愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

Julie & Julia


アメリカに、フランス家庭料理を紹介した人として知られる、ジュリア・チャイルド。彼女が1960年代に出版したフランス料理の本は、今でもベストセラーになっています。彼女はもう亡くなってしまっているけど、独特の声で話す彼女の料理番組、良く見ていたというアメリカ人は多い。


以前、フルートの巨匠ジェームス・ゴールウェイさんがナパでマスタークラスを開催したときには、施設に併設されていた、彼女にインスピレーションを受けた料理を出すレストランがあって、そこにも寄ったことがありました(もうなくなっちゃったんだけど。涙)。


そんな彼女のお料理本ですが、700ページぐらいある分厚いもので、レシピも500種類ちょっとあるらしい。そんな膨大なレシピを、1年間で全部料理する!と宣言し、その過程をブログにした人がいます。本当の話。


2002年のニューヨーク、9・11テロ事件の後、被害を受けたエリアを再構築するための会社で鬱々と働いていた作家の卵のジュリーさん。料理することがストレス解消。そしてある日思い立って、ジュリア・チャイルドの料理本のレシピを全部制覇する、そしてそれをブログにする!とその名も「Julie/Julia project」を立ち上げます。その当時のブログがまだ残ってるのですが、これがまた2002年仕様。写真もないし、すべて文章、デザインもナビゲートもしにくく、まさにWeb 1.0の時代のもの!


このブログが人気になって新聞にも取り上げられ、最後には本が出版されて、それでもってその本がこの映画になった・・・というのが、「Julie and Julia」です。このブログを書いたジュリーさんのエピソードの合間合間に、ジュリア・チャイルドの自伝をもとに、彼女がフランスで料理を学び、そしてアメリカで料理本を出版するまでの話も織り交ぜられていて、2つの実話をもとに作られた映画、という形になっています。


Julie and Julia

Julie and Julia

My Life in France

My Life in France


細かい映画紹介をする気はないんですがー、なによりもジュリアチャイルド役のメリル・ストリープがすごかった!ジュリアチャイルドの独特な喋り方(時にはこの人酔っ払ってるのでは?と思ってしまうような)、モノマネの域を超えている。今ジュリアチャイルドの写真を見ても、どうしてもメリル・ストリープに見えてしまいます。


予告編:http://www.youtube.com/watch?v=vjvJHsJD8ic


ジュリアチャイルドが料理を学び始めたのは39歳の時。それまではなんとOSS(戦略諜報局)にいて、事務仕事とはいえ、ドイツのUボードを攻撃するための海中兵器が、サメに邪魔されて誤爆しないよう、「サメよけ」の開発のアシスタントなんかをしていたんだとか。中国にも駐留してたこともあったそうです。料理はフランスのアメリカ大使館に務める旦那さんと結婚して、主婦になってから始めたわけ。すごい転職だなぁ・・・。


ものすごいドラマがある映画というわけではないんだけれど、ジュリーのエピソードも、ジュリアチャイルドのエピソードも、自分の本当に好きなことを続けることの大事さ、特にジュリアと旦那さんのエピソードでは当時のマッカーシー旋風の話も出てきますが、異なるものを受け入れて、世界を広げていくことの大事さを教えてくれたような。


映画を見たあと、実際のブログもちょっと読んでみたけど、かーなりFワード満載でした。ブログの作者のジュリーさんも実際はこの映画のようなカワイラシイキャラクターではなく、実際この映画に盛り込まれなかった部分はかなりいっぱいあるっぽいですが、フィール・グッド・ムービーってな感じに作られています。そしてこの映画を見終わったら、絶対フランス料理が食べたくなるよ・・・と、最寄のフレンチレストランまで見繕ってからでかけたのですが、レストランで食べるよりも、とにかく映画を見終わった後、速攻でキッチンに戻って料理がしたくなる映画でした。


もちろんこの後、陳家では彼女の料理本を早速購入。この映画が封切られた後、実際彼女の料理本を買う人が激増して、アマゾンでは料理本というカテゴリーではなく、本全体の売上のナンバーワンになったんだとか!そして映画でも出てきた、「ブフ・ブルギニョン」、つまりは牛肉のブルゴーニュ風、つまりは牛肉の赤ワイン煮込みシチューを早速作ってみました。手順はそんなにややこしくは無いんですが、オーブンに入れて煮込んだりするので時間はたっぷり3時間ぐらいかかったかな?煮込んでいる間に、小玉葱も別に煮たりするんですが、この小さな9個の玉ねぎのために小さなブーケガルニを作ってみたり。


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でも出来上がった料理の味は・・・・・ぜ、絶品!!!!!


1日目の夜は茹でたパスタと一緒に。2日目は、バターライスと一緒に。煮込めば煮込むほど美味くなる(映画ほどではないにしろ、2日目は旦那がちょっと鍋を焦がしちゃったりしもしたんですが。笑)。結構バターをたっぷり使うのでお腹まわりが気になりそうなのと、ブログの作者みたいに、1年中ずっとフランス料理を食べ続けるっていうのは辛いので、やっぱりこの本のレシピ全部制覇、っていうのは無理かもしれないけれど、もっと色々試したくなってきた、ジュリアの料理本でした。そういえば義理の兄は、アメリカ版料理の鉄人・イタリアンの人、マリオ・バターリの料理本一冊全部料理したことがあるって言ってたなあ・・・。


Mastering the Art of French Cooking, Volume I: 50th Anniversary

Mastering the Art of French Cooking, Volume I: 50th Anniversary


料理熱がますます高まる陳家。ということで、最近このブログよりも頻繁にアップデートされているのが、陳家の料理ブログ「陳家の食卓」。大昔の旅の話などもございます。いつまで続くやら、こちらも夜露死苦