愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

熱波来て去る

毎年夏に一度はやって来る熱波。しかし今週は、40度近くまで上がる日が2日続くという、すさまじいのがやってきました。

40度まで上がるのは、観測史上初だそうです。カリフォルニアでは何度か経験ありますが、本来夏にそこまで気温が上がることがなかったイギリスで、これはおおごとです。なにしろ、全くインフラが猛暑対応になっていません。

まずエアコンそのものが無い所が多い。エアコンが家にある家庭なんて、ほとんど無いんじゃないだろうか。レストランや図書館などの施設も、建物が古ければ古いほど、冷房はありません。バスや地下鉄にさえ、エアコンがついていない路線が多いので、普段でも暑い日は、水を片手にサウナ風呂覚悟で乗っていました。

わが家は冷房のあるショッピングモールや映画館に避難したりしましたが、暑さで線路がぐんにゃりする可能性もあったり、電車も間引き運転や遅延もあり、避難場所まで無事にたどり着けるかの心配もあったりして。

在宅仕事をするにしても、早いうちからカーテンをしめ、扇風機を回し、保冷剤を首に巻いてみたりしたものの、ラップトップの熱で不快指数はMAX。途中近所のカフェに行って凌ぎましたが、こんな日が3日以上続いていたら、コンピューターも自分も爆発してたに違いない・・。

普段は制服着用の学校も、学校によっては登校が自由になったり、私服通学がOKになったり、ブレザーやネクタイはしなくていい、などの対応があったようです。子供の中学も、普段は通学中はブレザーを脱いではいけないとか、ちょっと嫌な感じの校則があるんですが(イギリスあるある)暑い日はブレザー無しの通学OKとの通達が来ていました。やっぱり色々非常事態があると臨機応変に対応→そこからあってもなくても困らないルールが崩れて、いずれ制服じゃなくてもいいんじゃん?って事になったりしないですかね。

熱波2日目の夜には雨がざーっと降って、40度近くあった気温は一気に22度に下がりました。あまりの嬉しさに家族で外に飛び出して雨に打たれたぐらい。天気予報のおかげで、こんな熱波も長くは続かないことや、時間単位でいつ雨が降るかわかる時代なので心の準備は出来ていたから良かったですが、天気を予測できなかった昔の人だったら絶対雨乞いしてたと思う。

そして熱波翌日はまるで高原にいるような涼しさです。あまりの落差に、今度は風邪を引かないように気を付けないと。

2022日本里帰り日記⑧:柴犬に無視される

浅草では通りがかった豆柴カフェにも行った。

ロンドンにも猫カフェがあるが、このような動物に接待を受けるような場所に行くのは初めてである。約30分ほどの入れ替え制だが、店の前にはいつも長蛇の列ができておりなかなかの人気ぶりである。

それほど広いと言えない「カフェ」は下町のお茶の間みたいなデザインになっており、丸いちゃぶ台があちこちに置いてある。人間が床に座り、放たれる豆柴が少しでもこっちに来てくれないかと、ただただ期待の目をじっと向ける。

柴犬、5-6匹はいただろうか。

子供の頃唯一飼っていた犬が柴犬だったので、やっぱり犬といえば柴犬。柴犬は可愛い。

しかし柴犬を飼っていたからこそ知っている。柴犬は取り立てて人懐こい犬ではない。

スタッフの人にはさすがに懐いていて尻尾を振ったり後をついて行ったりするものの、30分起きに入れ替わる客などは、ほぼオブジェか障害物。

おもちゃやボールを見せたり投げたりしても、すーん。手を差し出してもほぼガン無視。我々を避けて走り回る犬の背中をするっと撫でるか、ただ物欲しげに目で追うのみ・・・(苦笑)

中にはなぜか気に入られて、膝の上に乗ったと思ったら寝始めちゃてふお~っとなっている人もいたけど何なのこの差は!!

