カイロの街で高いところに上ると、地平線の彼方、砂塵の間からピラミッドがぼーっと見えます。近くで見るピラミッドより、遠くから見えるピラミッドのほうが、何か不思議というか異様な雰囲気をかもし出しておりました。近くにいくと、どうも観光地化しすぎていてちょいと興ざめなのです。なにより、みやげ物売りのしつこいことといったらかないません。絵葉書を持った子供とかが追いかけてきます。一度相手にするとハイエナのようにたかってくるので、いらないならとにかく徹底的に無視して吉。
ギザに行く午後のツアーは、ちょっとアメリカナイズされたエジプト人のお兄ちゃんがガイドでした。ツアーのメンバーは変なイギリス人のおっさん、オーストラリア人夫婦、アメリカで経済の教授をやっているというインド人のおっさん、おばさんと姪で一緒に旅しているというアメリカ人2人。そしてこのインド人のおっさんが曲者だった・・・。ドバイかどっかで学会を終えてアメリカに帰る途中にエジプトに一人で寄ったそうだが、とにかく一人旅がうれしいらしく、もうテンションが高い。何というか節度なく人にしゃべりまくって一人ではしゃいでおり、バケーションだからあまり仕事の話はしたくないわ、と私が言っている先からもうひつこく私の仕事のことを根掘り葉掘り聞いてきたりするのでうんざり。さらにこのおっさん、ガイドの注意を聞かずにみやげ物の客引きに興味を示したりするので、エジプト人にぐわーっと取り囲まれて身動き取れない状態になり、どこへ行くにも一人置いていかれる格好に(笑)最後はツアーガイドのお兄ちゃんが怒鳴ってみやげもの売りを蹴散らしていましたが、その間にインド人のおっさんは、みやげ物売りによって頭に変なターバンを巻かれ、しっかりお金もまきあげられていました。ほんとに経済の教授なのか?
この左のほうで、白いターバンを巻いてるのが問題の教授。
ギザにある3基のピラミッド、オリオン座の3つ星と寸分たがわない配列で建てられているというのをテレビで見たことがあります。ちょっと離れて見ると、そんなに大きい感じもしないけれど、近くに寄ったら石のひとつひとつはものすごく大きい。
石室の中にも入りました。もともと人が入るようにデザインされたわけではなく、墓泥棒があけた横穴から入るのでものすごい狭くて、急。さらに空気が薄くて胸が締め付けられる〜!しかし苦労して入った石室は、ただの「がらんどう」でした(涙)。でも中に、おそらく百年以上は前のものであろう落書きとかもありました。ピラミッドパワーは特に感じず。
どうもスフィンクスでーす。ちょっと工事中
そして午後のツアーでも避けられなかったのが、お土産屋訪問・・・。ツアーガイドのお兄ちゃんは良心的で、値段交渉を直接助けてあげることはできないけれど、これ以上の値段だったら買わないほうがいいとか、いらないなら毅然と断ってもOKとか、色々アドバイスをくれました。といっても、お土産など買う気もなかったので、ぜーんぶ聞き流していましたが・・・。
まずは香水の店に連れて行かれ、応接室でお茶をいただきながら色々な香水の試し嗅ぎ。エジプトでは、シャネルとかのブランド香水の調合に必要な、香水の原料を結構生産しているらしく、ものすごいハッカ油(お湯にたらしてにおいを嗅ぐと鼻づまりが直る)から、「クレオパトラのなんとか」って名前がついたオリジナルブレンドから、結構色々な種類のものがありました。でもかなり高い。何か色々な詰め合わせで200ドルとか何とか。もちろん私たちは買う気はなかったので、早く終わらないかなぁとぼーっとしてましたが、またここでインド人の親父が「奥さんに」とか言って食いついてきて、うれしそうに交渉を開始・・・。しかし、値段交渉をした経験なんて無いのは日の目を見るより明らかで、思い切り丸め込まれてしまい、さらに高価な香水の容器まで買わされていました。ほんとに経済の教授なのか?
それが終わると次はパピルス屋に連行。ここではパピルスの作り方を実演してくれたりしたので、5分ぐらいは面白かったが、あとはひたすら店内を見て回るのみ。ツタンカーメンの絵とか、「死者の書」の絵とかを額に入れて売っているのですが、まあ我が家はいらないや。しかしここでもまたインド人親父がみんなをさんざん待たせた上に、うれしそうに値切ったつもりでぼったくられていました(笑)本当に経済の教授なのか? まあ、本人が楽しくお買い物できたと思っているのならそれでもいいんですが、おおはしゃぎで「君も何か買いなさいよ!こんなに良いものが色々あるじゃないの!(?!?!)何で買わないの?買え買え」としつこく言うのでちょっと切れました。「墓場に描かれていた絵を部屋に飾るような趣味は無いもので。買う気は無いんだからほっといて。」
ガイドのお兄ちゃんは、結構エジプトの社会情勢とか、色々なことを話してくれて面白かったのですが、ピラミッドやスフィンクスよりも、とにかくこのインド人の親父に振り回されたことばかりが印象に残ってしまいました。もうツアーはやめとこう。