愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

2020年クリスマス

ロックダウンのクリスマス、イブは冷凍モノで久しぶりの飲茶。夜だけど。

サンタさんをまだがっつり信じている10歳児と共に、サダハル・アオキのレシピで焼いたチョコレートクッキーと、こちらのレシピで作ったショートブレッド

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ハサミが置いてあるのは、朝置いてあるプレゼントをすぐに開けられるようにするためだそうです。

このチョコレートクッキー、ちょっとほろ苦くサクサク感がかなりハマります。激うま。サダハル・アオキのレシピは使う砂糖の分量が「71グラム」など材料に謎の端数があるのが毎回不思議なんですが、やっぱり超プロのレシピだからか出来上がりは美味しいです。

サダハル・アオキのフランス菓子

サダハル・アオキのフランス菓子

毎年恒例のサンタ稼業、去年は朝2時ごろに「もう朝か」と起きてきてバビりましたが、今年も興奮して2時過ぎまで眠れなかった10歳児。プレゼントの包装が一部終了していなかったので、ラッピングペーパーやセロテープをひっぱる音をたてないようにするのが非常にスリルとサスペンスでした。

サンタさんにお願いしたのは、スイッチのマリオ・オデッセイと、宝探しの本。家族からはこれまた沢山のミステリー小説本と、ボードゲームなどをいただきました。あと私から別にKindleを買ってあげました。子供、とにかく本をよく読むので、本を置く場所が追い付かない・・そしてKindleだったらコンピューターや携帯の画面見るよりは読書だからマシかも、ということで・・(私も欲しい・・)。

クリスマスのディナーは私担当で、魚三昧のコース料理。イタリアではクリスマスイブは7種類の魚料理を食べるそうだ、というのをどこかで読んで、おととしのクリスマスディナーはパパが張り切って魚介コースを作ったので、今回は私が。我が家の場合、イブじゃなくてクリスマス当日になっちゃってますが(苦笑)

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遅いランチ兼オードブルは、去年ポルトガル出張の時に買ってきたイワシの缶詰、あと写真にないですがバカリャウという塩漬けにした干し鱈をペーストにしたようなもの。スモークサーモン、イクラのブリニ(小さいパンケーキ)、そしておフランスのチーズ色々。Beillevaireというおフランスのチーズ屋さんのいいやつを、ちょっと奮発してお取り寄せしました。

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ホタテをベーコンで巻いてさっと焼いたものと、セビーチェ、カルパッチョ風なもの色々。

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だし醤油に漬けて、レモンなども後でかけたマグロの赤身、シーソルトとスペインのオリーブオイルでいただくホタテの薄切り、ライムとオレンジジュースなどでしめてある、サーモンのセビーチェ。ロックダウン中は、美味しいお刺身を冷凍で配達してくれるオンラインショップにも随分お世話になりました。

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メインはどーん!とこちら。タルボットという大きなヒラメのようなお魚を、バターとレモンでオーブン焼きにしたもの。日本語ではイシビラメというらしいですがカレイ科の魚だそうですw こちらはまた別のオンラインの魚屋さんで注文しました。ロックダウンで逆に色々な食材が手に入りやすくなったので、もっとヨーロッパの色んな魚にも挑戦してみたい・・。

カリフォルニアでもこちらでも、あまりこういう大きな魚を丸々一匹いただく・・という経験をあまりしたことが無かった10歳児。最初はそのビジュアルに引いていましたが、一度食べてみたら「・・・美味しい」とかなり気に入った様子。

あとはサーモン、ほうれん草、ゆで卵を適当にパイ生地で包んで焼いたもの。

本当はアンチョビとパン粉のパスタも作ろうかと思っていたのですが、さすがにお腹がいっぱいになってこれでおしまい。あまり甘党ではない陳家なので、デザートはチョコレートなどをちょいといただいて大満足のディナーでした。

我が家は夫も料理をするのは良いのですが、コロナで在宅になってからは、料理が気晴らしになるような部分もあり。しかし時間になると仕事を比較的サッと切り上げることのできる夫のほうが台所を牛耳ってしまうことが多く、私の出番が無いのがちょっとストレスになってました(笑)

