愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

バタシーの思い出

ロンドン到着後しばらくの仮宿は、バタシー(Battersea)というテムズ川の南にあった。仮宿は昔ながらのテラスハウスが整然と立ち並んでいるものの、こちゃっとした感じの場所にあった。

4世帯が入る二階建て。ロンドンの古い住宅は、建物が何かとても低く感じる。アメリカから来ると、スケール感が狂って、ちょっとしたミニチュアの街に住んでいるような気分にもなる。

ゴミはご覧の通り、家の出入り口の前に雑然と置いてある。燃えるゴミと生ゴミをわけないので、いつもちょっとすごい感じになっている。

近くにある高架からは電車がゴトゴト走る音がする。ヒースローに向かう飛行機が上空4000フィートを大きな音を立てて飛んでいる。築何年かももうわからないこの建物は、階段を上がると床はミシミシと軋む。キッチンの窓からは隣家の窓が見え、夕飯の匂いがし、子供達がワイワイ騒ぐ声がする。

色んな音に包まれる、これはあれだ、昔ながらの長屋暮らしだ。

ワールドカップの試合では、薄い壁を伝って聞こえてくる、住人の雄叫びや"Football is coming home"を熱唱する声で、イングランドの勝利を知ったりもした。

インテリアさえ、もう何年もアップデートされていないこの部屋は、なんだかまるで、今はもうない祖父母の家の応接間の匂いがした。

長屋のようだとはいえ、ここは現代のロンドン。住人が顔を合わせることがないのだろう、「郵便がどれが誰のかわからないので、この紙に各自、どの部屋に誰が住んでいるか、名前を書いてください」という張り紙がしてあり、そこに寄せ書き風味に色々な名前が書かれている。イギリス人じゃない人も、多いみたい。

家の裏の建物は、実は住宅ではなくフォトスタジオのようだ。部屋から眺めていると、フロアには衣装が吊るされ、音楽が流れモデルのような人たちがフラッシュライトを浴びてポーズしているのが見える。その前にあるこのアパートの庭では洗濯物のシーツがパタパタとはためいている。いろんなものが小さな空間にぎゅっと詰まっている。

ダイニングテーブルは、ダイニングなんだか玄関に続く廊下の一部なのだかわからないようなところに置いてある。キッチンにはフライパンと小さな鍋が一つ、小さな冷蔵庫が一つ、近所には小さな小さなスーパーが一つ。それでも家族3人、なんとかなるもので、スーツケースだけの身軽な暮らしも悪くないものである。

外に出ると、ブルカをかぶった家族連れ。トルコ人の床屋、ハラルの雑貨屋、あちこちにケバブ屋、イスラムのコミュニティセンターに人が集う。

昔の新宿駅だか銀座にでもありそうな高架下、タバコや排気ガスの匂いが染み付いたトンネルをくぐり抜けると駅に出る。トンネルを通り抜けると急にハイストリートが開け、違う世界にやってきたかのような錯覚に陥るクラパム・ジャンクション、イギリスで一番乗り入れ路線が多い駅。ここから電車に乗り、ロンドンのあちこちに出かけ、手続きに走り回ったり、テリトリーの匂い付けをしたりした。

初夏のロンドンは10時を過ぎてもこの明るさ。子供が寝ないのだけ玉に瑕だった。引っ越し前のつかの間の最初の我が家の思い出。

2018夏の思い出② ハイパーな日本祭り

不思議なもので、高校の同窓生に海外でばったり出会う確率がとても高い。ロンドンでも、子供の日本語教室を色々探していたら、そのうちの一つの経営者が部活も一緒だった高校時代の同級生だった。

渡英してすぐ連絡をとりウン十年ぶりの再会を果たすことができたが、彼女から日本関係のイベントのチケットも頂いてしまった。

で7月某日、子供と行ってみたのがこちら。

ハイパージャパンフェスティバル。

話は飛ぶが、サンフランシスコには日本街があり、ジャパンセンターと呼ばれる小さなショッピングモール的なものがある。そこのダイソーで買い物したり、ニジヤでポッキーを買ってみたり、ベニハナでテッパンヤーキを食べてみたり、紀伊国屋の一階でアニメグッズを漁ってみたり、ラーメンの列に並んでみたり・・とそれなりに日本文化が普通に隣にある生活をしているアメリカ人は結構いたものであった。

そして春には桜祭り、夏になればお盆祭りと、地元の日系コミュニティが主催するお祭りもずいぶんと盛り上がる。数キロに渡って行われるパレードでは、フンドシ一本で神輿の上に乗る爺さんを沿道でゲイのお兄さん達がキャーキャーいいながら見ていたり、伝説の日系政治家ノーマン・ミネタ氏が、アニメキャラのコスプレをしたアメリカ人の団体を後ろにぞろぞろと引き連れ、オープンカーに乗って手を振っている・・・という面白い風景も見ることができる。

そういう日本のシンボル的場所がないロンドン、日本文化は一体どんな広がりを見せているのか、なかなか視覚的に確認する機会がなかった。しかしさすがにロンドン・パリ・ニューヨーク、と言われるだけの世界都市なだけある(笑)。大きな日系人コミュニティは無いかもしれないが、進出したい企業様はたくさんいるわけで、そんな大中小の企業努力が元になっての一大祭りが繰り広げられていた・・・!

