日曜日、生まれて初めての「半分マラソン」を走ってきた。ここ数年、5キロやら10キロやらのレースはちょこちょこ走ってきたけれど、マラソンだけはフルだろうがハーフだろうが、そこまで長距離というか長時間走れるものなんだろうか、途中で飽きてしまいそうだ・・・などと思って何となく避けていた。しかし何となく今年は思い立って、半年ほど前にサンフランシスコマラソンに登録してしまった。
レース1週間前は体調もしっかり整え、トレーニングも順調にやっていたのに、レース直前の週にちょっと走ったら風邪っぽくなり(寒いサンフランシスコで夜走るとこういうところが危険!)、体はだるく、ものすごい疲労感・・・。おそらく初めてこんな距離を走るという心配もあって(特にサンフランシスコのこのコースは高低もそれなりにあるので)、夜も良く寝られなかった。また半年ぐらい前から準備をしてきたとはいえ、思うようにトレーニングははかどらず、1週間で合計15キロぐらい走れればいいかな、というときも多かった。走ることに限らず、きっちりスケジュール通りに練習やトレーニングをつんで、本番に臨むということが昔から苦手らしい・・。どうしてもつめが甘いのはいつものことか・・。
レース前日の夜になって多少吹っ切れたのか、夜はよく眠れたけれど、案の定3時半に起床。出走時刻は6時過ぎなのに!
さて、レースを走る際の一番大きなポイントは、「朝、いかにさっぱりきっぱりと運子をひねり出せるか」だと思う。きちゃない話ではあるが、たいていジョギングのレースというのは、暑さ対策とか、道を封鎖しないといけない関係からか、早朝に始まる場合が多い。普段より早く起きてぼーっとしている体と胃腸をたたき起こし、いかに家を出る前にすかっと運子さんにお出ましいただき、身軽な体で走れるようにするかは非常に重要な課題となってくる。
願わくば、朝起きて、すぐにすべてが出てしまえばいいが、大体において、レースの前は緊張しているので、何となくすっきりしない。なので朝早めに起きて家で一度用足し、その後早めに会場に赴き、会場の仮設トイレにて、再度しておく、というのが好ましい。陳家では、特に2度目にお出ましになるそれを「ナーバス雲固」と呼んでいる。特に、レースの最初に水につかる(泳ぐ)必要のある、早朝のトライアスロンのレースでは、このときばかりは男性トイレでさえも、普段はできないような長蛇の列ができるのであった。
雲子を連呼して申し訳ないですが、ほんとにこれが勝負を左右する鍵なんですよ、本当に〜!
まだ真っ暗な会場はすごい人だかり。このレース、多分何万人か走るので、かなりビッグイベント。早めに行っておいてよかった・・・長蛇の列ができている仮設トイレで余裕で用を足して、自分の出走を待つ。・・・・しかし早く来るのもよしあしで、朝の寒さで今度は小をしたくなった。しかし・・・がーん、並びなおした仮設トイレの長蛇の列は終わるところを知らず、気がつくともう出走5分前。コースの途中にもトイレはあるので、仕方なく見切り発車。うわーん。
地元のコースなので、特にびっくりすることもなく、多少、「小」でおなかがたぽたぽしているものの、順調。最初このレースに出ようと思った時には「2時間切ってやる!」とか思っていたのだけれど、体調を崩して練習できなかったり、両親の訪問もあったし、いろいろと忙しくて思ったよりトレーニングに時間がとれなくなってくると、「まあ完走できればそれでいいや」に変わってきた。とりあえずは、足を前に出していれば前に進むので、どんなに辛くても、足を動かしさえしていれば、いつかは終わる時が来るだろう・・・ぐらいの考えで走った。
フェリービルディングの横を通り抜け、コイトタワーを眺めながら、フィッシャーマンズワーフ、と最初は平地。複数でおしゃべりしながら走る人達も。だんなが以前ハーフをやったときには、弁護士集団が走っていて、担当している案件のことを走りながら話していたらしい・・・・
4.5キロ地点、最初の給水所にある仮設トイレに駆け込み・・・たかったがちょっと列ができていた。やっぱりレース前に行けなかった人、結構いたのね。結局トイレで4分ぐらいのロス。あーあ。その後、ここだけは得意のFort Masonの坂を駆け上がる。
