愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

【ロンドンの美味しいもの】ロンドンで、ペルシャ料理

ちょっと前にチームランチでペルシャ料理屋さんに行きました。当然エキゾチックな料理が苦手なイギリス人上司1名は不参加です(爆)

内装もエキゾチックなこのお店。「ナン」を頼むと、こんな四角いのが出てきます。なんだ、なんだ!

ナン、っていうと、昔竹中直人が体に巻き付けていた・・・じゃなくて、インドのナンを一番に想像しますが、ナンという言葉自体はなんとペルシャ語が起源なんだそうです。

ナン、と一言で言っても種類は色々あるようで、こちらはピスタチオやゴマ入り、薄めなものとなっております。

手前のサラダは「シラージ(Shirazi)サラダ」。キュウリやトマトのサラダですが、ザクロの実がいかにもペルシャっぽい。

そういえば「シラー(Shiraz)」ってワインがありますねえ。今出回ってるシラーワインはフランス原産だそうですが、ペルシャの古都、Shirazという街でもワインが作られていたそうで・・・。

ペルシャのワイン、というか葡萄酒。唐から日本に渡ってきたそんな葡萄酒を飛鳥時代の貴族が飲んだりしたんだろうか・・などと、サラダの名前一つでシルクロードの壮大な歴史に思いを馳せてしまいます。

真ん中はフムス。そして一番奥にある緑色のものは、「クク・サブジ」。クク、は具がたっぷりのオムレツみたいなもので、クク・サブジはほうれん草やハーブがたっぷり入った、ほぼ緑色の卵料理でした。上にはバーベリーとクルミも載っています。これは初めて食べましたが、かなりおいしかった!家でも作れるかな?

ケバブはピスタチオまぶし!ナッツの食感が良かったです。

ペルシャ料理、ケバブやサラダなど、他の中東系の料理と被っているものも多いですが、その中でもナッツやフルーツを多用するイメージがあります。メニューには他にも聞いたことのない料理が結構並んでいたので、今度は家族で試してみたいなあ。

www.mahdirestaurant.co.uk

トイレ話その2:私のう〇〇は花の香り

会社のトイレには、こんなものが置いてあります

右のスプレーのようなもの二つ。その名もV.I.Poo、そしてポプリならぬPoo-Pouri (Pooはウンコほどの意味)

数年前に初めてPoo-PouriのコマーシャルをYouTubeで見た時、これはぜったいジョークなんだと思っていました。

www.youtube.com

用を足した後にスプレーする消臭剤はよくありますが、これは用を足す前に、水面にしゅーっと吹き付けて、良い香りのするエッセンシャルオイルで香りの膜を作っておく、というもの。

そこに第2番(英語で大のこと)をいたすと、香りの膜が張られた水中にダイブするため、臭いが一瞬にして閉じ込められる・・・そして残るのは優雅な花の香りのみ!なんですって。ええほんとかそれ!

今の職場はオフィスもそれほど広くなく、またトイレにはシャワーもついていて、よく自転車通勤する人や昼間にジョギングする人がシャワーを浴びることもあるので、皆なんとなく大をするときにはオフィス内のではなく、フロアにある他社と共有のトイレに行く感じになっているのだけれど、本当に効果があるのか、試してみたくなったので・・。

朝いちばんで出社した時にやってみた!

ボトルを軽く振り、トイレの水面にシュッシュと4回ほど吹き付け、トイレに座る!

あとは通常業務を履行するのみ。

花の香りと他の香りが混然とした感じもしなくはないが、うーん、どうだろう。なんとなく不安になったので、業務終了後空中にもちょっと吹き付けておきました。


しばらくしてやってきた自転車通勤のボス。

いつも通り、シャワー浴びてくるわ・・・とトイレに入った直後、トイレから出てきて、「やっぱり別フロアのシャワールームにいってくる」


・・・完全犯罪失敗!!!!臭いは確実に残っていたようです。


よく考えると、大そのものが水中に沈んでいる場合、水面を通り抜けてまで臭いが伝わるということは、あまりないのではないか。だったら水面にエッセンシャルオイルを吹き付けるという行為は、どれだけ効果的なのか。また生産物が水面下にとどまらず水面上に浮上した場合は、どうなのか。