久しぶりに台所を占拠して、誰の手伝いも使わず一人で全部やるのは意外と楽しかったです。家族に手伝ってもらえるのもいいんですが、指示出しばかりするのもまた仕事みたいになって疲れてしまう・・なんというか、全て自分の思い通りに自分がコントロールできる環境を久しぶりに手に入れた!みたいな。

魚料理なので実際の調理時間もそんなにかからないので、全品作っても1時間半ぐらいかかったかどうか。しかしおせち料理はそうもいかなそうなので、そっちのほうは子供にもがっつり手伝ってもらおうかと思います。

穴・ジョンキエール嬢・クリスマス映画

最近見た映画を羅列するよ。

Holes

穴 / HOLES [DVD]

穴 / HOLES [DVD]

  • 発売日: 2005/12/21
  • メディア: DVD

子供が学校の「国語(つまりは英語)」のクラスで読んだ本の映画版。本を読んだあと、クラスでも見たそうだけれど、子供の希望で家族でも再度鑑賞。

舞台はアメリカ、テキサス。無実の罪で逮捕された不運な男の子が、ひたすら穴を掘ることを強要される矯正施設に送られる。

干上がり、灼熱地獄で不毛の地となっている湖だった場所で、朝から晩までただ穴を掘る作業、名目上は子供達の根性を叩きなおすため、という理由だが、実は隠された別の理由があって・・という話。

最後に色々な要素がカチっとはまるというか、伏線がだーっと一気に回収されるというか、おおそういうことだったのか!と気持ちよく終わる良い話でした。

主人公役は、見たことあるなあと思ったらトランスフォーマーに出ていた人。その他にもシガニー・ウィーバージョン・ヴォイトパトリシア・アークエットなど結構豪華キャスト。

イギリスの小学校でもアメリカの本を読むのは意外だった、しかもこの本、アメリカの一部の学校では表現をめぐって親からの抗議があり、場所によっては「禁書」になったとか!そんな本を選んだところも、ナイスチョイス。

アメリカ英語の言い回しなど、イギリスの同級生には良くわからない部分はうちの子ともう一人アメリカ人の同級生が色々説明してあげたそう。

Holes (English Edition)

Holes (English Edition)

穴 HOLES (講談社文庫)

穴 HOLES (講談社文庫)

Lady J

Netflixではまったおフランスのテレビドラマ「Call my agent」。芸能事務所を舞台にしたドラマで、毎回ゲストに有名俳優が本人役で出てくるのが面白い。

このドラマに出てきた本物の俳優さん達の作品を見てみようと、Netflixで見つけたのが、ドラマの第一話に登場したセシル・ドゥ・フランス主演の映画。

www.youtube.com

おフランス語のタイトルは「Mademoiselle de Joncquières(ジョンキエール嬢)」、英語版のタイトルは「Lady J」。

でもここに出てくる「ジョンキエール嬢」が主人公、というわけでもなく、セシル・ドゥ・フランス扮する未亡人が、女好きの侯爵に引っかかったあげくに捨てられてしまい、その復讐のためにちょっといわくつきの「ジョンキエール嬢」を使って侯爵を陥れようとする話。

キャストの数も動きも少なく、結構淡々とお貴族の会話が続く、いかにもおフランスで作られそうな感じの映画。そしてこの映画の原作は「運命論者ジャックとその主人」という1796年に書かれた本だというからさもありなん。

従者ジャックとそのご主人が旅の間の退屈しのぎに、男女関係のあれこれを語ったもので、このジョンキエール嬢の話も、その中のエピソードの一つなんだそう。この本、主人が色々話をする間、途中でどんどん邪魔や茶々が入って話が進まなかったりと、面白いフォーマットになっているんだそうです。

フランスの古典文学の映像化、で急に思い出したのが、学生時代フランスの友人宅でクリスマス休暇を過ごした時、パリにある友人の親戚のおばあちゃん家で見たスタンダールの「赤と黒」のテレビドラマ版。

食後につけたテレビでやっていて、結構な愛憎劇にみんな引き込まれてしまったのだけれど、連続ドラマだったのでちょうど良いところで「次回へ続く」になってしまい、友人とおばあちゃんと3人でこの続きどうなるのー!とキャーキャー大騒ぎに。