MarinaからCrissy Fieldまで、しばらくは平地。完走すればいいやと思っている割に、なぜか同じペースで走っている「アジア人の男」だけには抜かされたくない、と思ってしまう。自分と同じくらいの女の子に抜かされても何とも思わないのに、なぜかアジア人の男が走っているのを見ると抜かしてやろう、と思うのはどういう心理なのかしら・・・。
このレースの目玉は、ゴールデンゲートブリッジの往復。ちょっと風はあったけれど、霧も出ておらずいい感じ。車線を2つ締め切ってランナー用にしてあったのだけれど、かなり混んでいて、走りにくかった。狭い道の真ん中を歩いている人もいるし、同じペースの人たちが横に広がって走っていたりして、掻き分けて走っていく感じ。橋を往復するだけで6キロちょっとあったことには今気がついた。ここで私より20分ぐらい先に出走していた友人Kちゃんとすれ違う。横を通り過ぎる車もクラクションを鳴らして景気づけ。
練習をきっちりしない性格が災いして、トレーニングの間でも、走った最長距離は12キロちょっとぐらいだったので、この先、1時間15分以上走り続けるというのがどういう世界なのか、全く想像つかなかったのだけれど、意外と順調。レースって、お祭りだから、たくさんの人と楽しく走れた、というのもあるのかも。ぜんぜん辛くなかった。
給水ポイントもたくさんあったので、こまめに給水できたのがありがたい。昔このマラソン大会でウォーターステーションのボランティア(水だけでなくビールも配っていたんだけど)をやったとき、水を受け取りながら「こんな朝早くからありがとう」とかお礼を言ってくれたランナーの人達が何人もいたことを思い出した。自分も必死だろうに、ああいうことを言える人ってやっぱりいいなあ、と思った。
16キロ地点、Presidioという公園に入ると後半は全部下り坂なのでそこでちょっとロスした時間を取り返す。が、あんまりどがーっと行くとひざに悪い。と、私の横を女の子が走り抜けていった・・と思ったら、私の右目に激痛が。「!!」この女の子、ものっすごい量の「エアーサロンパス」みたいなのをつけていた模様・・・つーんとする、どころか、目に何か刺さったみたいに感じてびびった。
また坂を上って11マイル(17.7キロ)地点。沿道にいた友人があと2マイル!と言うのでそれなら楽だわ・・・と思っていたのだが、やはりここはトレーニングでカバーしきれていなかったところで、最後の2マイルが鬼だった。
ゴールはゴールデンゲートパークの中で、そこに向かうにはあとは直線で8ブロックだーっと行くだけ。しかし1ブロックごとに上〜下〜上〜下〜と坂があるのですよここ・・・。普段だったらともかく、最後の最後で結構これで萎えました。この坂で苦戦している時点で時計を見ると1時間50分。むむ・・・2時間切り・・・ぎりぎりだな・・・と考えるもこの坂では無理、と思ったらもうどうでも良くなってきた。
最後の坂の頂上、「バルボア・ストリート」を上りきり、頭の中でロッキーのテーマを流しながら公園になだれ込む。しかし公園の中に入ってもなかなかゴールが見えてこない。沿道では、すでに走り終わったランナー達が歩いているのに・・・私もその中に早く入りたいのに・・きぃぃぃっ、いつ終わるの?!という感じであったが、最後にゴールが見えてきたときには、最後の最後で私を追い抜こうとした女の子を振り払い、ダッシュでゴール。
いやー、気持ちよかった。走り終わって、ものすごい感動したとか、そういうのは無かったけど、いやーやったねぇー、終わったねー、という感じで静かな達成感があった。タイムはトイレで4分ぐらいのロスがあったので、1マイルちょうど10分というペースになったけれど、(トイレ以外は)止まらず、歩かず、最後まで走れたのが良かった。
レースの後は、走った友達と合流して、ここぞとばかりにハンバーガーをがっつり食べ、夜も酢豚をがっつり食べて、また幸せ。そして静かな達成感と高揚感は、レース数日後、これを書いている今も何となく今でも続いているみたいで、毎日妙にすかっとした気持ちですごしています。
何はともあれ、やってみてよかった。タイム自慢のランナーにはしょぼい走りだったかもしれないけど、小中学校では体育の成績が悪くて、運動全般が苦手だと思っていたけれど、環境は人を変えるもんだなあ、と富に思う次第。一度やったらもういいかな、と思っていたけれど、あまりに楽しかったので、もう次のレースを物色中であります。でもこれだけ走ってもまだまだ折り返し地点のフルマラソンは、やっぱりいやかも・・・。