愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

ニース旅③シャガールとギリシャ神話

マーク・シャガールの絵はとても好きで、自分の部屋に飾っていたこともある。でもその画家本人については、なぜだかほとんど気にせず、知らなかった。フランス人のおっさんだと思っていたけれど、全然違っていた。

ニースの小高い丘に、シャガールの美術館がある。展示の数じたいは、それほど多くはない。初めて見たシャガールは、子供の頃図鑑か何かでみた「村と私」だったけれど、ここに展示されているのは主にギリシャ神話や、旧約聖書をモチーフにした宗教画的なもの。

シャガールは生粋のフランス人ではなく、ロシア生まれのユダヤ人だということをここで初めて知った。しかもベラルーシ出身の、ハシディックなのだそうだ。教会のために作った作品もあるが、旧約聖書の物語を描いたものも、ユダヤ的視点から描かれている一面もある、解説を聞きながら作品を見るとああああそういうことだったのか、と納得がいった。

赤一色、青一色の作品も、色々な濃さ明るさが重ねられている、そして一つの絵に詰め込まれた色々な聖書のシーン。絵を描くのは得意ではないけれど、なぜかふつふつと、この前に座ってこの色を模写してみたい・・という気持ちが沸いた不思議。

ギリシャ神話をモチーフにした絵画の中には、ホメロス叙事詩オデュッセイアをテーマにしたものもある。ギリシャ神話が大好きな小さいちゃんであるが、この話知ってる?と私が聞いたところでスイッチが入ってしまい、オデュッセイアのあらすじを延々と語り始めたのには、親の自分が驚いた。ついでに、この物語の登場人物に「ナウシカ」さんがいることも初めて知って驚いた。

ギリシャ神話語りが止まらなくなってしまった小さいさん。シャガールのステンドグラスと、シャガールの絵画がはめ込まれたピアノのあるホールで、延々それぞれの神様の特徴や性格を解説し続けた。ギリシャの神も、アニメのキャラも、子供にとってはワクワクは変わらない。

この後も、街中にローマ数字で刻印されている建物の建立年(MDCLで1650と読むとか、わからん!)を解読して教えてくれたり、別に訪れた美術館にあったタペストリーや絵画も、神話のどのシーンを描いたもので、これはどの神様なのかを瞬時に読み取って教えてくれた。こうやってみると、ギリシャローマ神話が芸術に与えている影響って、改めてすごいなあと子供を通じて再認識する。

そして子供、親も気づかない間に知識をどんどん吸収していたのだなあ。夢中になれる何かがあるのは、本当に喜ばしい。ここで得た世界やワクワクを、さらに何かに広げていく手助け、どうやったらできるかなあ、などと思いを巡らせた。