途中でハッとおばあちゃんが本棚に原作本があることを思い出し、大急ぎで本を持って来て、結末がどうなるか、本の一番最後のページを開いて読みあげ始めたのだけれど、最後の1ページだけ読んだだけで話の流れがわかる訳もなく、3人で大笑いした思い出が。かわいいおばあちゃんだったなあ。

家の本棚にちゃんと「赤と黒」があったというのも今思うといい感じだなあ。果たしてあのおばあちゃんの棚に「運命論者ジャックとその主人」はあっただろうか。

とにかくこの映画は、出てくる衣装やお屋敷のインテリアなどビジュアルがとても素敵。

復讐劇もなんとなくベルばらにありそうな古典的な感じ(ローアン大司教を騙す、みたいな)で、結構安心して(?)見ていられる。いかにもクラシック、という感じの話だけれど、ビジュアルの美しさのせいか、退屈には思わなかった。

あと友人役で、Call my agentにノエミ役で出ていたロール・カラミーが出ていたのも良かった!

marichan.hatenablog.com

Nativity3

www.youtube.com

子供のクリスマス映画といえば、アメリカだったらホームアローンとか、シュワちゃんがおもちゃ取り合っててんやわんやの大騒ぎになるやつとか?色々クラシックなものがあるけれど、これはイギリスに来るまでその存在を知るよしもなかった、コテコテイギリスの小学生向け映画。

完全に子供のチョイスで見たこの映画、シリーズ物になっていて、既にこのシリーズの1,2も過去のクリスマスに見させられているw

我が子の学校もそうだけれど、イギリスの小学校は、公立でもクリスマスは学校行事として、全校生徒が教会に行って歌歌ったり聖書読んだり、キリスト降誕劇(Nativity)をやったりする。

映画では毎回、この降誕劇の出し物をめぐって色々とてんやわんやの大騒ぎが起こる。たいていは学校対抗の何かしらの大会があり、子供達が歌って踊るミュージカル仕立てなのだが、今回あったのは「クリスマスフラッシュモブ大会」w

そしてこの3作目ではOFSTED(教育監査局)の視察官が来るというので校長先生が大騒ぎして、色々対策を講じようとしたのがてんやわんやの発端で…というのもイギリスならでは(笑)この視察で学校のランクというか評価が決まるので、実際かなりプレッシャーは切実なのだった。

この映画のシリーズ1,2にはなんとデイヴィッド・テナントが出ている。

あとThe Crownでハロルド・ウィルソン首相役でかなり真面目な演技をしていた俳優さんが、ライバルとして登場していて、変なかつらを被ってガンナムスタイル風のダンスナンバーを踊っていたりもする。

ロバに頭を蹴られて記憶喪失になり、バリバリの堅物から子供のようになり、アホなことをしまくるお父さん役の人はサーの称号を持つ役者さんだったりもする。

結構イギリス演劇界の守備範囲の広さを思い知らされると言えばそんな感じもする映画であるw

Tier4です

ようやく冬休み。11月からまた少し厳しくなったコロナ規制。でもクリスマス前後は家族で祝えるようにと色々とルールを緩め、またその後で規制を強めることになる・・なんていう話になっていたのですが、当然そんな都合の良いことができるわけもなく。


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(ロックダウン前に何か月ぶりかで行ったカフェ、マスクしたまま座ります)


2日前、いきなり今までに存在しなかった「Tier4」というカテゴリーの規制が敷かれ、基本自宅にいること、他の家族と室内では会ってはいけない、ロンドンの外に出るのもダメ、レストランもテイクアウェイとデリバリーのみ、エッセンシャルではない店は開けてはいけない・・と、基本的には最初のロックダウンと似たような感じのルールがまた適用されることになりました。


室内で他の家族と会えない=つまりはクリスマスはキャンセル!