そういえば昔、「トリビアの泉」で、「おならを体から素早く切り離す方法」についてやっていたのを強烈に覚えているが(ぜひYouTubeなどで探してみてください)、生産物そのものの匂いだけでなく、出口近辺に残留する臭いの処理もポイントになっていた。

トイレでもおそらく、生産物の臭いに加え、生産物が水中に落下するまでの軌跡とその周辺に臭いは残留・拡散するのではないか。

水面にスプレーをかけただけで安心していてはダメで、とにかく素早く尻を拭いたり、素早くトイレの蓋をするなどの行為も、実は必要なのかもしれない。尻と水面の距離をいかに縮めるかも、臭いが空中に拡散される距離と時間短縮のカギとなりそうだ。

・・・などと色々な疑問がさらに渦巻く結果となってしまいましたが、次回、第二弾の実験を遂行する日は・・・・来るんでしょうか。

ちなみにこちらの商品、結構小さいスプレーだけれど1000円ぐらいします。高!

でも結局これを書きながら最後に気が付いたのは、完全犯罪を目指すなら、一番効果的なのはやはり「(尻と水面の距離をなくすため)最初から水中でやればいいのではないか」ということでした。いやしないけど。

↑すごいななんでも売ってるアマゾンジャパン、しかも3000円!

ヴィクトリア駅前マーケットホール

珍しく大人だけの時間ができた平日の夜、旦那とディナー。

と言ってもおしゃれなディナーでも何でもなく、ヴィクトリア駅を出たところにあるマーケット・ホールと言うちょっとヒップなフードコートに行ってきた。

外観の写真さえ撮っていないのだけれど、この駅の向かい側にある。

www.markethalls.co.uk

ロンドンの色々なところに、おしゃれな屋台村的なフードコートやフードマーケットがぼちぼちあるけれど、その中でもこの「マーケット・ホール」はヴィクトリア駅前の他、ロンドン南西部のフラム・ブロードウェイの駅を出たところにもある。

これは不動産投資家のなんとかさんと、元アートギャラリーのオーナーで、Pitt Cueと言うバーベキューレストランの共同創業者であるかんとかさん達によるプロジェクトらしい。

今年の夏にはオックスフォードサーカスの駅近くにもイギリス最大規模のマーケットホールがオープンするらしい。さらにはロンドン以外のイギリス各地でも何箇所かオープンする計画もあるとか*

フラムのにも行ったことがあるが、ここと比べるとずいぶんこぢんまりしている。

一方ヴィクトリア駅の方はさすがにターミナル駅なだけあって、仕事帰りの若者、そして修学旅行か何かか、スーツケースをゴロゴロ引っ張った高校生ぐらいの団体までやってきて大大混雑。って、内観の写真も撮ってないけれど。

しかしこれだけ混雑していても、大人だけで移動するとどんなに身軽か、子供抜きで出かける気楽さを久しぶりに実感した(苦笑)

2階建てのフードコートにはフィッシュ&チップ屋さん、ケバブ屋にパスタ屋、バーなど11店舗ぐらい入っていてとっても目移りする。

ロンドンのうどん屋さん「こや」も「こや子」と言うお店を出していて、めちゃくちゃ迷った。

お店のインスタあった、内装こんな感じ

しかし、写真のように閑散とはしていない金曜夜のフロア。ショッピングモールにあるフードコート同様、座席は早いもの勝ちなため、汁物注文したのに席がなかったらいやだなあ・・・と逡巡してまず頼んだのは

Baozi Innの点心セット。チャイナタウンにあるお店の出店なのだが、お店のフルネームはBaoziInn人民公社。な、なぜ人民公社・・。

お店のウェブサイトには「人民のための食堂と言う意味」って書いてあったけど、学校で習った人民公社の内容はちょっと違ったような・・?

しかし、この3色の蒸し餃子はどれも美味だった!具がそれぞれなんだったか今となってはすっかり忘れてしまった・・が、黄色いのは皮がターメリック風味・・だった気がする。多分。

ここのお店は中国北部のストリートフード&四川の影響を受けた広東風飲茶を出すそうで、ちゃんとお店にも行ってみたいなあ。

そして旦那が選んだのはこちら

Gopal's Cornerと言うお店のお魚カレー!Euston駅近くにあるRoti Kingと言うマレーシア料理屋さんのスピンオフだそう。

そう、このお店、普通のインド料理屋ではなく、「タミル・マレーシア料理屋」だって!!!マレーシアのインド料理!!そう、これは夢にまで見た、バナナリーフカレー!!!!

