愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

とうとうハミルトン

まさかロンドンで見れる日が来るとは思わなかった、ハミルトン!

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説明するまでもない、リン=マニュエル・ミランダによるアメリカ建国の父のひとり、アレクサンダー・ハミルトンを題材にした、ヒップホップミュージカル。

サンフランシスコでも公演をしていたけれど、なにしろ人気すぎてチケットは超プレミアム。一時はチケット一枚10万円ぐらい高騰したりしていたが、ロンドンでは劇場のサイトから直接買う形だったので、特にそういう心配も無く、コロナあけで劇場が再開するタイミングで、それほどお財布を痛めることなく買うことができた。

ハミルトン、ロックダウンの最中にディズニー+でオリジナルキャストでの配信があり、それを見て以来子供(と私)がドはまりしてしまったのだけれど、建国の父という白人の物語を、マイノリティのキャストが、ものすごく情報量の多いラップで表現するのがすごくかっこよくてエキサイティング。議会での討論もラップバトル(笑)

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このミュージカルを通じて初めて知ったけれど、ワシントンをはじめ、他の建国の父たちの多くは、植民地時代のアメリカの名門の家から出てきたのに対して、彼はカリブ海で私生児として生まれ、苦労してニューヨークにやってきて勉学をおさめ、政治の道をのしあがってきた人だったらしい。ある意味超初期の移民のサクセスストーリー。それをマイノリティがヒップホップ風にやる、というところもグッとくる。

このミュージカルが完成する前、パイロット的に作られた最初の数曲は、ホワイトハウスオバマ大統領が主宰した詩の朗読会みたいなので披露された、という点もなんとなくトランプ前の懐かしいアメリカを思い起こしてさらにグッとくる。


配信ではまった子供は、サウンドトラックを何度も聞いてこのものすごい量のラップを覚えてしまった。

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私も一緒に覚えようとしたが何しろ口が回らなくてとても無理!子供の脳すごい!というかやっぱりネイティブスピーカーすごい!

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しかしこのミュージカルはラップがどれだけ力強い詩なのかということも気づかせてくれる。特にハミルトンが死ぬ前に走馬灯のように自分の人生を振り返るラップなどは、ラップというより本当に詩の朗誦でゾクゾクする。このミュージカルが流行って、ハミルトンのラップを覚える子供達も増えたらしいが、歌詞の中にある移民の勤勉さ、何もないところから立ち上がり上昇していく野望、そういうのを格好いいビートとともに自分の中に取り込んでいっているのを目のあたりにするのは、とても喜ばしい。この時代への興味もぐっと高まった。子供も公演中は横で小声で一緒に歌っていた。

もともとアメリカがイギリスから搾取されて、戦争して独立する話だけれど、これをイギリスで見るのもなかなか趣深かった。キャストはジョージ・ワシントン以外はイギリス人キャストだったがちゃんとアメリカンアクセントでラップをしていた。すごいなあ。ハミルトン初登場のところでは歓声はあがらなかったものの、コミカルな悪役であるジョージ3世登場の時はさすがにわ~っとなっていたのもちょっとおかしかった。ラファイエットとハミルトンが、we're immigrants we get the job doneといってハイファイブするところは、観客の3分の1ぐらいから歓声があがった(笑)

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やはりオリジナルキャストのイメージが強いので、見ている時はつい比べてしまう部分もあったものの、ライブの音量と熱量はものすごくて、今思えばロンドンのキャストのほうが良いところもいっぱいあった。2時間あんなに濃いパフォーマンスを毎日しているなんてプロはすごい。というか、ハミルトンのキャストなんて世界でも最高峰のパフォーマーの集まりでしょう!そんなものをちょっと電車に乗って、チケット数千円払って気軽に見に行くことが出来て、すごく良い経験だった。子供に見せられて良かった。

ロックダウンの時に、このミュージカルのもとになった伝記も読み始めたのだが何しろものすごくぶっとくてしばらく放置していたので、続きを読まなければ。

日本語訳もあるらしい!



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