既にニュースになってはいますが、このエリアで感染力の強い変異種のウィルスが広がってるのを封じ込めるのが目的で、今ではあれよあれよという間に国境も閉まり、イギリスからの渡航者受け入れを禁止する国も出てきています。


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(ロックダウン前に所用で出かけたカナリーワーフ。オフィス街で普段だったらこの巨大な駅は人であふれかえっているのですが、平日午前中でもこれ)


今までは政府の発表の数日後から施行、と少し時間があったため、規制が厳しくなる前に友達と会っておこう!とパーティーする人が続出したり、パブが満杯になったり・・というトホホな状況でしたが、今回は夕方発表があり、その日の夜12時からロックダウンになりました。そして何が起こったかというと、その数時間の間に、ロンドンを脱出して地方の家族のもとに向かおうとする人達で駅が大混雑・・・。あーあ。


私や夫はずっと在宅勤務だし、イギリスに身寄りがある訳でもないので、我が家の生活はあまり変わりは無し。しかし学校に通っていた子供の周辺では、クラスメートの中には家族に感染者が出たため2週間隔離で学校に来なかった子がいたり、生徒に陽性が出て、他の学年より早めの冬休みが始まってしまった学年もあったりで、まあ感染は身近に広がってはいるよな・・という感覚はあります。


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(再開発が進むバタシーの発電所。ここが立派なマンションやオフィスになる予定。カナリーワーフもそうでしたが建築はあちこちでやっている)


でもこうやって新しい規制が敷かれたり、ニュースを見る限りでは危機的状況的な報道ではあるんですが、Tier4になっても、地元の商店街や公園に続く道は結構人出があるし、食べ物もテイクアウェイはOKということで、週末のファーマーズマーケットや屋台なんかは普通に開いていました。逆に行くところなくて公園に人が溢れている気も・・・。


第一、このTier4になる前の「ロックダウン」だって、店はどこも開いてるし、なんだか特に規制も感じず、すごく普通に過ごしてたんですよね。


週末には一フランスとの国境も閉鎖されて、ドーバー海峡では輸送トラックが大渋滞。物流も止まる~、と色々報道されているので、またパニック買いが増えるのではないかな・・・と思ったら、案の定、先ほど買い物に出たパパが「野菜も肉もほとんど残ってなかった」と帰ってきました。あーあ。


Stay Calm and Carry Onじゃ全然ないイギリス。


まあ引っ越してくる前のイギリスのイメージと、実際のイメージ、何とは言いませんが特にこの1年であーあと思うことが結構多かった気がします。買いかぶりすぎてたかなあ・・・って、そういえばBrexitを決めた国だった。ははは・・・。


この冬休みは、どこに行くこともなく何をするでもなく、また家でじっとしていることになりそうです。

10月の思い出、リーズ城

子供の学校も再開し、ロックダウンもゆるんだ10月に出かけたリーズ城リーズ城とは言うが、リーズにはなくケント州にある。ロンドンからは電車で1時間半~2時間弱。

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歴代の王様の未亡人が住み、ヘンリー8世の最初の奥さんが住んだ城としても有名。

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コロナ渦の現在、お城に入るには事前予約が必要。でもおかげで広々とした敷地はとても空いていて、ゆっくりのんびりしていてとても良かった。

とにかく今年は、仕事とロックダウンで家にこもっているか、外に出るとしてもちょっとした散歩や買い物で近所をうろうろするばかり。健康でいられているのはありがたいことではあるけれど、仕事のストレスと変わり映えのない日常に精神はズタボロだった。

そんな中、とにかく違う景色の中にいられることだけで、ああああ、なんという幸せ・・・広い空となだらかに広がる丘を見ているだけで、気分が随分と良くなった。

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イギリス王ヘンリー8世と、フランス王フランソワ1世が1520年に行った「金襴の陣(Field of the Cloth of Gold)」の展示もあった。当時力のあった王様2人がミートアップしようぜ!ということで、対岸フランスのカレー(当時は英領)に英仏双方から人が集まり、フェス的なイベントが繰り広げられたことがあったそう。

仮設宮殿が作られ、豪華絢爛な宴会や騎馬戦やら王様同士の相撲まで、18日間に渡り1万2000人が集まったイベントだったそうで、このリーズ城の領地から、大量の食糧が運ばれたとのこと。

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チューダー朝は王族の所有だったこのお城、その後地元貴族に下賜されているのだけれど、ここで生まれ育った貴族がフェアファックス卿。バージニア州にフェアファックス郡という地名があるけれど、この一家が植民地時代に随分土地を持っていたみたい。イギリスの歴史に触れる機会が増えるにつれ、聞いたことのあるアメリカの地名が、こうやってイギリスの歴史上の人物名として出てくることも。