約12年前にマレーシアに行った陳家、そこで手づかみで食べるバナナリーフカレーに思い切りはまってしまい、滞在中ずいぶんと食べまくった。しかし類似のものはベイエリアで探しても見つからず・・。

marichan.hatenablog.com

昔の記事ですがこの、わんこそばならぬわんこカレー状態でどんどん持ってきてくれる様子を見てやってつかあさい・・(ちなみにマレーシアには結婚式出席のために行ったのだが旅行記はそこにたどり着くまでに未完に終わった)

マレーシアで何度か食べに行ったお店、実は世界的なチェーンでシリコンバレーにも支店があったので、帰国後嬉々として行って見た。しかし料理はバナナの葉ではなくステンレスのお皿に載って出てくるし、もちろんお店の人がカレーを継ぎ足しになどこなかった。そしてみんなフォークを使って食べていて、がっかり。

どうやら地域によって料理の出し方を変えているみたい。ロンドンにもいくつか支店があるようだがここではどうなんだろう。

と、話は飛んでしまったが、そんな中で久しぶりにバナナリーフに載ったカレーを見て感動。と言ってもフォークで食べたし、お店の人がおかわりを持ってくるような感じでもなかったが、バナナの葉っぱに載ってるだけで何か違う!と大満足。あーまた食べに行きたい・・

以上、餃子とカレーを旦那と分けて腹一杯。

こやの「けつねうろん」も食べ損ねたし、マーケットホール、また子供がいない隙を見て行きたい。

ハリーポッター・スタジオツアー

ロンドンに来てから、ハリー・ポッターにドはまりした小さいさん。

以前は「ハリーポッター怖い」といって見向きもせず。

マギー・スミスを見ても、たいていの子供はハリー・ポッターのマクゴナガル先生だ!と反応するところを、マクゴナガル先生の恰好をしているマギー・スミスのポスターを指さして、「あ、ダウントンアビーの人だ!」と違う方向に興奮する位に興味がなかった。

しかし半年前に本を読み始めたと思ったら止まらなくなり、あっという間に全シリーズを読破。

どの本も1回ずつしか読んでいないはずだけれど、恐るべきはその記憶力で、登場人物名からセリフ回しからいろんなことを語り始めるとキリがない。多分学校で友達同士でも色々話しあっているんだろうけれど、ハリポタの威力って、やはりすごいですね。

私は大昔に1冊目を読み、魔法系の話にそこまで惹かれず、その後本も読まず映画も見ずじまいだったけれど、子供と一緒に映画も少しずつ見始めて、結構話がダークなのに驚いたりもした。

そんな小さいさんがクリスマスにリクエストしたのは、「ハリー・ポッターのスタジオツアー」。

「サンタの家にはネットが無いので、ハリーポッターのチケットを取るように、両親に魔法をかけておいた」とサンタさんからお手紙がきたものの、両親にようやく魔法がかかったのは、クリスマスから1か月後。かなり人気のようで、1月にようやく5月のチケットが取れたので、先日行ってきた。

ハリーポッターの撮影が行われたワーナー・スタジオまで、電車を乗り継いで2時間弱。駅前から専用バスに乗り、イギリスならではの緑の平地と住宅が混ざった閑散とした空間を抜けるとドーンと・・

ハリー・ポッターにそこまではまってない私でも、このチェスの駒、何だったかわかる!!

