愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

ベトナム墓めぐり


よく考えたら、何を好き好んで人の墓を見に回るんだ、なんて思ってしまうけれど、お墓に行くと、そこに葬られた人を知る機会にもなり、それぞれに個性もあって面白い。


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ベトナムのラスト・エンペラー、カイディン帝のお墓は、西洋趣味も取り入れた、ごてごて風。おフランスの傀儡のようになっちゃって、最後は酒やら快楽におぼれて若くして死んじゃった、ある意味典型的なラストエンペラーです。でも人望がなくてもこんな立派なお墓を建ててもらえたのか。お墓は派手派手ですが、ちょっと虚しい人生だったのかしら。飾ってあった白黒の彼の写真は、ものすごいおかっぱのおっさん、でした。


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最後に訪れたのが、ミンマン帝のお墓。まだ体調が本調子ではなかったので、体力温存のため、私はお墓は見ずに、バスの中で昼寝。とにかくベトナムで何が良かったって、まるで昔の田舎かどこかにいるような、空気と音。バスの中は、暑くもなく寒くもなく、今までに経験したことのような、「ちょうどいい」空気が漂っていて、外からは、バイクがぶーんと走る音や、犬が遠くで吼えている声、誰かが何かしゃべっている声、工事をしているのかどこからかかんかんとたたく音・・・・さらには物売りの声まで、いろんな生活の音が聞こえてきます。そしてしばらくすると、優しい雨がぱらぱらと、その雨音が木の葉や地面に当たる音・・・。そんな音を聞きながらの昼寝が至福でないわけがない。


気がつくと雨足は強くなっていて、ツアーの人たちは雨合羽をかぶってあわただしくバスに戻ってきました。空や外の空気の色が、なんだか赤っぽい。そして、湿気で苔むしたお墓は、なんだかものすごく不気味でこわーい印象に。実際、最後のほうまで残っていた旦那は、雰囲気があまりにも鬼気迫るものだったらしく、びびりながら帰ってきました。実際、このお墓にどーんと設置されている石の棺おけは、空っぽなんだそうです。皇帝は静かに眠りたかったのか、実際に皇帝がどこに葬られたのかは、わからないんだそうです。一部の人たちが埋葬にかかわったそうですが、埋葬が終わったあと、彼らは死んだ皇帝の指令で、殺されちゃったんだとか。ひえぇぇ〜!!


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帰りはボートに乗って、フエを流れる川を下って街に帰る、ということだったのですが、帰りの飛行機に乗らないといけなかったのと、病み上がりな上に船酔いしがちなのに、この雨の中ボートは殺人的すぎたので、お願いしてバスで戻ってもらいました。帰り道にはフエの下町のようなところを通りました。マイクロバス1台がぎりぎり通れるような道路の両脇は、本当に昔の日本のガード下のような、バラックのような、文化住宅のようなたたずまい。雨足が強くなる中、かっぱを着た人が乗るバイクが道をすり抜けていったり、電気がついた店先には雑貨が並んでいたり、中で子供が勉強していたり。