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しかし当然ながら時代が進むにつれ、こんな広大な土地と古い建物を個人の力で所有維持することなんて大変になるわけで、最後はそれこそダウントンアビーみたいに、イギリス貴族と結婚したアメリカ人の上流階級お金持ち女性がボロボロになっていたお城を買取り、その死後は非営利団体の管理下に入り、こうやって一般公開されているというお約束の流れとなっている。

おかげで私たちのような一般市民が広い庭を散策したり、立派だけど古くて今となっては住みにくそうな城の中を覗ける訳だけれども。

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おまけ,リーズ城に行って一番良かったこと:

最寄りの駅から城まで普段は専用のシャトルバスが出ているらしいのだが、コロナの影響でそれも運休。城に向かうためにたまたま捕まえたタクシーの運転手のおじちゃんがとても良い人であった。

なんでもリーズ城の近くにポールマッカートニーの家があるらしく、彼にトイレでばったり出会った話から、リーズ城の敷地で開催されるロックフェスの話から、Brexitの話まで、随分盛り上がった。なにより、私達が車から降りて、おじちゃんが車をUターンさせて家路につく時も、窓からずっと手を振ってくれたのが印象的。この時期、タクシー業も大変そうだけれど、元気かなあ。

許可証・ロックダウン・選挙

<許可証ようやく発行>

イギリス生活も3年目に突入。引越しの際に発行されたアメリカの再入国許可証の期限も今年半ばで切れるので、今年は再申請しなければならなかった。アメリカの永住権を持ったまま国外に長期間滞在するのはほんっとに面倒である。

申請書類は海外から送ることはできない。物理的にアメリカにいる間に、これから国外でますがよろしくね、という形で送る必要があるので、この申請書類をFedexで移民局に送るためだけに、今年のあたまに私だけアメリカに戻った。

ちょうどクルーズ客船でのコロナ感染が話題になっていたころで、アメリカでは感染はまだまだ水際で食い止められているのでは、と考えられていた頃のこと。一人でアメリカ行きの飛行機に乗るのなんて、15年ぶりだったかもしれない。ビビりながらのフライトだったが、乗客は既に少なく、しかしマスクしている人もまだ少なかった・・。

移民関係の申請となると意味もなく襲ってくる不安感、なんだかわけのわからないコロナウィルスへの恐怖、そんな中でのフライト・・この手続きのことを考えると猛烈なストレスが襲ってきて、かなりキツかったが、久しぶりに色んな友達に会い、懐かしいカリフォルニアの空気を堪能しつつ、今ここに自分達の住む家は無いことに切なさを感じながらも、1週間の一人時間を楽しんだ。

あんな時期に泊めていただいたお友達2家族には感謝しかございません。ベイエリアのお友達にとっても、あれがロックダウン前にみんなで会った最後のイベントだったとか。

カリフォルニアはその翌週以降イギリスからの入国も禁止になり、ロックダウンも始まったので、あの時期に行けたのは絶妙のタイミングであった。

本来は次のステップとして指紋や顔写真など、バイオメトリクス情報を取りにまた出向かないといけないことになっていたのだけれど、ロックダウンの影響で運良くそれも免除され(前回取った情報が再利用された)、ようやく発行された許可証を先日ロンドンのアメリカ大使館に取りに行った。

本来であれば、許可証が届くと、その番号が大使館のホームページに掲載されて、それを見て予約を取る連絡をしないといけないのだけれど、ホームページは夏からアップデート無し。メールで問い合わせたら、あ、届いてますよ、取りに来て、いつがいい?とかなりユルユルの対応。

ちょっとミーハー気分もあり選挙当日か翌日あたりはどうかな、などとも思ったが、結果によってはもしかしたら大使館周辺もワチャワチャするかもしれないと思い、選挙前日に赴いた。

その後ロンドンもまたロックダウンになったので、これまたこの日に行って正解だったかも。

この時期でもアメリカに渡航するためのビザを申請する人達でそれなりに混んでおり、椅子に座って待っていると、他の人がブースで自分の細かい事情を係官に説明しているのが丸聞こえ。かなり複雑な事情の人もいて、耳がダンボになってしまったが、こんなに聞こえて、いいんかーい!という感じであった。