まあ我が家の犬は飼い主にもスンっとしてたからなあ。しかもこれだけ知らない人がガンガンやって来るから、犬も見ないことにしなければやってられないのかもしれない。行っておきながら何だが、この環境が犬に果たしてよいかは・・・。

そんな思いをよそに、犬はスタッフのお姉さんに被り物をかぶせてもらったりサングラスをかけられるがままになっている。お姉さんが「僕、〇〇ですぅ~、僕ちょっと恥ずかしがり屋さんなんです~」と犬はこれっぽっちも思っていないであろう気持ちを腹話術で代弁してくれる。それを半笑いで見ていた。

常連さんもいるのであろう、お誕生日の犬にお手紙つきのプレゼントを渡して一緒に写真を撮らせてもらっている人もいた。そういうお客さんにはスタッフも率先してサービスするところはなんだか水商売のようでもある。

特に子供などは、ほぼほぼ犬に触らせてもらえないまま30分が経ち、まるで田舎者が手の届かない殿上人か花魁でも見るかのようなまなざしですごすごと靴を履いて帰ってきた。

帰り際にまた腹話術のお姉さんが、「バイバイです~また来てくださいねぇ~」と犬の手を振り、また犬の前足を取りそれで私達の頭をポンポンしてくれるという追加サービスがあったので、私達もお姉さんに操られる無表情の犬に対して満面の笑顔でバイバイ~と手を振り返して帰るという動物の擬人化追加プレイをしてから外に出たら、なんとも言えない妙な気持ちになったのだった。

【こんな名曲ありまっせ】It's been a long long time

K-popからOasisから懐メロから日本のアニメの主題歌からオペラに至るまで、子供の部屋から流れてくる音楽のバラエティがあまりに広いのには驚くやら面白いやらなのですが、その中でも良く流れてくるのはこの曲

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Spotifyのプレイリストに入ってるのだそうですが、1945年のアメリカの曲ですよ。11歳児がなんぞ!

実はこれ、キャプテン・アメリカの映画で使われていた曲。子供が色々な曲を知るきっかけは映画やドラマのサントラ、あとはTikTokとかのミームのBGMに使われてて、ということが多いみたいなんですけど、特にこの曲はエンドゲームでキャプテン・アメリカが最後に人生の選択をする時にも効果的に使われてて、滅茶苦茶エモい。

戦争が終わって帰ってくる夫のことを考えて歌った歌、な訳なのですが・・子供の部屋からこの曲が流れてくると、そこだけ急に色とりどりの壁紙や、タッセルのついたフロアランプにビロードのカウチが置いてあるような、アメリカのおばあちゃんの部屋なんじゃないかという気がしてしまいます。いずれにせよ、色々なジャンルの音楽を偏見なく聴けているのはいいなと思うばかりです。

2022日本里帰り日記⑦:浅草色々覚え書き

浅草滞在中の細々したことを箇条書き。

  • 支払い方法の多様さにビックリ。イギリスでも携帯に入れたGPayでピッとやって済ませているが、クレカ一枚登録しているだけで支払いも交通機関も全部済ませているので、ちょっと訳が違う。コンビニやスーパーの支払いは、有人レジでも全部機械で支払いをするのに最初手間取ってしまった。


  • 雨の日に買い物すると紙袋にまでビニールかけてくれるのにもびっくりした。


  • おぼんこぼん、青空球児好児がこの建物の中に!ナイツは残念ながらおらず。コントや新喜劇は子供も理解できるんだけど、しゃべくり漫才や落語となると、やはり日本語がついてこないので見るのは断念した。

実家方面が、良く見えまーす(見えませんw)


  • 久しぶりの地震も経験。震度3だったが、20階ぐらいのところにいたので、結構ゆーらゆーらしたので子供がとてもビビっていた。が、逆に私が全く意に介していないのにも驚いていた。
  • 浅草寺周辺はどこもかしこもアーケード。そんなアーケード街の呼び込みで一番驚いたセリフ「PCR検査いかがですか〜!」
  • アーケード街を子供と歩いている時に後ろから聞こえて来る足音が妙に感じて「ん?」と思い歩調を緩めると、通り過ぎて行ったのは初老のおぢさん。ヨボっとしてるものの、その目配りや歩調がふと気になって距離を取ったら、警官が3人小走りに駆け寄ってきて職質開始。びっくり。職質初めて見た!そしてなんとなく自分の勘、悪くないんじゃ?えっへん!と思うなど。
  • 時差ぼけとホテルの大量の朝ごはんをつい食べてしまい、夜お腹が空かない。せっかくの日本なのに!浅草にいるあいだにお寿司は一度だけ。回転寿司屋だけど寿司は回っておらず、大将に注文するスタイル、ベルトコンベアの意味とは。


