愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

ネット界の探偵ナイトスクープ的番組

台所で料理したり洗い物をしたりする時、日英のラジオ番組やポッドキャストをよく聴いています。アメリカにいるときは、運転中に聴くことが多かったんですが、車を持たなくなったイギリス生活、こういうところから情報を入れる機会がぐんっと減ってしまったのはちょっと残念ではあります。それでも今も毎回楽しみに聴いているおススメポッドキャストは断然これ。

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有名な番組ですけど、ReplyAllというPJとアレックスというおっさん2人がホストのポッドキャスト。視聴者からの依頼に基づいて、時には自分たちの疑問に基づいて、複雑に入り組んだインターネット上で起きている現象、さまざまな謎や疑問を徹底的に究明する、まさしくネット界の探偵ナイトスクープ的な番組です。

謎に迫るため、時に海外に飛んだり、ツイッターなどで呼びかけて様々な人にインタビューしてみたり、ハッカーにコンタクトを試みてみたり・・・と調査の過程がワクワクする話が多いのだけれど、私が最初に友達に教えてもらって「面白い!」と聞き始めるキッカケになったのは、このエピソード。

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我が家にも時々かかってきていた、明らかにインドからかかってきている詐欺電話。マイクロソフトのふりをして、あなたのコンピューターに問題があります、と言ってきたり、うちによくかかってきていたのは、税務署のふりをした振り込め詐欺だったり。これは、ホストのひとりアレックスが、インドから自分にかかってきたそんな振込詐欺電話のオペレーターに何度もしつこく電話をかけて会話を続け、こういう電話をしているのはいったいどんな人達なんだと、実際にインドに飛び、このコールセンターを突き止める話(これは3年位前のエピソードなんですが、最近の後日談もあり)。

ある意味ジャーナリスティックな番組でもあり、時にはっきりした答えが出ない回もあったりするのですが、とにかく手探りで未知の世界に迫っていくので、その過程を聴くのがかなりドキドキワクワクします。

この他に印象に残ったエピソード

  • 子供の時によくラジオで流れていたあの曲。歌詞やメロディを覚えているけど曲名がわからない、というのはよくある話。でもこの曲を明確に覚えている依頼者が、あの歌はなんだったんだろうと歌詞を検索しても、何一つヒットしない。ネットにさえ乗っていないって、一体どういうこと?!と依頼を出した回。この依頼者の記憶に基づいて、実際にプロのミュージシャン達に曲を再現してもらい、調べて回るのだけれど、とにかく依頼者の記憶力がすごいのに感心した。

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ちなみに記憶だけで再現したものと、実際の曲の比較はこちら。依頼者自身は結構音痴なんだけど、スタジオに入って歌手やバンドの人達に、自分の記憶だけでかなり細かい指示を出して再現してたのがほんとに凄かった(まさに探偵ナイトスクープの依頼者っぽい)

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  • 友達と内輪で録音して、YouTubeにアップしたクリスマスソング。再生数も二桁いくかぐらいのこの曲が、ある日スーパーに行ったらBGMとしてかかっていた、なんで?!という回。この回の結論はちょっと哲学的なものではっきりはしなかったけど、アメリカのスーパーでよくかかっているBGM音楽を提供したり、アナウンスを作成する業界があるというのも面白い発見だった。

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  • スナップチャットのIDを乗っ取られてしまった人のアカウントを取り戻す話。シンプルでユニークなIDはよくハッキングされ、その後売買されるというのはよくあるんだけれど、ここではアカウントを乗っ取ったハッカー接触して、問題を解決。このあいだTwitterの有名人のアカウントが沢山乗っ取られて、犯人がティーンエージャーだったという事件があったけど、ここで登場したハッカーも、高校生。ただ最後はちゃんと謝って考えを改めるところが、素直で結構普通の子という感じであった。

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  • カナダのガール・ガイド(ガールスカウトのこと)から送られてきた間違いメール。間違いなのを隠して面白がってやり取りしていた相手をインタビューしたのがきっかけで、今も引き継がれているガールガイドのスローガンの裏側に、第二次大戦時代の辛い経験が隠されているのを知る回。戦争中中国にいた西洋人の子供達が、日本軍の捕虜として収容所に入れられ、飢えなどで辛い経験をする話なのだけれど、一緒に捕虜となったガールスカウト精神を持った先生達のおかげで、辛いながらも前向きに生活して、最後にはアメリカ軍に救出される。この収容所にいた当時4歳のベルギー人男性が、今になっても見るという悪夢が、この番組のインタビューを通じて、実は彼らが解放された日の出来事の記憶だったことがわかるくだりで、涙がどばー。

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この他にも、「大昔に買った私のビットコイン、どうなったでしょうね?」「Facebook上で高校生が存在しない会社のページを作って想像上の経営をはじめたら想像上の社員がいっぱい入ってきたけど本物の大人が入社してくるようになったらとたんに経営がおかしくなった話」「ネット上で出回ってる写真の本人を探す話(日本だったら「チャリで来た」のプリクラの中学生みたいな)」「無くした携帯の位置情報を追ったらここだった、と知らない人達が沢山我が家にやってくる怪」「塀の中からブログをアップデートし続ける終身刑受刑者とのインタビュー」「全国のドミノピザの注文システムに時々現れる、2ドルのコカ・コーラのテイクアウト注文だけをするアダム・ピーシーズという謎の人物」「犯罪防止にデータ解析を取り入れたら数字だけにこだわり過ぎたために様子がおかしくなってしまったNYPDの話」

などなど挙げだすとあれもこれも・・・とキリがないので、ご興味のある方は英語のヒヤリング練習も兼ねて?ぜひ聞いてみてください。2人の笑いがかなり独特なのもツボ(笑)番組のページには文字での書き起こしもあります。