実際に撮影に使われたセットや小道具などが展示してあるこのスタジオ。一部はこうやってツアーの対象になっているが、広大な敷地にある別棟では、たぶん他の映画撮影もやっている。

驚いたのは、子連ればかり来る場所だと思っていたらそうでもなかったところ。とはいえハリー・ポッターのシリーズ開始から20年たっているし、老若男女に愛されているシリーズなのだから当然といえば当然だった。

実際の撮影に使われたホグワーツの食堂(思っていたより狭い)、衣装や小道具の数々。

衣装を見ただけで映画の登場人物をぱっと思い浮かべることができてしまう。ハリー・ポッターの世界が確固たるものとして出来上がり、人々の意識にしっかりと植わっている証拠。すごいよなあ。

髪型さえそう。登場人物によっては、地毛だと思っていたものも実はカツラだったというのは驚きだった。

あれも見た、これも見た・・と写真の解説をするとキリがないが、じっくり見ると3-4時間以上はかかるこのスタジオ。

あくまで役者や映画の展示ではなく、映画撮影に使われたセットなどの展示なのだが、圧倒されるのはその精密なデザイン。背景に出てくるこういう絵画も、一点一点しっかり描かれているわけだし、

そこで使われる小道具の数々も、考え抜いて作られたり、どこからから入手してきたりするわけだし、

こういうものを作って動かすエンジニアリング力も必要であり、

ダンブルドアの校長室も、実際の建築力学にかなう形で設計されているが、魔法の世界的なイメージが保たれたデザインになっている。映画って役者だけでなく、そういういろんなスキルが終結してできるものなのだということが、ぐわーっと伝わってくる。

校長室に飾られている絵は、みんな寝ている(笑)

実際に設計事務所が作るような模型もたくさん置いてある。個人的には、こういうセットのデザインをした人や裏方の人達が、デザインの背景などのインタビューに答えるビデオがとても良かった。

このツアーは、役者ではなくてそういう人達に敬意を表したくなる、そしてそういう技術やデザインにスポットライトが浴びるようになってるのがとても良いと思う。

こういう小物のデザイン・制作、そして撮影時には管理したりする仕事も発生するわけで。

ハリポタ界の林家パー子、アンブリッジ先生。ドレスがかわいいが、かなりLLサイズだ!

ピエール瀧!・・・ではなくてケンタウルス。CGだと思っていたものも、実はこういう実物大のロボット的なものをわざわざ作り、撮影していてそれも驚きだった。

こういうのも、羽を一本一本刺して作っている。そして動く。こういうものをひとつひとつ作る労力とエネルギーと・・色々考えるとちょっと頭が小爆発を起こしそうになる。



セットで使われる新聞や本などもきちんと作りこまれている。これは壮大な製作費が必要になるに決まっている。

とにかく巨大なセットにも細かい小道具にも圧倒される。

小休止はバタービール。バタースコッチ味の甘ったるいソーダで、この味のソフトクリームも売っている。日本でもUSJで売っているらしいが、頭痛がするほど甘かった!



おじさん・おばさんの家のセットは、さすがにハリボテっぽい感じになっていて、ああやっぱり映画のセットだよなと逆に安心する。

いじわるないとこ、ダドリーが小学校からもらった賞状は「毎日ランチを残さず食べるで賞」

学校の建物は実在しない。こういうセットとCGを組み合わせて映像にしている。

圧巻だったホグワーツの模型。これを概観の撮影に実際に使っている。学校の外をロンが歩き回るシーンでは、役者がトレッドミルをただひたすら歩いている姿を、この模型の外観、そしてCGで作った雪と合成して作ってあった!ハァ~!!!こうやって実在しない世界が作り上げられていたなんて。

ワーウィック・デイビスがシリーズで演じた色々な役柄の特殊メイク。

そしてセットの中で食堂よりも感動したのがこのグリンゴッツ銀行のセット。本当の本当に、古い銀行の中にいるみたい。

ゴブリン役のエキストラの人達が使った特殊メイクのマスクも、役者一人一人、顔が違う。これもみんなの顔の型をとり、マスクのデザイン、制作をし、そして撮影時には役者一人一人に特殊メイクを施し・・。とまた考えるとぬおーっと脳みそが・・。

この立派な石柱が立っているように見えるセットも、近くで見ると実際は絵だというところがまたセットらしくてとても良かった。

しかし次の部屋では、この銀行、破壊される。この破壊時の音声や、モンスターの鳴き声などもどこかでどうにかして作っている訳で、これまたすごい・・・とまた脳みそがパコーン。

とにかく、このツアーは、想像力と創造力と経済力が一体化した時に、どんなものが生み出されるのかということをこれでもか、これでもかと見ることができる、とても良いツアーだった。

