愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

子供の中学校

ただ今11歳、日本だったらまだ小学5年生、でもイギリスでは7年生になってしまった小さいさん。9月から地元のセカンダリースクールに通っています。もう中学生!いまだに信じられない。

通学も、小学校へは歩いて通えていたけれど、中学校は少しだけ公共交通機関を使って登校しています。小学校時代はギリギリまで寝ていたのに、中学生になったら登校開始時間40分以上前に学校に着くようにさっさと出かけていくようになりました。それだけ学校が楽しいみたい。良い事だ。

自分が中学生だったのは日本でだし、もう何十年も前の話しだし、アメリカの中学校事情についても、小学生のあいだにイギリスに来てしまったためにかなり不案内。色々違いを比べてみたいけど、あんまり比較対象となる知識が無いのが残念。でも子供が中学校に通うようになって1学期が終了し、へぇぇ、と色々面白いとおもったことを羅列するよ。

  • やっぱり制服!小学生の時も制服という名目で学校のカラー、ロゴが入ったポロシャツ、カーデガンに紺のスカートをはいていたけれど、中学生になるとブレザーにネクタイ。パパに結び方を習い、これでネクタイの結び方を知らないのは家族で私だけになってしまった。下はズボンでもスカートでもOK。ブレザーやネクタイなどは学校指定のものを買うが、ズボンやスカートは色だけ指定されているので、好きにして良い。男子もスカートOK。子供はパンツスーツに憧れているので、ズボンとスカート半々。
  • スマートに見せるということを重要視するため、制服に関するルールがあるのはちょっと面倒。暑い日でも先生の許可が無いとジャケットは脱げないとか、廊下や外を歩く時はジャケット必須とか。こういうところ、日本とイギリスは似ている気がする。
  • 校則・・とまではいかないまでも、そういう制服に関するルールに違反したり、授業態度などに問題があったりすると、すぐDetention送りとなるらしい。勉学においても、宿題未提出や、本やノートなど指定された教材の忘れ物があるとDetentionという名の居残りがある。居残りは何をするかというと、放課後、本当に教室で何もせずに座っているだけらしい。反省の時間?というか本来好きなことができるはずの時間を奪うという罰?
  • 毎週決まった日がDetentionの日になっていて、その週の間に貯めてしまったDetentionポイントの分だけ、まとめて居残りの刑となる。子供が対象となった場合は親にテキストメッセージが来る。実は我が子も一度歴史のノートを忘れて30分のDetentionを経験してきた。これはイギリスあるあるなのか、別の学校に行った子供の友人も、授業中におちゃらけてしょっちゅう先生に怒られてDetention送りになっているらしい。果たして効果があるのかは・・・。
  • 罰則があるかわりに、褒められポイントというのもあるそうで、授業でがんばったり、難しい問題に答えられたりした場合、個人的にポイントがもらえるんだとか。先生もいちいち記録を付けておくの大変だろうな。子供は随分褒められポイントはがんばって貯めている模様。
  • ポイントで思い出したが、イギリスの学校、ハウスシステムがある。そう、ハリーポッターにあったあのハウスシステムです(笑)これは小学校の時もあった。子供の学校の場合は確か4-5種類ぐらいのハウスがある。今のところハウスの名前は偉人の名前にちなんだものとなっていて、それぞれのハウスに子供達がアサインされ、学年を超えて一つのチームとして、勉学やスポーツの出来を競い合ったりする。子供の学校はそうではないけれど、学校によっては所属するハウスによってネクタイの色が違ったりと、結構強いアイデンティティとなっている場合もあり。
  • 学校にもよるかとは思うが、結構色んなイベントがある。様々な職業の人が来てプレゼンをしてくれたり、校外学習があったり、音楽会があったり。ただイベントによっては結構メリットベースというか、全員参加できるわけではなく、クラスから選ばれた数名しか参加できないものもあったりする。そういう子供を選ぶときに、例の褒められポイントがどれだけ溜まっているかがポイントになったりするみたい。
  • 1学期が終わったところではまだだったけど、これから教科によっては能力別のクラスに分かれることになるそう。これは小学校でも算数だけ途中で能力別の振り分けがあった。
  • クラスメイトの人種構成は、中学校になってから随分変わった。小学校の時はほぼ白人の学校だった(とはいえ、100%イギリス人の生徒は少なくて、たいてい他のヨーロッパ出身だったり、片親はイギリス人、もう片親は別のヨーロッパ人というケースが多かった)が、中学校になったら多分イギリス人・白人3分の1、黒人3分の1、アラブ系やイスラム系3分の1、という感じになった。これはロンドンあるある?なのかもしれないけど、結構私立に行っちゃう白人も多いのと、小学校と比べて学区が広がるので、より現実のロンドンの人種比率を反映した構成になる感じ。他の公立中学に行ったご近所のインド人の子も「私以外にこんなにブラウンの子がいるなんて思わなかった!」と驚いたらしい。
  • クラスメートの名前を見てみても、結構今までにお目にかかったことの無いような感じの名前の子が多い!しかし子供はクラスメートが何人だという以前に、肌の色に関してさえほとんど見えていないぽいので、友達の人種や文化バックグラウンドを聞いても知らない、なぜそんなことを気にするのかと逆に言われてしまう。ただ今までに把握したところだと、カリブ系、ガーナ人、イスラエル人、モロッコ人、ウクライナ人、イタリア人にメキシコ人、韓国人、ロシア人、アメリカ人もちょろちょろといるみたい。あとアフガニスタンからの難民の子もいる模様。
