愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

メンテナンスとフルート愛



このカテゴリーで何かを書くのは何年ぶりだろう(厳密には4年ぶり・・)。恐ろしいほど放置していた私のフルート。

ここ1−2年はなぜか楽器を触ることも億劫になり、ケースから出して吹くことさえほぼしていなかった。その分何をしていたかというと、食べ物のことばかり考えたり、おもに子供のピアノの練習を見るので腹一杯になったり、他の楽器に気を取られたり(そのうち後述)、まあ仕事もしていたり。

そんなこんなで、「今年やりたいリスト」の中にいつもありながら、毎年未消化で繰越され続けてきたフルートのメンテナンス。フッターのメカニズムが緩んで、フェルトも取れてカチャカチャうるさい。そんな修理ぐらいとっととやれば良かったのだが、好きなのに遠ざかっているものに対する変な気負いもあり、なかなか動けなかった。

しかし今年の私は違う!(ってもう年も暮れかけているけれど)「ここに書き出したことは絶対実行するノート」を作った私はとうとうほぼ10年ぶりにサンフランシスコ市内にあるLさんの工房に足を踏み入れた。

Lさんはベイエリア、西海岸のフルーティストの楽器修理を一手に引き受けている専門家。彼女のところにフルートを持ち込んだのはこれで2回目。最後に見てもらったのは実に10年前だった。楽器のメンテは7〜13年ごとにすると良いらしいので、タイミング的には結果良かったみたい。

それにしても毎回驚くのは、Lさんのものすごい記憶力。最後に会ったのは4年前。私がロバート・ディックのマスタークラスで演奏した時だったが、4年前に会った時も、6年前に私が楽器を持ち込んだことだけでなく、当時私がどこに勤めていたかさえ覚えていて驚いた。そして今回も私が長年誰に習っていたか、私の演奏がどんなだったかまで普通に覚えていて、10年の間に3回ちらっと会っただけの人とは思えない。

工房で楽器を見てもらいながら、フルートや音楽の話をすること自体も久しぶりで、なんだか放置されて乾いていた植木鉢に新しい土が入り水が注ぎ入れられたような気分になった。ちょっとベイエリアのフルート業界の噂話もしながら、今するべきこと、会うべき人についても示してもらった。あとはまたさらに動くのみ・・。

ピアノと違ってこういうケースに入った楽器は取り出して組み立てて、という余計な手順があるので、少しでも気持ちが怠けるとすぐに触らずに済ませられてしまう。でも同時に、やはり子供の頃からやってきたことは、ずっと体に染み付いて取れないみたい、吹けば吹くほどまた感覚が戻ってくるのが嬉しい。練習は裏切らないって本当かもしれない。だったら練習しろ。

なんとなくアマチュアとしてフルートでできることに関して頭打ち感を感じて遠ざかった部分もあったけど、当然ながらまだまだ未熟、そういうところを一つ一つちゃんと洗い出して、もっとちゃんと考えながらできることってたくさんあるはず。

以下は自分用の練習テーマメモ。これをブレークダウンしてやっていく。

  • 音量の改善、特に低音(特に管楽器だけの室内楽の時問題あり)
  • ダブルタンギングの改良(リムスキーコルサコフ、ロシアの復活祭のカデンツァから)
  • どの曲も綺麗に吹けるがどれも同じに聞こえてしまう問題。曲やジャンルによっての音の使い分け、違う音質を出す方法
  • 今の楽器の限界の見極め
  • 落ちまくっている肺活量と体力を取り戻す
  • 大人の生徒に対しては甘い先生がアメリカには多すぎるので、上記のことを一緒に考えてキビシク指導してくれる人を探す(Lさんから案あり)
  • 近代曲もこなせるピアニストを探す(リノスの歌とかw)
  • 出産前に中途半端に仕上げて終わってしまった「リノスの歌 Chant de Linos」もう一度。パユさんのこんな写真付きの録音があったw


Andrè Jolivet - Chant de Linos EMMANUEL PAHUD (Live)

なんのことはない、岡村さんのオファーシリーズを見てしまい、やはり練習して見えてくる世界のことを考えたらテンションが上がってしまった、というのもあるのだけれど(笑)、この気持ちを忘れないようにここに書いておく。色々気が散って興味があっちこっちに行ってしまう自分ではあるが、なんだかんだ一番すっと自然にできるのはフルートなのかもなあ。