愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

しばしのお別れ


今愛用しているフルートは19年前に購入した(というか両親に買ってもらった)ソリッドシルバーのフルートです。ミヤザワフルートという朝霞にあるメーカーです。当時の価格で30-40万円ほどしたと思います(最初は小学校のブラスバンドで、YAMAHAの10万円の銀メッキでした)。


フルート歴は小学校4年生からと長そうに見えるのですが、中学2年でやめてしまい、フルートはお蔵入りに。その後社会人になるまではほとんど触らなかったので、実は、実質フルート演奏歴は10年にも満たないのです・・・。でも、フルートを触らない時代でも、アメリカに来ても、なぜか楽器だけは肌身離さず持っていました。もちろん、その間まともな手入れはせず。それでも日本の職人技が生きているのか、ここ4年ほど吹き込むようになっても、このフルートさんは壊れ知らずで今まで来ました。


でもやはり約20年という年には勝てず。キーについているフェルトが剥がれ落ち、キーそのものもなんとなく緩んできて、特にイベールのコンチェルトなど、かちゃかちゃがちゃがちゃした曲をやりだしたら、キーまでがちゃがちゃ言うのがすごく気になるようになってしまいました。さらに緩んだ楽器を持っていると、キーを無理におさえて音を出そうとしたりするので、姿勢や手にも負担がかかって体が痛くなったり。先生にも修理に出すことを何度か薦められたのですが、実は私医者嫌いでして・・・体もモノも何か調子が悪いなーと思っても、ついついだましだましやり過ごそうとしてしまう。しかしピッチも何だか音によってまちまちになってきて、自分の音を聞いていたらとうとう気が狂いそうになってきたので、観念して修理に出すことにしました。


日本だったら、楽器店があったり、メーカーがちゃんとしたお店を持っているので、そこに持ち込めば良いのですが、アメリカのミヤザワフルートはアイオワ州にあるので、そういう会社にお願いする場合は、保険をかけて宅急便で送ったりしなくてはいけません。見積もりとかも遠隔でやってもらうのは面倒だし・・・。実は里帰りしたときに、朝霞の本社に持ち込むことも考えたのですが、どれだけ時間がかかるかわからないのでそれも断念しました。でもベイエリアでは、地元のフルーティスト御用達の個人で修理をやってらっしゃる方がいるというので、その方を紹介してもらい、今朝、会社に行く前に寄りました。


市内の普通のアパートの、リビングの横にある小さなお部屋を工房にしていて、ペンチとかキーパットとか色々並んでいます。修理をしてくれるのは、多分40代前半ぐらいの女の方なんだけれど、本当昔の職人の工房みたいな感じ。私のフルートの先生とももちろん顔見知りなので、色々と噂話をしたりしながらフルートを見てもらいました。20年間放置してきたフルート・・・やっぱりオーバーホールか?何万円も払わないといけないのか?とドキドキしていたのですが、意外と状態は良いとのこと。特にパッドは破れてもいないし交換の必要なし。でもあっという間にキーをばらして、「ちょっと油を入れたほうがいいわね」。さらにパッドに大きなストローみたいなのを当てて、口でちゅうちゅう吸って何か確認していました(?!?!)


後はフェルトの張替え、それからずっと気になっていたヘッドジョイントのコルクの緩みを直してもらうことになりました。特にコルクは時間が経ちすぎていて、コルクそのものがちぢんでしまっていたので、ぴっと押したらあっという間に抜けてしまいました。状態は良いとはいっても、やっぱりガタガタだったのね・・・。


でもこれだけ修理するとしたら1ヶ月ぐらいはフルートとお別れかしら・・・と思っていたら「2時間でできるわよ」とのこと。さらにお値段は1時間80ドルで160ドル!まぁなんてお安いの・・・!!


最近のミヤザワフルートは、造りがちょっとねぇ、というのもあるらしいのですが、私が買った頃のは結構良いものがあるそう。私のフルートはキーの飾りもユニークなんだそうです。数日間でもフルートとお別れしてるのはちょっと不安なんですが、綺麗になって戻ってくるのが本当に楽しみ!!


My Miyazawa flute