ニースの街を歩いていると、ブラタモリ欲がふつふつと湧いてくるような高低差によく出会う。
ここはアルプス山脈の端っこ、あちこちにある大中小の段差の数々。
ああ、歩いていたら誰かがフリップ持って待ち構えていて欲しい・・・!
今はググれば多少色々な情報は自分で得られるけれど、そうじゃない、本当にそれを研究して突き詰めた人から直接ニースの地形と歴史について、色々話を聞いてみたい。
シャガール美術館やマティス美術館などがある小高い場所、シミエ。お金持ちはどの国もちょっと小高いところに住むものらしく、ちょっと高級住宅街になっている。
歩いていても、これは本当に人が住んでいる家なのか、何かの歴史的施設なのかわからないような御屋敷や、ベル・エポック時代に建てられたという壮大なホテルに遭遇する。ヴィクトリア女王が宿泊したという豪華なホテル(今はオフィスビルになっている)もこのエリアにあった。
このシミエの丘に、ローマ時代の遺跡があって、ちょっとした博物館になっている。ギリシャ、ローマ人が来るずーっとずーっと前、40万年ぐらい前に原始人が住んだ跡も、このあたりで見つかっているそう。
ニースのもともとは、海沿いじゃなくて丘の上にあったのは、ちょっと意外だった。勝手に港町として海のほうから栄えていたのだという印象ばかり持っていた。
結構な街の遺構、テルマエ(ローマの銭湯)や、5000人ぐらいは入ったらしい円形劇場まであり、本当にこの小高い場所が街の中心として機能していたんだということがわかる。
劇場の跡地は子供の格好の遊び場となっているが、大昔にはここでグラディエーターが戦ったりもしたらしく、まさしくこの場所で命を落としたりしていたのだと思うと、これまたむ~ん、という感じである。いくつかゲートのようなものがあるが、これをくぐったり、競技場のど真ん中に立って見えた風景はどんなものだったか・・。
今の街の中心地が海沿いにあるので、わざわざなんでこんな不便そうなところに街を作ったんだろう、と思ってしまったのだが、高低差マップを見てみるとこんな感じである。
今のニースの中心地に比べて、シミエの丘はぽっこり高台になっている。標高は大体100メートル台。東西が窪地になっているので、自然の要塞みたいな感じになっている。
博物館にあったフランス語の解説をGoogle Translateで一生懸命解読したところによると、これくらいの高さから、カンヌよりもっと先の海まで見渡すこともできたそうなので、海の防衛もばっちり。
さらに右手にはパイヨン川という川が流れていて、この谷も貿易の要だったとか。またここから内陸アルプスに行くルートもあったようで、この高台は色々と戦略的に便利な場所だったよう。
今の感覚だと、中心地から離れた不便な高台だけれど、昔は全然そんなことなかったんだな。
ちなみに丘はジュラ紀の石灰岩で、周囲は沖積層で、そこが農地になっていたそう。
この他にも、フェニキア人、リグリア人やらギリシャ人の入植や交易の話など色々あったけど、とりあえず高低差の話はこんな感じでした。
おまけその1:
遺跡から出てきた、犬の足跡がついたタイル。乾く前に歩いちゃったんでしょうねえ、「あっ、こらっ!」と職人さんが怒ったかどうか。歴史に足跡を残した犬。
こちらは遺跡に住み着いているらしい猫。愛想良く寄ってきたが、じゃれようと勢いつきすぎて、私を引っ掻いた、バカな猫。
おまけその2:
パイヨン川の存在は、地図を見るまで気づきもしなかったけれど、こうやって見ると、途中で途切れていた。河口だったと思われるところが、クリスマスマーケットだ何だでウロウロしていた公園になっている。
そしてニースで有名なこの噴水も川の上に!!
プロムナードを自転車で爆走していて気付かなかったけれど、ここ、暗渠になっていたみたい。ビーチのところにちゃんと河口がありました。
というわけで、ちょっとだけバーチャルブラタモリ、おしまい。