もちろんスターウォーズとか、他にもお金をかけて作られている映画シリーズは沢山あるけれど、ハリーポッターは魔法使いの世界が舞台であるぶん、もっと日常の世界や歴史・美術にも関係しつつも、もっと詳細で奇抜で不思議な世界がそこにある。それを現実のものとして見せようとする沢山の人達のエネルギーは凄かった。

他にも映画に登場する動物を訓練する人、それこそ映画にかかわる沢山の人達にご飯を作る人、もうありとあらゆる役割職業がかかわって映画ができている・・・。そういうクリエーティブな世界、そしてなによりハリーポッターの夢のような世界が見れて、そして小さいさんにも見せられてとても良かった。

できたらもう一度映画をじっくり見てから、もう一度来てじっくり見てみたい気もする。

【子供の本棚】女装する王子様の話

8歳児の小さいさんはグラフィックノベルを随分愛読している。何というか、日本のコミックともちょっと違う感じの海外の漫画本。

その中でもこの本はお気に入りらしく、アメリカから持ってきて何度も何度も読んでいる。

The Prince and the Dressmaker

The Prince and the Dressmaker

  • 作者:Wang, Jen
  • 発売日: 2018/02/13
  • メディア: ペーパーバック

ある王国の王子セバスチャン。両親は彼のお妃探しに懸命だけれど、実は彼の趣味は女装。もちろんこのことは誰にも秘密。

そして彼が出会った身寄りのないお針子フランシス。斬新なデザインのドレスを作る彼女にセバスチャンは秘密を打ち明け、フランシスは王子の専属ドレスメーカーになる。

いつかデザイナーとして成功を夢見るフランシスと、ドレスを着て「レディ・クリスタリア」になり、パリのファッションシーンで人々を魅了しつつ、王子としての立場責任との間で葛藤するセバスチャン。

セバスチャンを応援しつつも、いつまでも彼の秘密に付き合っていると、デザイナーとして世に出ていくことができないと葛藤するフランシス。そんなふたりの友情の物語。

ここで描かれているセバスチャンは「綺麗なドレスを着るのが好きな男の子」。彼のセクシュアリティについてまでは言及は無い。フランシスとの間にぽっと恋のような感情が芽生えるシーンもある。女の子になりたいゲイの王子様、というある意味「ああまた典型的なダイバーシティの話なんでしょこれは」と思わせるキャラクター設定じゃないところもいいし、そこまで「みんながみんなオンリーワン!」的なメッセージ性前面丸出しストーリーでない所も良い。終わり方もそこまできっぱりしているわけではない、気もする。

思えば小さいさんを育てているにあたり、あまり「女の子だから」とか「女の子らしく」、というコンセプトで子供の行動を制限または矯正するような場面は内外ともにあまり無いように思われる。

ただし買い物になると、洋服に関してはやはり売り場に行くと女の子はピンク!男の子は青!とか、おもちゃ屋に行くと女の子のコーナーはピンクでお人形や赤ちゃんお世話セット、男の子のほうは車輪のついたものや銃的なもの・・と明らかに分かれて売っているので、あ・・・と性別による仕分け?的なものにハッと気付かされることもある。

スターウォーズが大好きな小さいさんであるが、ピンクのレイア姫のイラストのTシャツではなくて、もっとリアルなBB-8のTシャツが欲しかったので、男の子のコーナーに行って黒いのを買い求めたり、トランスフォーマーで遊びたいというので誕生日プレゼントにお友達にリクエストしたこともあったな。

別に男の子っぽい性格でそういうものが好き、ではなくて、単に好きだから。だって面白いんだもの、という小さいさん。まあそうだよね。それをかなえるために、時々世の中にある男女別のちょっとした境界線をぴょん、と飛び越える。子供といると自由で、そういうちょっとしたコンセプトがあることも忘れてしまうことがある。

この本の話は王子様だし時代設定も昔なので、好きにドレスを着たくても色々社会的な制約キツメでお気の毒ではあるが、男だろうが女だろうが、綺麗だから好き、かっこいいから好き、面白いから好き、という根本的な気持ちを当たり前に尊重される世界に今のところ住んでいる小さいさん。どういう気持ちでこの本を何度も読み返しているのかはよくわからないけれど、なんだかいいね、と思うのだった。