愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

女王様の日本コレクション

バッキンガム宮殿横にあるクイーンズ・ギャラリーでは、王室が所有する美術品を見ることができます。

以前はレオナルドダヴィンチの習作やメモなどの展示を観に行ったことがありますが、それも王室がコレクションとして持っていることをすっかり「忘れ」ていて、ヴィクトリア女王の時代に気が付いて額装した、とのこと。王室の蔵の中、どないなお宝が眠ってるのやら。

今は、王室所蔵の日本の美術品が展示されてます。

「日本の芸術」というタイトルは間違ってはいないけれど、なんとなくこういう風に書かれると、「優の良品」的な中華製日本商品にも思えてきたりして。

しかしここに並ぶ所蔵品はダビンチをそこらへんに転がしておいて百年単位で忘れちゃっているようなファミリーの持ち物・・。

良品どころではなく最高峰の日本の美術品が並んでいるのでした。

これは桃山時代の箱に使われていた塗りの部分をリサイクルして作ったフランス風家具。

焼き物や塗り物などは、日本で言うと江戸前期から中期ごろのメアリー2世やジョージ4世(贅沢王!!)がコレクターとしてオランダや中国商人から色々買っていたらしい。

これはどうやらもともとおひつだったものらしい。それにヨーロッパ風の装飾をあとからつけている。しかも菊の御紋・・。江戸初期のものらしい。

ヴィクトリア女王の息子アーサー王子(コノート公)が何度か日本を訪れており、家族でこんなお控えなすってな写真も撮っています(笑)

この九谷焼も彼が日本で買ったらしい。これは実物を見てうわあ綺麗やあと見惚れてしまった。

エドワード8世(すぐ退位しちゃった人、エリザベス女王のおじさん)が皇太子時代に鹿児島に行き貰ったもの。もうここらへんになると、直接王族に差し上げる!ってことになるので、焼き物のことなど何もわからなくてもいい品や~と思えてきます。

ヨーロッパの博物館や貴族の日本コレクションの中には、素人目に見てもうーん、この絵付けや構図、なんか変じゃない?と思えるもの(特に漆塗や焼き物)があって、多分輸出用だったんじゃ?と思ったりするものも多い。

それに比べると、ここに展示されている品々はどれも間違いないシッカリした品ばかりに見えました。

展示を見ている途中で係員の人に、日本人かと聞かれ、この展示をどう思うかと聞かれたのでそこらへん正直に答えておきました・・。実際のところは、どうなんでしょうね。

文久遣欧使節団の写真も!メンバーのほんの一部ですが写っています。右のは川崎道民とすぐわかる(笑)真ん中の写真はCaldesiというイタリアの写真家が撮ったもの。ハイドパークの北側ベイズウォーターにスタジオがあったそうで、我が家のヒーヒーおじいさんもここで撮った写真があります。

将軍家、天皇家が直接王室に送っているギフトの数々は、もう間違えようがない。最上級の人達が最上級の品物のやり取りをしているわけで、これ以上のものがあるだろうかというシチュエーション。


なんだか自分がこういう、ある意味ちょっと地味でもある日本の美術品に心を動かされるというか、見ていてうわーーーっと感じたのがすごく不思議だったのですが。

ええ品やー。ええ品やー。って、ヴィクトリア女王のダイヤモンドジュビリーのお祝いに明治天皇が贈ったものだそう。そりゃええ品や!

こちらは明治時代の元帥刀。日本国外で存在するのはこれだけ、だそうです。

なんとなく、なんですけど、やっぱり生活がもとに戻りつつあるとはいえ、コロナで色々な感覚を閉ざして生活してたんだろうなあという気がしています。そんな中で、お客もまばらで居心地の良い場所で、最高級であろう品々をじっくり見ることが出来て、何か感覚にうったえるものがあったのかもしれない。なんだかすごくいい気分で建物を出たのでした。