愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

Brick Lane


Brick Lane

Brick Lane


バングラディッシュから、親に決められた男性との結婚のためにロンドンにやってきた女性の物語。ブリックレーンには私もカレーを食べにいったことがある・・。ロンドンに行ったときに感じたのは、道を歩く人たちが、何かアメリカよりもインターナショナルな、多様性がある感じがするなーということだった。ターバンを巻いた人やサリーを着飾った人、サハラ系?のアフリカ人やアラブ人など・・・。言い方は変かもしれないけれど、「ホンモノの」マイノリティがロンドンにはいる!という感じがした。でも同時に、多様性はあっても、お互いが融合している感じがほとんどしなかった。うまく説明できないのだけれど、もともとごちゃごちゃしているアメリカよりも、「イギリス人」と「移民コミュニティ」の間にものすごい線引きがあって、それぞれが干渉せず、まったく別世界に住んでいる感じがした。感じがしただけで、実際はどうだかわからないけれど。


移民の女性の話、となると、だいたい何も知らずに嫁がされたり、働きにやってきて、苦労し、西洋文化との衝突が起き、そして自立していく・・・みたいなパターンの小説が結構ある。この話もそんな話かいな〜と思いながら読んだ。実際そういう感じの話ではあるのだけれど、話はひたすらロンドンのバングラディッシュコミュニティの中だけで進んでいく。新しい環境で主人公が生活していくさまは描かれているけれども、西洋社会とどう和解していくか、という話ではない。あくまで、主人公の女性の運命と選択に焦点が置かれている。同時にバングラディッシュに残った妹の運命と選択も、文通という形で平行に語られる。


今まで自分が読んだ移民ヒロインものとちょっと違ったのは、途中で9・11が起きる事。そしてロンドンのムスリムコミュニティの様子も描かれていることはとても興味深かった。これで、主人公が何もかも棄てて自爆テロ志願者とかになる展開だったらどないしよ!と思ったけど、多くの人にとって現実がそうであったように、それはひとつのマイルストンではあっても、彼女の人生がそれを軸に動くような話ではなかった。あーよかった!