愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

エジプト③ カイロ博物館

カイロ初日は早速カイロ博物館に足を運ぶ。ナイル川沿いにどーん!とあるこの博物館。隣にはヒルトンホテルもどかーんと建っていて、観光客でごった返し。やはりエジプトの最大の産業のひとつは観光というだけあって、白い制服を着た観光警察が博物館の周りにわんさかとたむろっている。観光警察の写真は本当は撮ってはいけないのか、あまりの暑さにパトカーに乗ってみんなでぐーすかと昼寝をしているところを撮ろうとしたら一人がガバッと起き上がってダメー、とやられた。後でピラミッド近辺に行ったときには、あっちのほうから「一緒に写真とるか〜?(もちろん一緒に撮った後は「バクシーシ」を要求される)」と言ってくることも多かったから、うーむ、寝ているところを撮ろうとしたのがいけなかったのか・・・。


Cairo museum


それにしても暑い。暑すぎる。イスラエルの比ではないくらいの灼熱の暑さ。エジプトにいる間は、毎日2リットル入りのペットボトルの水を二人で3-4本はがぶ飲みしていた。さらに観光地とはいえエジプトでエアコンが効いているところはそんなに多くはなく、カイロ博物館も例外ではなかった・・・。世界でも重要な遺産がそろっている場所とはいえ、冷房は無し!というか建物や展示そのものがすでにアンティークなのである。


展示物が入ったケースは木製のガラスケースで、パピルスだろうが何だろうが温度や湿度調整もなくそのまんま。ガチョウの羽で出来た数千年前の扇に至ってはもうポロポロの粉状態になっているし・・・。さらに博物館のお掃除スタッフが、展示物の入ったガラスケース(古いから結構透き間もありそう・・・)にガラスマイペットみたいなのをしゅっしゅっと吹きかけて思い切り雑巾がけ。別のエリアでは5分でシンナー中毒になるよ!というくらいものすごいにおいのワックスを床にかけていたりして、まるで昼休みの学校の掃除の時間状態。展示物に影響は無いのだろうか・・・。展示の説明も、50年ぐらい前にタイプライターで印字した、色あせて茶色い紙がぺろっ、と置いてあるという感じ。


それでも置いてある展示はやっぱり圧倒されるものが多く、これ歴史の教科書で見たよなぁ・・・という宝物の数々を汗だく、時に暑さでふらっとなりながらも、水をがばがば飲みながら堪能した。ファラオの大きな石像などもそうだけれど、いつ見てもわぁぁぁ・・・と思うのは、ローマ帝国時代のエジプトで描かれた死者の肖像画。包帯でぐるぐる巻にしたミイラの顔の部分につけられていたものなのだけれど、これがものすごいリアルなのです・・・。特にエジプトというと、ファラオのお墓に描かれた単調な人物像を想像しがちなので、これはその中でも郡を抜いてインパクトがある(ニューヨークのメトロポリタン博物館でも見られますよ)。


そしてやはり目玉はツタンカーメンの黄金のマスク、そして歴代のファラオのミイラ(これは別料金を払って入る)の展示。この2つの展示だけは、冷房が入った特別展示室に設置してあるので、涼むにも最適!展示室が薄暗いのもあって中で昼寝している親子もいた(笑)。確かすごーく昔にツタンカーメンのマスクが日本に来たことがあって、当時学生だった父がものすごく並んでマスクと対面したことがあったんだとか。でも多分見れたとしても混雑しているし、ほんの一瞬のことだったみたいだけど、私たちはがらーんと誰もいない展示室でツタンカーメンさんに至近距離でのご対面!そしてやっぱり、ミイラはすごかった!歴史上の人物が、こんな干物になって私の目の前に転がっているなんて!クフ王はものすごく長寿だったらしい、でも最後は虫歯がものすごいことになってかなり苦しんだみたい。


一見「単調」に見えるピラミッドなどの壁画(みーんな横向いてるのね)やファラオの石像も、代々のファラオを見て見るとひとりひとり特徴が違う。本当かうそかは別としてまぁ〜なんとも鍛え上げられた肉体!という感じのマッチョ系のファラオがいるのに対して、かの有名な馬顔のアメンホテプ4世はすごい!テーベに首都を移し、信仰を一神教に切り替え、写実的なアマルナ美術を振興した・・・というのは教科書で習ったとおり(彼の超美人の奥さんのネフェルティティの胸像は有名・・)なのだけれど、その写実的なスタイルは彼の石像にもいかんなく発揮されている・・・。アメンホテプさん、馬面だけでなく、全体的にもひょろりんとした体型にもかかわらず、


ビールっ腹、すごっ! 
尻、でかっ!


典型的な痩せの運動不足のぶよぶよ体型。これって昔でも魅力的とはいえないはずなのだけどそれを隠すこともなく巨大像にしちゃったところは、終始一貫していてエライ!!!


アンティークな博物館なので、展示物には説明もあまり無いので、ガイドさんを連れてやってくる人達も。そんな中、北京語をぺらぺらと操り中国人の団体客を引き連れたエジプト人のおっちゃんに遭遇。パピルスのことなどをまあ完璧なピンインで説明していた。スゴイナ〜。