愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

子連れコペンハーゲン⑩喧嘩してはいけないヴァイキング船・日本から来ました

遠い昔、イギリスを侵略し、コロンブスよりずっと昔にアメリカ大陸にまで到達していたヴァイキングの皆さん。

子供もイギリスの学校でヴァイキングについて色々勉強してずいぶん詳しくなり、Brexitで忙しいイギリス議会に「『ヴァイキングの日』をぜひ作ってください」という嘆願書まで送ったりしていた。

英語にはヴァイキングの言葉が起源の単語が色々あるというのも、子供に教えてもらった。slaughter(屠殺)、ransack(略奪)、die(死)なんていかにもそれっぽいものから、cake(ケーキ)、husband(夫)、happy(幸せ)というのも実はヴァイキングの言葉から。

他にもlaw(法律)、loan(ローン)、ombudsman(オンブズマン)といった、法律やお金に関する言葉もヴァイキングの言葉がルーツだそう。へー!

ヴァイキングというと、つい野蛮人みたいなイメージを持ってしまうけれど、実際は戦争略奪ばかりしていたわけではなく、集団で整然と船を漕ぎ、貿易をし・・他の土地に文明文化をもたらした一面もあったんですねぇ。

そんなヴァイキングの皆さんが実際に乗っていた船を見に、コペンハーゲンから電車で30分の郊外、ロスキレという街へ。

ロスキレのフィヨルドに沈められていた5艘の船を引き上げて再建したものが展示されているこの博物館。

屋内に、海底から引き上げられて再建された船が展示されている。引き上げた時はバラッバラになっていた船を、パズルのごとく組み直したそうで、その過程の説明もあった。

この船、海路の防衛のためにわざと沈めれたんだそう。敵の船が来ても、沈んだ船が底に引っかかって、通れなくする作戦。

石や材木を海底に投げ入れるわけでもなく、船そのものを沈めちゃう、というのは面白いなあ。

この船が沈められたのは1070年ごろ、ちょうど平安時代

展示場にあった落書きコーナー。やっぱりヴァイキングというと「小さなバイキング・ビッケ」!実はスウェーデンのアニメらしいですが。

そして日本から来た人たちもいるな〜とよく見ると、あき&ゆか以外は、絶対日本から来てない人達だった(爆)アルファベットでは無い不思議な文字、真似したくなる心理。そして文字が崩壊して伝わる様も垣間見れる(笑)

屋外にはのこぎりやキリ、金づちを使って木材で小さな船を作り、水に浮かべてみようのコーナーもある。色んな危ない道具が置いてあるけれど、特に管理する人も監督する人もおらず、子供たちは好き勝手にガンガン工作をする。安全管理責任うんぬんを気にしがちな昨今、でも本来はみんなこうやって色々覚えていくんだよな。

実際にヴァイキングの船に乗り、自分たちで漕いでフィヨルドをぐるっと回って見た。

帆と、人力だけで動く船。ちょっと年配の船長さんと、若いお兄ちゃんが色々教えてくれる。船長のおじいちゃんの話し方が独特で、ライフジャケットの説明はこんな感じ:

「はい皆さん水に落ちます〜、ここ引っ張りますよ〜、very well〜、他の船が来ますね〜、他の船が聞きますよ、あなたこの船に乗りたいですか?、イエスプリーズ言いますね〜、そして船に乗ります〜very well〜」

しかし航海の知識があるってすごいよな・・・、ロープの結び方、風の読み取り方、帆の向きの変え方。そんな知識と経験を頼りに、ヴァイキングは手漕ぎボートで荒波を超え、ヨーロッパやアメリカに渡って行ったのだから、やはり驚異。

そしてこのvery wellなおじいちゃんも、そのヴァイキングの知識と経験を受け継いでいるわけだ。そしてど素人の私達はこの爺様にある意味命を預け、粛々とオールを漕いで行く。

しかしこのオールを漕ぐという行為がかなり難しい。昔ドラゴンボートやアウトリガーなどを少しやっていたことはあるのだが、漕ぐ行為というより、長いオールを出したり引っ込めたり、そしていきなり集まった素人集団の間でタイミングを合わせるのがすごく難しい。

オールは長いので、前から順番に船内に引き入れ、ボートの端に重ねていかないといけない。重ねるにも、周囲の協力とコーディネーションが必要になる。帆の向きを変えるときなど、しょっちゅうオールを出したり入れたりしなければならなかったのだが、順番通りやらなかったり、扱い方がわからず他の人をオールで突きまくったり。

漕ぐタイミングが合わずに前後の人のオールに自分のオールをガンガン当ててしまう人も続出。特に年配の人、自分がトロイのに他の人に文句言うジジババがいたりして(どの国でも老人はキレやすいのか)、イラッとする。

これは、和を大切にする文化じゃ無いと、狭い船だし、他の土地にたどり着くまでに、すぐに喧嘩になって血の雨が降るんじゃないか・・とふと思った。法律だなんだという言葉がバイキングの言葉なのも・・なんだか船に乗って理解できた気がした。規律を守らないものは〜、海に突き落とすぞ〜!

マストの横に座っていると、帆の向きを変えるときなど、気をつけないと勢いよく向きを変える帆に叩きのめされそうになる。ヒー!!声かけ、コーディネーションもすごい大事。

とはいえ、穏やかな水面、緩やかな風を受けて驚くほど船は進み、暑い中で海風を受けてとても気持ちよかった。しかしこんなベーシックな船で嵐にあった時のことは・・・考えたくない。

用途に合わせて材質を変えて作られているロープ。木の皮から動物の皮まで種類は色々。匂いも独特。壁に干してある木の皮、どうやってこれをロープにするのかというと、いくつか重ねて、左右の端からねじっていく。そうしてねじったものを半分におると、あら不思議くるくるとらせん状に絡まる。

よく日本昔話でも、両手で縄をなう絵があるけれど、実際にやってみるとびっくりする。これもvery wellの爺様がやり方を教えてくれた。

しかしこういう知識を持って、自然に向かっていけるって格好いいなあ。全くそういうサバイバルスキルが欠けている自分も、日本からきました💖