それに比べると私などは人畜無害すぎるので、あ、許可証ね、はいよっ、あ、とりあえずマスク外して顔みせて、はいオッケー、という感じで終わった。

<ロックダウン再び>

そうこうしているうちに、イギリスではまたロックダウンが始まった。数週間前から、家族以外の人と屋内で会うのは禁止などの通達は出ており、子供の同級生の誕生日会などが中止になったりはしていたけれど、またエッセンシャルではないお店は閉まり、レストランやカフェもテイクアウトのみの営業に。

前回とは違い、学校はまだ開いているので、子供はまだ学校に通っているが、スポーツ系の習い事は休みになった。

しかし前回は完全に営業をストップしていたカフェやレストランも今回は開けているところが多いし、花屋や植木屋なども開いていたりしているので、街を歩いていてもあまりロックダウンという感じがしない。今年は去年の今頃に比べても雨は多いがあまり寒くない印象もあり、公園などは結構な数の人が歩いていたりもする。

感染数はまた増えているようで、実際9月以降、自分の周りでも感染したという人はチラホラいたりする。しかし一方我が家は私も夫も在宅仕事が続き、ロックダウンになっても今までと大して生活は変わらないので、あまり変化は感じていないのが正直なところ。

子供の学校も今のところは、時々〇〇ちゃんが2週間学校休んでる・・なんて話を聞くこともあるが、感染者が出たら自宅待機の連絡が来るはずなので、今のところは無事。それより私は仕事が忙しすぎて気が付くと2-3日外に出られないような日々が続いたりしているので、運動不足のほうが心配になってきている。

<大統領選挙>

私が一生懸命応援するとなんでも負けるというジンクスがあり(何年か前ドイツが優勝したワールドカップなどは、ほとんどの試合を見たが私が応援したチームが100%の確率で負けた)、前回の選挙もディベートからニュースから一生懸命追っていたらあんな結果になってしまったトラウマがあるため、ほぼ何も見ずに過ごした今回の大統領選挙。ようやくもうニュースを見始めても大丈夫だよね?と結果が出たのはご存知の通り数日後であった。

まだまだ無事な政権移行までは安心できないし、別にバイデンが大統領になったからもろ手をあげて全て良し、という状況になるわけではないのだが、もうこの4年間腹の中につかえていた重苦しいものが、軽くなっていくのを本当に感じた。そしてカマラハリス(いわば地元の人!)の演説を10歳の娘としっかりと見届けた。

他の国では女性の政治リーダーなんてもうとうの昔から出ているのに、アメリカではなぜ・・という感じもするかもしれないが、アメリカはなんだかんだいって「進んでいる」というより全てがワイルドウェストでなんでもありで、新旧色んな方向、色んな形、色んな考えがそれぞれ持つエネルギーが良くも悪くもものすごく、またカオスでもあるので(土地の大きさだけで考えてもEU全体ぐらいの大きさがある訳だし)、その中で国民の総意をとったり何かを変えようとすると、必要な時間とエネルギーも他より半端なく必要になる。アメリカを出て数年、今の生活と比べてみても、とにかく自分の強い意志やDYI精神や元気がないとやっていけない国なんだよなあとつくづく思う。

一方のイギリス、私の周囲の人にとってはやはりエンタメ要素のほうが多いようで、バイデン勝って良かったとは思うものの、我が家が感じたような深い安堵感とはまた違った感情のようだった。

Brexit支持派のイギリス人親父上司は、半ば冗談ながらトランプのことを「I'll miss him、笑いのネタがなくなる」などと言ってまた周囲を凍らせていたが、実際のところイギリスの都合の良いようにBrexitを進めるにあたっては、バイデンではちょっと困るようでもある。今まで英米関係についてあまり考えてこなかったが、やはりバイデンが大統領になった後のイギリスはどうなる・・と少し心配するような論調の話題が新聞にも良く出ている。そのことに関してはもう知らんがな、ボリスがあかんのやろ、とやっぱりイギリスのことは自分のこととしてまだ考えらない程度の在英歴を誇る我が家なのでありました・・・。

こちらはあつ森の夢番地にあったバイデン・ハリス選挙事務所の島