愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

フルート修理と再発見

クラシックの本場ヨーロッパにいるから、もっとフルートを吹く機会が増えるかと思ったものの、数か月に一度ワークショップに行くか行かないか程度で、実はあまり楽器にさわっていない。今、自分の興味の焦点が少しフルートから離れてしまっているのもあるが、たまには練習しないとなぁ、と楽器を取り出してみたら、音が出ない!

見るとキーの一つがきちんと閉じなくなっていた。ガーン!

ベイエリアにいたときには、プロ・アマの修理を一手に引き受けている個人の方に修理をお願いしていた。数年に一度、お願いする程度だったのにもかかわらず、私の細かいことを驚くほどよく覚えてくださっている人で、彼女の自宅兼工房に行って、色々おしゃべりしながら楽器を見てもらっていた。そんな良い修理環境がロンドンで見つかるかわからないけど、ここでも信頼できる修理屋さんを探さねば!

ロンドン市内にはフルート専門店が2件あり、だいたいこのお店の名前が挙がるので、今回はその一軒にお願いすることにした。

メールで状況を説明して、楽器を持ち込む。お店というより、事務所みたいな感じのところに楽譜がだーっと並んでおり、楽器を買う時の試吹などは予約して別部屋で、という感じらしい。ここで立ったままお店の人に壊れている個所を見せて、預けておしまい。

2-3日で修理は完了、テキストで連絡が来たので、引き取ってきた。今回はメンテナンスのお願いはせず、キーの修理だけだったので、35ポンドで済んでホッ。

フルートだけでなく、バイオリンを少しかじった時の経験から、楽器の修繕の時には、工房の人と一緒に楽器を見てじっくり話す感じをイメージしてたので、職人さんなのかお店の人なのかわからない人がぽっと楽器を持ってきてハイ、と渡してくれるだけだったので、ちょっと微妙というか、物足りなく感じてしまった。

隣で電話対応していた別の店員さんの話ぶりだと、欧州各国にフルートを出荷したりもしているみたいなので、ベイエリアにいたときのようにローカルに集中したビジネス、というわけではないのも、ちょっと感じが違う理由なのかもなぁ。

アメリカでの職人さんがいつもきっちり調整してくださってたので、そこまで大がかりな修理は必要ないと思うけれど、何しろもう吹き続けて35年ぐらいになろうとする楽器である。いずれはオーバーホールが必要になるのかなぁ。そうなるとかなりの出費なので、貯金しつつじっくり信頼できるところを探さなければならない。

ただ、今回楽器を修理に持ち込んだことで、うれしいこともあった。メールで問い合わせた時、フルートのメーカーとモデル名を聞かれたのだけれど、私のミヤザワフルートはずいぶん古くて、製造番号はあってもモデル名の刻印がない。思えば自分の楽器、総銀製だということは知っているが、モデル名を気にしたことも今まで一度もなかった。そのことをなんとなくツイッター(X)で呟いたら、ミヤザワフルート公式さんからお返事が!うわーうれしい!

(なんとなくいつかツイッターがなくなった時のために埋め込みリンクじゃなくてスクショにしてみた)

早速製造番号をお伝えしたら、私の使用モデル名(もちろんもう製造はされていない)、そして今だとどのモデルと同等なのかを教えていただけた。35年たってようやくわかった私の楽器の素性!ちなみに、ドローントーンホールとはフルートのキーの穴を、管体の素材をひっぱりあげて作る方法。ソルダードトーンホールは、別に作ってはんだ付けしたもの、だそう。もとある素材を引き伸ばして作るか、別付けするかで、重さや音色が変わる・・・なんてことも今まで全く気にせず来たよ!!

それはつまり今の楽器が壊れ知らず+非常に良いので、買い替えるということを考えることなどみじんもなかった、なのでモデルが・・とか考える必要もなかったということ。実はこの楽器は2本目で、その前にはヤマハの学生モデルのものを使っていたのだけれど、それは今はもうがたがたボロボロで音さえでないから、えらい違いだ。

13歳からずっと一緒のこの楽器。今回の修理で思わずさらに愛着が湧くこととなった。