愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

【本棚総ざらい3】サッカー選手が書いた子供の本

家にある活字を読み尽くしたい衝動はちょこちょこ続いています。

これは子供がどこかから無料でもらってきた本。

大事なサッカーボールを無くした中学生のマーカス。他にも大事にしていたものが無くなってしまった「ブレックファスト・クラブ」のメンバーと一緒に、鍵を握る謎の野獣の正体を暴く話。

主人公は新中学生。イギリスの中学校は日本だと小5~小6ぐらいの年齢から始まるので、日本で想像する中学生より多少年齢は低いかもしれない。文章や内容もどちらかというと小学生向けといった感じで、子供は貰って来たものの、ちょっと読んでいてつまらないとやめてしまった。話も凡庸な感じで、ネタバレするとサッカーボールや色々なものを隠していた野獣の正体は、薄汚れてゴミだらけの犬。

ただこの本で言及したいのは作者。マーカス・ラッシュフォード。そう、イングランドの代表も務めたこともあるマンUのサッカー選手です。

25歳とまだお若い彼、イギリスがコロナでロックダウンになり、貧困家庭向けの無料学校給食プログラムが無くなってしまいそうになった時、子供達に食事を届けるチャリティー活動を開始。2000万ポンドの資金を集めたり、政府に公開書簡を送ってプログラムを続けるよう政府を動かした功労者。

それ以前からもホームレスに物資を届けるためのチャリティ活動など色々していたみたいで、若いながら王室から勲章ももらっている人です。

そしてこの本も、マーカス・ラッシュフォードのブッククラブ、の一環として出版された本だったらしい。主人公もサッカー少年マーカス。シングルマザーのお母さんと公営住宅に住み、色々な人種背景を持つ友達のいる公立の中学校に通っていて、学校が始まる前には、無料で朝食が提供される「ブレックファスト・クラブ」で友達と集まり、そこからちょっとした冒険が始まる、という内容になっています。

(うちの子供の学校にもブレックファスト・クラブがあり、行くと誰でも無料で食べられるオレンジジュースやシリアル、クロワッサンなんかが置いてあるそうです。朝ごはん食べて行っているけど、子供も時々寄っているらしい。午後にも無料スナックが何かしら置いてあるらしい)

多分自分と似た背景を持つ子供達が共感できるような設定にしたんだろうな。そして読書はあんまり好きではないけれどサッカーは好き、という子供にも読みやすくする配慮がされている感じでした(本人も初めて本を読んだのが17歳の時だったそう)

共著の人の名前があるので、多分ご本人は話のアイデアをざっと話して、共著の人がほとんど書き上げたのだとは思いますが、自分の成功をこうやって色んな活動に還元していてエライなあと思いました。

literacytrust.org.uk