愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

ユーロビジョンの奇跡

イギリスに来てハマったもの、それはユーロビジョン。

アメリカにいる頃は、お髭の歌手コンチータABBAを輩出した、国対抗で歌手が出場して歌を競うというヨーロッパの歌合戦、ぐらいの認識しかありませんでした。

一応その認識で合ってるんですけれども(笑)、ロンドンに引っ越して来てからちゃんと見るようになり、思い切りハマってしまった・・!

毎年5月、予選を勝ち抜いた25か国の代表がそれぞれの持ち歌を披露。各国の審査員が一番良かったと思う国に投票するほか、視聴者も電話投票をして優勝者を決めます。

ポップあり、フォークソングあり、ヨーデルあり(笑)、デスメタルあり(特に北欧勢は秀逸)、正統派の歌唱あり、何度見ても意味不明なものもあり・・・。「欧米」と日本ではひとくくりにされがちですが、歌手のラインアップ、パフォーマンスを見ていると、このフレーバーはもう欧州ならではとしか言いようがないものがあります。

YouTubeで見つけたユーロビジョン入門。色んなタイプのシンガーがいる

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今年のユーロビジョンはどっちかというと、あんまりクレイジーみが少なくて、コンベンショナルな感じの歌い手が多いなあというイメージでしたが、

変てこグループもあり(今年はノルウェー

楽しいフォークあり(今年はモルドヴァ

英語で歌う歌手が増えている中、自国語で独自路線のパフォーマンスもあり(今年はセルビア、手を洗ってる)

一曲ずつは4分もないんですが、それが25か国続くのでなかなか長丁場で、夜の8時から12時までえんえん4時間番組が続きます。ほぼ紅白。

こういう時は特別に、家族でテレビの前にご飯を並べて飲んだり食べたりしながらワイワイとコメントしながら鑑賞(そしてTwitterでも欧州在住の人達とコメントしあってバーチャル視聴パーティーも)するのがすごく楽しい。

今年の優勝は、特に視聴者からの電話投票数が異様に多かったウクライナ。同情票も多かったとは思うけれど、ラップと民族風メロディとが融合した不思議にキャッチーな曲でした。

優勝後にリリースされたミュージックビデオは、実際にロシアに攻撃され、一時占領されていた地域で撮られたとのこと。ステージでのパフォーマンスとはまた違ったインパクトが・・(バンドのメンバーは翌日にはウクライナに戻り、前線に向かうとのこと・・涙)


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今年はロシアが参加禁止になったり、なんでも視聴者投票の結果をロシアのハッカーグループが操作しようとして失敗したらしいという報道が出るなど、政治的要素がそれなりに濃い回でもありました(一応政治的発言などは禁止されている)。

ただ今年に限らず、各国の審査員は、パフォーマンスの内容にかかわらず、自国の友好国に投票する傾向あり。各国の関係性が毎年浮き彫りになるのもなかなか興味深いです。例えばトルコと仲悪いキプロスは毎年絶対ギリシャに入れるとか。今年はやはり近隣国のポーランドリトアニアラトビアなんかがウクライナに投票していました。

が!今年一番の奇跡は、万年ドベで、一般投票では0点を叩き出すこともあるイギリスが!!審査員投票で暫定一位に躍り出たこと!!

あまりの快挙に「みんなテレビの写真を今のうちに撮っておいて」とテレビ解説担当のグレアム・ノートンがコメントするほど。

さらにショッキング(?!)だったのはフランスの審査員がイギリスに投票したこと。イギリスに来るまであんまり気づいてなかったのですが、英仏の関係って、愛憎混じった感じでなかなか複雑なんですよね(苦笑)お互い憧れがありつつも、自分達のほうが上、と思っているふしがあったり、政治的にも手を取る部分もある一方、交易やら漁業やらで揉めに揉めたり、まあBrexitもありましたし・・・。

そんな関係性のフランスがイギリスに入れたので、「フランスがイギリスに投票するなんて、明日世界が終わるんじゃないか」ぐらいの勢いで皆さん大騒ぎでした。

イギリスの今年の参加者がTikTokで超人気な人だったらしくて(知らんかった)、曲も良かったんですけれど。もし戦争がなかったら、イギリスが優勝してた可能性もなきにしもあらず・・・。いや、ウクライナの審査員がイギリスに投票したように、イギリスの対ウクライナ、対ロシア姿勢も評価につながったのでは、という記事もあったので、うーんやはり政治が大きく左右しているユーロビジョン、なのか。

そんな感じで特に最後の投票結果発表は、かなりスリルとサスペンスで見終わった後はぐったり疲れてしまいました(苦笑)

翌年の開催地は、今年の優勝国がホストする決まりになっています。つまりは来年はウクライナで。早く戦争が終わって、平和なウクライナでの開催が実現するといいんですが。


おまけ:
Netflixで視聴できる、このユーロビジョンの様子をパロディにした映画Fire Sagaもユーロビジョンのエッセンスをうまくつかんでいて面白い上に、意外と曲も良くてちょっと感動もしたりするので、おススメ。

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特に映画を見たあともハマってしまって、YouTubeで見つけて何度も聞いてしまっている曲がこれ。アイスランドの予選で登場する「21st Century Viking」という歌手の歌(笑)映画では30秒ぐらいしか登場しないんですが、実際にちゃんと4分弱の曲が作りこまれていて、映画で流れなかったけどちゃんと山場があったり、かなり好きな曲。あと歌手のビジュアルと歌のギャップも、ユーロビジョンっぽくて凄い好きです。

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