愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

Wicked

先日ミュージカルWickedを観に行ってきた。なぜかこのミュージカルについては今まで全く気にも留めていなかったのだが、実は数あるミュージカルの中でもずいぶん成功している作品のひとつなんだそうである。そして住んでいるとつい忘れがちではあるけれど、こういうものを思い立ったらふっと観に行けるのは、やはりロンドンならではという気もする。さすがパリ・ロンドン・ニューヨークというだけありますね。ちょっとお金を出せば、いや時には全く出さなくても、世界最高峰の芸術に簡単に触れることができるのだから。

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オズの魔法使いで悪者役である緑色の西の悪い魔女が、実はそんなに悪い人じゃなかった、本当はもっと状況は複雑で・・という、オズの魔法使い裏話というか外伝的というか、緑の悪い魔女と、良い魔女の友情物語的な内容。

・・とここまで書いたのは良いのだけれど、なぜだろうこのミュージカル、あまり刺さらなかった。この数日かなり睡眠不足だったこともあるのだが、歌が始まるとどんどん眠気が襲ってきて睡魔と戦うのが大変だった。お芝居になるとそれなりに話には引き込まれるものの、肝心のミュージカルナンバーになると、いつもと違いほとんどメロディが頭に残らなかったのが(眠かったからというだけでもなく)逆に印象的だった。

とはいえ、ハミルトンやレミゼなど、好きなミュージカルは一生懸命歌詞を覚えてみたり、学生時代に実際に舞台でやったりと、随分見る前から前勉強していた部分もあるのに比べて、今回はあまりに興味が無さ過ぎたかな。原作は小説で、この舞台と少し内容が違うようでもあるのだけれど、どうしてこういう外伝的な話を作ろうと思ったんだろう、その部分にはちょっと興味を持った。実はオズの魔法使いという物語そのものも、当時のアメリカの資本主義社会を批評したものだった、らしい。思えばオリジナルも子供の時に映画を見た切りで原作も読んだことが無いな、機会があれば読んでみたい。

それでもこのミュージカル、セットも良かったし、1幕の終わりに主人公が空を飛ぶナンバーは一番ぐっと来たし、最後のカーテンコールで、2人の主人公がお互いを抱きかかえながら、転がるように走り出てきたのがすごく良かった。ブロードウェイでの西の魔女の役のオリジナルキャストは、フローズンのエルサ役だったイディナ・メンゼルで、ロンドンのキャストも似たような声質の人だった。良い魔女、グリンダ役の人はちゃんと声楽のトレーニングを受けた人のように見受けられた。

舞台装置、衣装もなかなか良かったです。

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ふと思い出したが、以前子供が夏休みにミュージカルのサマーキャンプに参加した際のインストラクターのひとりが、西の魔女役のスタンドバイ経験者だった。イギリスでの習い事、アメリカでこういう演劇キャンプに参加するより、ずいぶん格安な上にクオリティが高くて驚く。ロンドンの芸術への懐は深い。