愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

国葬の月曜日

月曜日に国葬が終わり、翌日はまだ余韻に浸ったものの、半旗ももとに戻ったところで自分の中での王室フィーバー(?)はすっかり鳴りをひそめ、もう通常モードである。いずれにせよkeep calm & carry onなのである。世の中はなんだかんだいって何があっても淡々と回るのであった。

国葬の日は当然ながらテレビをずっとつけっぱなしであった。朝10時頃から葬儀の色々が始まり、結局午後6時頃だかにウィンザー城にある教会に、棺が舞台の奈落にすーっとおちる感じで地下に自動収納されるのを見届けておしまい。

当日は本当にお正月かと思うほど外の車も通らず本当に静かなものであった。2分間の黙祷時間の時はそれに輪をかけて近所も静寂だった。なんでもブリティッシュ航空はこの日のために主に国内便100便ほどキャンセルしたんだそう。黙祷時間には、着陸できないカナダ航空機が2機、グルグル迂回していた模様。

そんな静けさに包まれた月曜日だったけれど、閉まっていた近所のスーパーは中継が終わった直後に開いて、パパが買い物に行ったら大盛況だったらしい(笑)

国葬の様子は日本でも中継されていたようで、日本の家族も一生懸命見ていた模様。天皇皇后を探せ!と皆がウォーリーを探すごとく画面を血眼で見つめたり、美しいブータン国王夫妻と民族衣装にくぎ付けになったり、聖職者の誰かがプログラムの紙を床に落としてしまいそれが中継中の棺の背景にしばらく映り込んでいて、おお、いつ拾う?とちょっと話題になったり、外を行進している間中楽隊が何度も同じ曲を演奏するのが、翌日になっても頭から離れなくなったり、ウェストミンスター聖歌隊の中に、ターバンを巻いたシーク教徒のような人が1人混じっていて誰なのか気になったり、棺を担ぐ8人の兵士、同じメンバーが何度も色んなところで棺を担ぐシーンがあったので、やっぱり翌日は肩が痛くなったり筋肉痛になったりするのかな、と心配になったり、8人だと一人分の負荷はどれくらい?と考えてみたり。

ちょこちょこそんな細かい小ネタを見つけつつ、映画のようなカメラワークの凄さと、イギリス文化の真骨頂というような儀式や衣装の色々にも驚嘆しつつ、結局最後まで見届けてしまったのだった。最後にウィンザーに向かう前に棺がロンドンを横断するのは観に行こうかと思ったけれど、どうせ混んでいるかなと断念した。

ひとつ印象的だったのは、BBCのキャスターが女王の死で、戦後がとうとう終わった、的なことを言ったこと。敗戦国の日本でさえもはや戦後なんて遠い記憶になっているのに。でも確かに、戦勝国と言えども国土に全く影響なかったアメリカとは違い、イギリスも戦後の復興はそれなりに大変だったようだし、そんな中で若くして即位した女王が今の今まで在位していたことは、そういうセンチメントにもなるだろうなあ。

翌日の職場では言うほど国葬の事は話題にはならなかったが、超イギリスらしい一日だったね、とイギリス人。特にイギリスっぽいとイギリス人が思ったシーンは、最後の最後に棺の上に、杖を二つに折ってから置いたことだそうだ。あとは遅刻してきたバイデンを教会に入れるときにちょっと待たせたのが嬉しかったらしい。ってやっぱりそこらへん気になるんだとちょっと笑ってしまった(苦笑)

さて戴冠式は来年になるようだけれど、これまた興味深いものが見れそうで、楽しみです。