  • 小学校の時はハリーという名前の子が多かったが、中学生になったらクラスにモハメッドが何人もいる事態となった(笑)あと苗字がアリという子も何人かいてややこしいことに。そのうちの一人は当然モハメッド・アリ君(爆)上の学年にも当然いるので、キャーモハメッド先輩カッコいい!みたいなことが実際に起きている模様。
  • ムスリムの男子生徒は週に1回ランチの時間にお祈りしてるらしく、お祈りの時間になると空き教室にお祈りマットを敷きだすんだそう。それをちろちろ見ていると、これからお祈りするんだから、シッシッ!と半分冗談交じりにやられるそう。
  • 学期中に担任と英語の先生それぞれから電話がかかってきた。何かと思ったら、子供の学習状況や態度を褒める電話だった。わざわざそんなことで電話してくれるとは驚いた。英語の先生は毎週、良かった生徒とそうでなかった生徒を1名ずつ選んで、電話をしているらしい。何にせよ、中学になると親が学校にかかわる機会がぐんと減るので、先生のほうからリーチアウトしてくれるのはすごく有難い。
  • そんな中学校の先生達、かーなり若いのに驚く。特にアメリカの小学校は、先生はほぼ中年女性ばかりで男の先生など学校に一人いた位だったけれど、イギリスは男女年齢問わず幅広い層がいる。これはアメリカの先生の待遇の問題もある。その点イギリスは若い人が先生を目指そうと思える余地があって素晴らしい。子供がイギリスに来て最初の担任は26歳とかだった。そして今の担任、電話で話した時はすごくしっかり丁寧な口ぶりのいかにも先生って感じの人だったが、ふと見つけた彼女のSNSアカウントの写真が、(痩せた後の)アデル並みのメイクの、ものすごいイケイケ姉ちゃんだったのでぶったまげてしまった。
  • 科目ごとに先生が変わる。担任は英語の先生なのだが、なぜか自分のクラスは教えておらず、朝のホームルーム的なものだけ担当。あとは子供達は、科目ごとに先生が待っている色々な教室に移動しまくる。そのうち能力別になると、ホームルームのクラス関係なくみんなてんでばらばらに授業を受けることになる。
  • イギリスのセカンダリースクールは、中高一貫的な感じになっているので、高校生が授業を受けた後の教室に入るとむさくるしい匂いがすることもあるらしい、特に男の子が使うデオドランドの匂いで頭が痛くなるらしい(苦笑)高校生の男の子などは体もでかくて髭を生やしている子もいたりするので、なんでこんなでかい人達が同じ学校にいるんだ?!となるらしい。実際スラムダンクとかの登場人物より100倍もっさくてごつい男の子たちが結構おる。
  • クラブ活動が色々あるが、日本でいうような毎日練習があるような部活は今のところない。子供は昼休みはチェス、放課後はサッカー、バスケの変形スポーツであるネットボールとダンスをやっている。
  • 小学校、コロナになってから自宅学習が増えた兼ね合いで、ほぼ英語と算数ばかりのカリキュラムとなってしまっていたが、さすがに中学校になると教科数がぐっと増えた。体育でさえ宿題があって、サッカーにおけるオフェンスやディフェンスについての戦略に関するクイズなどがあったりする。相変わらず教科書も無いしノートも持って帰らないシステムなので、どんな勉強をしているか見えにくいのだけれど、Google Classroomでアサインされる宿題の内容からなんとなく把握。宿題は今のところそんなに多くない。
  • 歴史の授業は当然、イギリス史中心。歴史のテストは、どれだけ暗記できたかを確認するというよりは、授業で学んだ情報を使って、自分なりの歴史解釈とその根拠を述べる訓練をしていて驚いた。例えばノルマン王のイギリス征服は、緻密な計画・戦略に基づくものか、運が味方したか。エドワード懺悔王の死後、本来誰が王座に就くべきだったと思うかなど、自分のスタンスを選んで論じるものだった。そういう歴史の学び方したの、私はアメリカの大学院に入ってからだったぞーヒー
  • とはいえ子供の学校は、ごく普通の地元公立中学校であるので、もっと勉強バリバリやっている進学校や私立校などはいったいどんな感じなんだろう。私立に通い始めた小学校の同級生は、スクールバスで学校に通い、授業は午後4時まで、でも帰りのバスが5時だかまで無いので、それまで毎日宿題かクラブ活動、家に帰るのも随分遅く、晩御飯をようやく8時頃に食べて、残りの宿題やって朝はまた早い・・と、すでにかなりストレスが溜まっている模様。でもすでに毎週5時間以上授業時間でも差がついてるのか、うーん・・。イギリスの学校制度や入試制度やら大学のことやら、色々思うところはあり、将来どの国で進学するのかさえわからない子供にはイギリスの試験対策的な勉強だけではなく、どこにいても応用が利くような学びを身につけて欲しいなとは思っているものの、ここにいると行く学校によって教育格差もすごいので他と比較しては本当にこれでいいのか?と親の気持ちがグラグラしてしまうことも・・。
  • とはいえ子供は本当に生き生き楽しそうに通っているので今はこれで良しかな。先日は、なぜか学級委員にノミネート・選出され、早速生徒会的集まりにも参加してきたそうな。ここでも、先生に希望する授業形態を提案したり、もっと教えてほしい教科のリクエストを出したりと子供が自分達がどう学びたいかの意見も出させてくれるらしい。どれくらい実現されるものかはわからないけれど、なんだかいいねぇ。