愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

涙のSFマラソン


7月といえば、ランナーにとっては大きなイベント、サンフランシスコマラソンがあります。一昨年はおバカなジョギングクラブのメンバーとして、ゴールデン・ゲート・パークの中にビールステーションを設置して、ランナーの人たちに水と一緒にビールを手渡したりしていました(笑)


今年は、お友達のNちゃんが生まれて初めて、このマラソンに参加するというので、他の友達を動員して、15人ほどで彼女をサポートする「チームN」を結成。Nちゃん、今年の1月まで、ジョギングなぞしたことが無い人でした。さらに、典型的なアメリカ人?な彼女はかなりのLLサイズ(もともと水泳の選手ではあったそうだけれど・・・)。大丈夫か?という周りの心配をよそに、エイズマラソンチームに入ってトレーニングを始め(アメリカには、特定のマラソン大会に向けて、トレーニングをしてくれるチームが色々あります。Nちゃんが参加したのは、エイズ研究を支援するチームで、参加者はその代わりに、みんなから一定の寄付を集めることになっている)、気がついたら体重も20キロぐらい落ちていました。やー、すごいね。


でもちょっと心配だったのは、ニュージャージ出身のNちゃん、性格がまさしくニュージャージーというか、日本でいうところのちゃきちゃきの江戸っ子、という感じで、結構頑固なところ。トレーニング中に膝を少し痛めてしまったのに、サポーターをつけたほうがいいといっても拒否するし、前日までニュージャージーに里帰りして、現地で結婚式やらパーティーに出席したあげくに、当日の明け方の飛行機でサンフランシスコに帰ってきて、そのままマラソンに参加するという、強行軍をやるつもりだと言う。周到に準備するというよりは、走って見せるぞ!というアグレッションだけでこのマラソンを完走しようとしていることでした。


でもやいやい言っても聞くような人ではないので、多少はランニングの心得がある私や旦那、A君で作戦会議を開き、友人達を数マイルおきに分散させて、応援兼物資補給チームを作ったのでした。水やスポーツドリンク、パワージェルや痛み止め、いざというときの膝サポーターなども準備。私と旦那は自転車があるので、最初の応援ポイントである21キロ地点からスタート、その後別の地点で待っている友人達と次々合流して、Nちゃんと併走したりしながら応援しました。


ゴールデン・ゲート・パーク内にある21キロポイント。霧は出るし、すっごい寒い!!!!Nちゃんはまだ来ず・・・


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途中で歩いたりして、かなりゆっくりペースで走っていたNちゃん。このマラソンは一応6時間がカットオフタイムになっているため、時間が過ぎると道路の封鎖も途中で解除されたりして、最後尾のほうのランナーは、信号待ちをしながら普通に歩道を走ったりしなければなりません。ウォーターステーションも片付けはじめたりしていたので、Nちゃんが来るのを待ちながら、私達が他のランナーにも水やスポーツドリンクを差し出す手伝いをしたり。


カッコいい!と思ったのは、コースを走っていると、バイク野郎のボランティアが沢山いたこと。途中、お髭にサングラス、革ジャン、とヘルズエンジェルスみたいな、ハーレーに乗ったバイカーのおっちゃんたちが、自分達のバイクを使って道路封鎖の手伝いをしたり、道路わきにハーレーをずらっと並べて、ヘビメタ音楽を流しながらウォーターステーションをやっていたりするのを沢山見ました。同じ道路を走るものとしての連帯感がなんともいえず、よかったです。自分達の役目を終えて、バロバロガロガロものすごい音を立てて帰っていく隊列にわーっと手を振ると、ひげのごっついおっちゃんたちが手を振り返してくれたり、ピースサインを出してくれたり。ええのう、ええのう。


これは、最後の給水所37キロ地点にいた、「ポンポン男」。ランナーでもあるこのおにいちゃんは、去年の11月からすでにマラソンを6回走ったそうな!色々ランニングのアドバイスもくれました。足や腰につけたポンポンをくねくねさせてランナーを鼓舞してます(笑)


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最後はこの給水所を手伝いながら待っていたのだけれど、なかなかやってこないNちゃん。旦那が自転車で探しにいったところ、やはり膝がかなり痛くて辛い様子。途中でとうとう私達の言うことを聞いて、膝サポーターをつけたりしていたのですが、遅かった。私達が待つ給水所に着いたら、もう棄権するかもしれない、とかなり辛そう。なにより強靭な意志の持ち主であるNちゃんが、ここで辞めなければいけないということにすごくイモーショナルになっている、ということだったので、彼女が姿を現したとき、みんなでものすごい勢いで応援しました。ずっと泣くのを我慢していたという彼女、みんなのすがたを見て涙をぽろぽろ。


でもこれで棄権するかとも思ったけれど、薬局で靴の中敷を買ってきて靴の中に入れ(こういうとき自転車があると便利!)、最後の5キロはみんなで一緒に歩きました。ゴール近くになるとお天気はピーカン。SFジャイアンツのゲームをやっているAT&Tパークもお客さんが一杯。


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みんなと歩いて元気を取り戻したNちゃん、最後の最後は走ってゴール。6時間以上かかってマラソン完走!!おめでとう!!!!


最後はみんなで友人宅でBBQをしながらゆっくり休みました。私や旦那、A君は、そりゃ定期的には走ってはいるけど、マラソンまではしてないし、友達グループの中で、6時間以上かかっても完走したのは彼女だけ。これはすごいことだよ。来年はもっとちゃんと走れるようにする!とすでにいきまいているNちゃんでしたが、まあとりあえずは膝を養生しないとね・・。本当、膝は故障すると一生ついて回るから、こればっかりは無理をしないほうが良いです。でも友人達と助け合って、とてもインスパイアされた週末だったのでした。