  • お寿司屋さんの大将って、時々声が小さいのによく通る不思議な声の人がいる。マスクで口元が見えないので、どこから声がするのか余計わからず一瞬混乱する。隣の席に座った若いお姉ちゃんはウーロン杯頼みながら一人で携帯いじりながらハマチやら白身魚やら色々つまみに頼んでいた。
  • 今頃TT兄弟の存在を知り、ハマった子供。
  • 浅草滞在中は、反ワクチンのデモ行進にも遭遇した。参加者は20人ちょっとと小規模だったが、警察がついていて、なんとトランプの横断幕を持って歩いていたので、え?え?とビックリした。苦笑と同時に日本の深く捻れた闇を見た気がして戦慄。


  • はしゃぐ若者集団とともに、墨田川の短い距離をじわじわじわじわと進むクルーズ船にも乗った。夜桜キレイであった。形は違えど江戸時代から人々は同じところに赴き同じものを見ているというのは、なんとも趣深いことよ。

女王様の日本コレクション

バッキンガム宮殿横にあるクイーンズ・ギャラリーでは、王室が所有する美術品を見ることができます。

以前はレオナルドダヴィンチの習作やメモなどの展示を観に行ったことがありますが、それも王室がコレクションとして持っていることをすっかり「忘れ」ていて、ヴィクトリア女王の時代に気が付いて額装した、とのこと。王室の蔵の中、どないなお宝が眠ってるのやら。

今は、王室所蔵の日本の美術品が展示されてます。

「日本の芸術」というタイトルは間違ってはいないけれど、なんとなくこういう風に書かれると、「優の良品」的な中華製日本商品にも思えてきたりして。

しかしここに並ぶ所蔵品はダビンチをそこらへんに転がしておいて百年単位で忘れちゃっているようなファミリーの持ち物・・。

良品どころではなく最高峰の日本の美術品が並んでいるのでした。

これは桃山時代の箱に使われていた塗りの部分をリサイクルして作ったフランス風家具。

焼き物や塗り物などは、日本で言うと江戸前期から中期ごろのメアリー2世やジョージ4世(贅沢王!!)がコレクターとしてオランダや中国商人から色々買っていたらしい。

これはどうやらもともとおひつだったものらしい。それにヨーロッパ風の装飾をあとからつけている。しかも菊の御紋・・。江戸初期のものらしい。

ヴィクトリア女王の息子アーサー王子(コノート公)が何度か日本を訪れており、家族でこんなお控えなすってな写真も撮っています(笑)

この九谷焼も彼が日本で買ったらしい。これは実物を見てうわあ綺麗やあと見惚れてしまった。

エドワード8世(すぐ退位しちゃった人、エリザベス女王のおじさん)が皇太子時代に鹿児島に行き貰ったもの。もうここらへんになると、直接王族に差し上げる!ってことになるので、焼き物のことなど何もわからなくてもいい品や~と思えてきます。

ヨーロッパの博物館や貴族の日本コレクションの中には、素人目に見てもうーん、この絵付けや構図、なんか変じゃない?と思えるもの(特に漆塗や焼き物)があって、多分輸出用だったんじゃ?と思ったりするものも多い。

それに比べると、ここに展示されている品々はどれも間違いないシッカリした品ばかりに見えました。

展示を見ている途中で係員の人に、日本人かと聞かれ、この展示をどう思うかと聞かれたのでそこらへん正直に答えておきました・・。実際のところは、どうなんでしょうね。

文久遣欧使節団の写真も!メンバーのほんの一部ですが写っています。右のは川崎道民とすぐわかる(笑)真ん中の写真はCaldesiというイタリアの写真家が撮ったもの。ハイドパークの北側ベイズウォーターにスタジオがあったそうで、我が家のヒーヒーおじいさんもここで撮った写真があります。

将軍家、天皇家が直接王室に送っているギフトの数々は、もう間違えようがない。最上級の人達が最上級の品物のやり取りをしているわけで、これ以上のものがあるだろうかというシチュエーション。


なんだか自分がこういう、ある意味ちょっと地味でもある日本の美術品に心を動かされるというか、見ていてうわーーーっと感じたのがすごく不思議だったのですが。

ええ品やー。ええ品やー。って、ヴィクトリア女王のダイヤモンドジュビリーのお祝いに明治天皇が贈ったものだそう。そりゃええ品や!

こちらは明治時代の元帥刀。日本国外で存在するのはこれだけ、だそうです。

なんとなく、なんですけど、やっぱり生活がもとに戻りつつあるとはいえ、コロナで色々な感覚を閉ざして生活してたんだろうなあという気がしています。そんな中で、お客もまばらで居心地の良い場所で、最高級であろう品々をじっくり見ることが出来て、何か感覚にうったえるものがあったのかもしれない。なんだかすごくいい気分で建物を出たのでした。