愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

踊って食べるアングライベント


真夜中にパジャマを着てブランチを食べるパーティー(id:Marichan:20050326#p2)など、人のお宅にお邪魔して色々な趣向で美味しいご飯を頂くアングラ・グルメイベントに久し振りに行く。


レストランのラインシェフだった弟が、実験的なメニューをみんなに食べてもらう場として、友達を自宅に呼び、学校教師だった兄がホスト役となっておもてなしをし、参加者は材料費をチップ・インするというシステムで始まったこの「イベント」。レストランというにはライセンスもないし届けもないし、友達の家にご飯を食べに行く感覚。誰かのリビングルームで知らない人たちと隣同士座って美味しいご飯を楽しみ、ミュージシャンなどもやってきてパフォーマンスも楽しむという、楽しい趣向の会なのだった。このおにいちゃんの記憶力が驚異的で、一度会っただけで名前をずっと覚えていてくれる。弟がシアトルに移ってしまったあとも、地元の若手シェフ達が、自分達の実験的なメニューを提供する場として、お兄ちゃんの自宅や色々な場所でイベントは続いてたのだった。


今回はいつものイベントとはちょっと違うくて、市内のダンススタジオで、モダンダンスのパフォーマンスと一緒に、オードブルとデザートを楽しむ趣向。バレンタインの拷問後、固形物を微妙に取れるようになったので、オードブルぐらいがちょうどいい。ダンスも「デザートが最初」というタイトルで、全て食べ物にまつわるダンス。そしてそれにあわせた料理が合間に出されるというものだった。タイトルと同じように、入り口にはチョコレートケーキが。チリペッパーの風味がほんのりするのは、ケーキを焼くときに水ではなくて、チリをお茶のようにして出した水を使っているからなんだそう。この他にも、リコッタチーズやブルーチーズを混ぜた具、そして真ん中にナツメヤシの実が入っているカルゾーネなど、気の利いたオードブルとダンスを堪能した。ダンスもジャガイモの着ぐるみが出てきたり、食パンが飛び交う中踊ったり、あまりダンスのパフォーマンスを見る機会が今まで無かったのだが、音楽と演技と体を使った表現・・・という組み合わせは、ただ舞台でつったってフルート吹いている身としてはとても新鮮で素敵だった。


オードブルをつまんでいる間にはベーシストが出てきてジャズを披露。そして余興として、ダンサーとこのミュージシャンに何かを食べさせ、その味を踊りや音楽で表現してもらい、みんなで何を食べたかあてる・・・なんていうものもあった。


このイベント、一応アングラでやってはいるのだけれど、評判をよんで最近新聞の一面を飾ったり、ラジオで全国に放送されたりとかなり「メジャー化」しつつある。おかげで前回のイベントでは警察が警告しにやってきたそうだ(ライセンスとか無いから)。さらになんとミュンヘンにも同じ趣向で活動をする「支店」ができたそうだし、シアトルやニューヨークなどでも「ツアー」をすることになるそうで、メジャーになるのは嬉しいことではあるけれど、でもやっぱり自分達だけが知っているような秘密っぽい、サブカルチャーの部分が無くなって、みんながどんどん入ってくるのはちょっと悲しい感じもする。