愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

子連れウィーン旅②黄金コスプレモーツアルトと屋根からひょっこりオペラ歌手

ほとんど事前計画できずに飛んだウィーンだったが、幸運にもベイエリアのお友達Kちゃん・NTKおじちゃん夫婦とウィーンで合流することができたので、夫妻にチケットを取ってもらい、(私だけ)一緒に楽友協会に乗り込むことができた。

黄金ホール!!!

かのウィーンフィルの本拠地であり、日本でも放送されるウィーンフィルニューイヤーコンサートの会場でもある。テレビで見たことある場所や〜!!

会場はかなり四角い。ステージもずいぶん狭いんだなあ。

今回聴いたのはウィーンフィルではなく、モーツァルトの時代のコスプレをした、モーツァルトオーケストラの皆さんの演奏である。ある意味浅草花魁ショーで日本を満喫、的でもある。

実際この格好をした人達がコンサートのチケットをウィーンの道端で売っていたりして、あれ実は楽団員だったんじゃないか?などと3人で話す。

本場ウィーンで聴くモーツァルトは、「後宮からの逃走」の序曲から始まり、オペラ歌手も代わる代わるやってきて、ドン・ジョバンニのアリアだ、フィガロ魔笛だと、ベストヒット的なプログラム。

この指揮者、曲が終わってから客席を向いてお辞儀をするのではなく、曲によっては最後の2拍前にくるっと客席を向き、曲の最後の音と同時にお辞儀をする・・という、ショーがかった動きをする。笑っていいとものオープニングの歌で終わりにタモリがくるっと回るような感じである。

さらにトルコ行進曲を演奏しながら、客に面白い感じで手拍子を要求してくる。あ、果たしてこれは・・・と思ったら案の定、最後はラデッキー行進曲であった。

とりあえずウィーンフィルじゃないけど、黄金ホールでラデッキー行進曲に合わせて手拍子してきた!!と観光客的には満足のプログラム(笑)本当のウィーンフィルニューイヤーコンサートでこれをやろうとしたら、チケット何十万円もするらしいしね。

実際観客もバスで大量に乗り付けてきた中華系観光客の皆さんの他、各国からまちまちな格好をしたいろんな人達が集まっていた。中には着物を着た日本人の皆さんも!

休憩時間に下のバーにも降りて行ってみたが、学校のラウンジみたいな感じ、質実剛健というかかなり地味であっさりした造りになっていた。

演奏中、ずっと手元が明るいなと思ったが、そういえば近代のコンサートホールのように、演奏中客席の照明は落ちず、立派なシャンデリアは煌々とつきっぱなしであった。


さて私たちが滞在中、ウィーン国立歌劇場が150周年記念ということで、無料野外コンサートがあった。これもKちゃんNTKおじちゃんと、そしてモーツァルトはお留守番だった大きいチャンと小さいチャンも参加した。

広々とした野外コンサート、と言うよりは、劇場の前の道路を封鎖しての演奏。なので場所的にはかなりぎゅうぎゅうである。テレビの中継も入っていた。

しかしこの演奏が素晴らしく良かった。それもそのはず、国立歌劇場のオーケストラが、かのウィーンフィルの母体なんだそうだ!知らなかった。ウィーンフィルは、オペラのオケのスピンオフだったのか。

そして何より、次々に出てくるオペラ歌手が素晴らしかった。オペラはそれほど好きではないのに、クラシックの舞台を生で観て心を揺さぶられて本当に涙が出た経験は、オペラでしかなかったりする(昔トスカのアリアを舞台で聴いてまじ泣きしてしまった。自分でもすごくびっくりした)。

今回もソプラノ歌手の、なんの曲かも知らなかったアリアを聴いて、その緻密な声のコントロール、そしてそこから湧き出てくる情感に圧倒されて、一瞬うおーっと涙腺が緩んでしまった。歌ってやっぱり楽器とは違う、訴えるものの凄さがある。

そして舞台だけでなく、劇場の屋上や隣接するホテルのバルコニーから、男性歌手がひょっこり出てきて歌を披露することも・・・!

歌手はマイクもつけているのだけれど、明らかにマイクを通さない地声が、あんな遠くにいるのにしっかり聞こえてくる。なんなんだこれは。何か世界最高級の一流のものすごいものを、道端に立ったまま満喫しているぞ。やはり音楽の都ウィーン、底知れない。

とはいえ、腰痛もあり子供も飽きるしで最後まで見るのは大変だったので、残りは劇場から徒歩10分ほどだった宿で観た。ウィーンフィル(の母体)や最高級のオペラ歌手の生演奏を聞きながらキャンディークラッシュで遊ぶ8歳児ってどんだけやねん!

次回はちゃんとホールでウィーンフィルやオペラを観てみたいものだ。何せ飛行機で2時間だから、1人で週末ぴゅっと飛んでいくこともできるし。と夢はどんどん広がるなあ。