愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

ニース旅②坊主のチーズ、海、プロムナード

大きいちゃんは週末や旅行になると、朝早く起きてジョギングに行く。朝まだ静かな知らない街を走るのはそれは楽しいらしい。私も昔は一緒に走っていたものだが、子供が生まれてからというもの、骨盤や関節の感覚がどうも昔と変わってしまい、長距離走れなくなってしまった。と言い訳をしつつもう9年もたっているのですが。朝早くさっぱりした顔で戻ってくるのは、羨ましくも妬ましくもあり、しかし眠くもあり、どうせ子供が寝ているのでどちらかは留守番をしなくてはならないし・・と、体の重さと運動不足と言い訳は積もっていくのだった。

ジョギングついでに大きいちゃんは朝食用のパンも調達する。流石にクロワッサンも、パン・オ・ショコラもパリッとしていて美味しい。大きいちゃんはフランス語でオーダーしようと頑張ったようだが、あまりにたどたどしかったのか、相手のほうがハイハイ、と英語でさっさと対応してくれたそうな。パン・オ・ショコラをチョコレートクロワッサンと呼んで訂正もされたそう(笑)

~ちょっと少女漫画かアイドルのようにキメている坊さんパッケージの、ちょっぴり臭うチーズと共に~

ニースの街は大きく見えて随分コンパクトなので、地図では遠くに見えても、結構歩いて行けるところが多い。とにかく風光明媚なので、歩いても歩いても気分が良くなることしかない。


高台から見下ろせる海、背後に迫るちょっとした山。冷たい海風もなく、ただ静かに広がる地中海と、建物の隙間から顔を出す、ちょっとした緑の山。水と緑の組み合わせは、とても良い。子供の頃から殺伐とした平たい関東平野が苦手で仕方が無かったのだけれど、こういう地形はなぜかとても安心する。

歩いているとどんどん温かくなり、着込んでいたコートもマフラーも邪魔になる。太陽にあたると気分もウキウキしてくる。色々な言葉で話している観光客の皆さんも、ワイワイと楽しそう。お日様一つでこんなに人間変わるものか、ということをヨーロッパに来てからひしひしと感じる。人が太古の時代から太陽を拝むのも当然だなあ。


そのまま歩いてプロムナード・デ・ザングレへ。海岸沿いに7キロほどあるこの遊歩道は、イギリス人の遊歩道、という名前がついている。ニースがフランス領になる前から、イギリス人がバカンスによく訪れていたらしい。さもありなん。冬のニースは寒い寒いクソ寒くて薄暗いイギリスに比べたら、全くの天国。

この遊歩道は、2016年にトラックが群衆に突っ込んで80人以上が亡くなった、テロの現場でもある。あまりそのことは考えないようにして、子供にもその話はしなかったけれど、こんな美しい風景の中であんな凄惨なことが起きたと思うと、そしてそれを知ってか知らぬか、同じ場所をまた人々が楽し気に歩いているのを見ると、なんとも言えない気持ちになる。

事件を受けて、プロムナード沿いには車が入ってこないようにするバリケードというか、車止めが並ぶようになったらしい。ボタンを押すと、にゅっと出てきたり引っ込んだりする仕組みになっていた。見る限り、メモリアルのようなものは目にしなかった・・と思う。

家族で自転車やキックスクーターを借りて、このプロムナードを1時間ほど走ったのはとても楽しかった。ところどころにあるオブジェ、ベンチにのんびり座る人々、ストリートミュージシャンの演奏するジャズ、そんな風景がどんどん飛んでいくこの感じは、写真やビデオに撮らなくても、ずっと忘れないだろうなあ。

プロムナード近くにある市場、の近くにある適当なお店で適当なランチ。ソッカと、ニースで食べるニース風サラダ。ゆで卵とか、ツナ、トマト、アンチョビのドレッシングなどがお決まりの具。間違いの無い味。

お店のウェイターのお兄ちゃんはとても丁寧な人だったけれど、ボスだかオーナーはお客さんと目を合わせない感じの人で、メニューも持ってこないので自分で取りに行った。サービスも随分ゆっくりで、どのテーブルもオーダーを取りに来るのも、料理が来るのも随分のんびりしていた。これが南仏のペースなんだろうか、と思っていたら、外の席に座っていたフランス人の子連れのお母さんが、ものすごい剣幕で店内に怒鳴り込んできて、オーナーと言い合いになっていた。ウェイターのお兄ちゃんが後で食べ物がなかなか来ないのを謝りに来たが、さっきのお客さんもサービスがあまりに遅いのに怒っていたらしい。

どうも問題のあるお店は、店員と目が合いづらい。真っすぐ前しか見てなかったり、周囲の目配り気配りが足りないので、フォローがうまくいかないんでしょうかね。他のお客さんが食べていた料理も美味しそうだったし、普通に美味しいお店だったんだけれど、残念。