をウロウロしているうちにパパが食べたいと・・。
この寒空の中、冷たいコーンビーフだけじゃちょっと物足りなかったようです。
ここはなぜかロンドンは避けて主にイギリス西部に広がるチェーン店のよう。
エンパナーダっぽくもあるパイ、パスティ。パパはここでビーフとスティルトンチーズが入ったものを選びました・・重!さらに子供までクロワッサンを買って食べ始めた!ちょっと、2人ともさっきランチ食べたばっかりでしょう・・・! 娘もパパも、胃袋だけは強靭なようで・・・。
私たちの前に並んでいたフランス人カップルが何かあれこれ言っているなと思ったら男の子の方が携帯に「スティルトン」と入力して検索を開始。あ、それそういうチーズのことだよ・・と教えてあげようと思ったら、電波が届かず・・。外にアンテナを求めて飛び出して行ってしまいました。