愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

2022日本里帰り日記⑧:柴犬に無視される

浅草では通りがかった豆柴カフェにも行った。

ロンドンにも猫カフェがあるが、このような動物に接待を受けるような場所に行くのは初めてである。約30分ほどの入れ替え制だが、店の前にはいつも長蛇の列ができておりなかなかの人気ぶりである。

それほど広いと言えない「カフェ」は下町のお茶の間みたいなデザインになっており、丸いちゃぶ台があちこちに置いてある。人間が床に座り、放たれる豆柴が少しでもこっちに来てくれないかと、ただただ期待の目をじっと向ける。

柴犬、5-6匹はいただろうか。

子供の頃唯一飼っていた犬が柴犬だったので、やっぱり犬といえば柴犬。柴犬は可愛い。

しかし柴犬を飼っていたからこそ知っている。柴犬は取り立てて人懐こい犬ではない。

スタッフの人にはさすがに懐いていて尻尾を振ったり後をついて行ったりするものの、30分起きに入れ替わる客などは、ほぼオブジェか障害物。

おもちゃやボールを見せたり投げたりしても、すーん。手を差し出してもほぼガン無視。我々を避けて走り回る犬の背中をするっと撫でるか、ただ物欲しげに目で追うのみ・・・(苦笑)

中にはなぜか気に入られて、膝の上に乗ったと思ったら寝始めちゃてふお~っとなっている人もいたけど何なのこの差は!!

まあ我が家の犬は飼い主にもスンっとしてたからなあ。しかもこれだけ知らない人がガンガンやって来るから、犬も見ないことにしなければやってられないのかもしれない。行っておきながら何だが、この環境が犬に果たしてよいかは・・・。

そんな思いをよそに、犬はスタッフのお姉さんに被り物をかぶせてもらったりサングラスをかけられるがままになっている。お姉さんが「僕、〇〇ですぅ~、僕ちょっと恥ずかしがり屋さんなんです~」と犬はこれっぽっちも思っていないであろう気持ちを腹話術で代弁してくれる。それを半笑いで見ていた。

常連さんもいるのであろう、お誕生日の犬にお手紙つきのプレゼントを渡して一緒に写真を撮らせてもらっている人もいた。そういうお客さんにはスタッフも率先してサービスするところはなんだか水商売のようでもある。

特に子供などは、ほぼほぼ犬に触らせてもらえないまま30分が経ち、まるで田舎者が手の届かない殿上人か花魁でも見るかのようなまなざしですごすごと靴を履いて帰ってきた。

帰り際にまた腹話術のお姉さんが、「バイバイです~また来てくださいねぇ~」と犬の手を振り、また犬の前足を取りそれで私達の頭をポンポンしてくれるという追加サービスがあったので、私達もお姉さんに操られる無表情の犬に対して満面の笑顔でバイバイ~と手を振り返して帰るという動物の擬人化追加プレイをしてから外に出たら、なんとも言えない妙な気持ちになったのだった。