ロンドンに来て久しく日本的なものに触れていなかった私と子供、思わずウッヒョー!である。

ウッヒョー!稀勢の里。ドーモ君も来ていた。どうせ中身はおっさんかな・・

しかし何より子供がウッヒョー!となったのはニンテンドーのブース。会場にいた時間の3分の2はここにいたのでは無いだろうか。

ニンテンドーラボ、よくできている。でもダンボールってすぐヨレヨレになって分解されてそこらへんに転がってしまうんだよね・・子供が飽きるのも早そうな気もする。難しいところだ。

どハマりしていたスプラトゥーン。家にゲーム機は無いのだが、youtubeスプラトゥーンの音楽を聴き始めてハマったらしく、ようやく実物を触ることができてもう夢中になってしまった。

ムニョムニョごにょごにょ不思議な言葉で歌ってる音楽、実はなんだかよくて私も子供につられて聞いてしまっている。youtubeをだらだら見るぐらいだったら、こういうゲームを与えた方が良いという話も友達としていたところだったので、クリスマスにニンテンドースイッチを所望されて少し迷う。

しかし何より、この祭りを支える基盤となっているのは、みんな一体どこから来たのか、なぜか写真にはあまり写り込んではいないものの、会場の大方を占めているように思われたロンドンのコスプレイヤーのみなさまである。

ガリガリのアジア人のおっさんセイラームーンには多少引いたものの、なんだかその層の厚さはサンフランシスコに集まる人たちよりすごいんじゃ無いかと思われるほどであった。

若者だけでない、かなりゴリゴリのおっさんがフリルたっぷりのロリータファッションをしているのは圧巻だったし、中には娘に付き合って家族3人コスプレ一家もいた。全員ピンクで決めているのであるが、頭髪がヒヨコみたいになった中年のお父さんもピンクのメルヘンアイテムで身を固めている姿は、家族愛の深さを感じざるをえなかった。自然と好みを共有していてこうなったのか、何か思春期の子供を理解しようとして頑張った結果がこうなのか、気になるところではある。

結構イタリア語が聞こえてきていたのも印象的だった、イギリスだけで無いヨーロッパに広がるアニメ文化の輪。みんなすごく楽しそうにグッズを見ていた。

そしてそこへ久光製薬が無料で布バッグを配っていたため、「サロンパス」とでかでかと書かれたバッグを肩にかけたコスプレイヤーが大量発生し、ロンドンの路上に散らばっていくという現象もその後見られたのであった。

そういえば別の日には、今ロンドンでミュージカル王様と私に出ている渡辺謙大沢たかおトークショーをしていたりもしていた。コンサート会場もあり、よく知らないアニソンDJなどが回したりもしていたが、一つわーきゃー言っている会場を覗いてみたら髭とツインテールのロリータレスラー、レディービアードいたー!!!

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この格好でデスメタルをがなるオーストラリア人のレスラー兼パフォーマー。ビデオをどこかで見かけてヒョー、と思ったのだが、自分はパロディでこのような格好をしているが、それで女装コミュニティのみなさんが気分を悪くしていないか心配だった、でもみなさん暖かく受け入れてくれて・・って結構ちゃんと話しているインタビューも見て、結構真面目な青年やんな、と思った記憶が。

これはせっかくなので見てみたい、とも思ったがちょっと8歳児には刺激が強すぎ怖いと拒否られてしまった(笑)

この他にも色々な食品メーカーが出店しており、いなり寿司だ味噌汁だラーメンだと、色々ちょっとずつ試食させてくれるコーナーもあり、ランチがいらないくらい試食でお腹がいっぱいになってしまった。

結構お客さんとブースの人が顔見知りだったりもするようで、「あ、◯◯さん知ってます?△△の会で一緒なんですよ〜、やっぱり繋がってますよね〜」などと共通の知り合いの話をしているのも何度か耳にした。やはりそれなりに狭いのかロンドンの日本人コミュニティ。

実はこのイベントにいく前日の夜、ふと餅が食べたいな、焼いたやつにチーズ乗せて海苔巻いて醤油をつけて食べたいものだ、とちらっと思っていたのだが、あるブースの方がそろそろ片付けるからと、展示してあった切り餅1キロ分を思いがけず下さったのがとてもラッキーで嬉しかった。実は昨晩寝しなに餅が食べたいと思っていたところだった、と丁重にお礼を言った。

その日の晩、もしや・・と思い、誰か1億円ぐらいくれないかな、とふと思ってみたりもしたが、翌日になっても特に何も起こらなかった。

ロンドンの小学校のこと。

家探しの次は、学校探しの話。

子供がいると、どこに住んでもいい、というわけにもいかないのが辛いところである。やはり公園があったり環境がいいところ、他にも家族連れが多く住んでいて、子供向けの色々なアクティビティも充実しているところ、そして何より、学校が良いところ・・と色々条件が出てきてしまう。

ベイエリアでロンドン出身のイギリス人と話をした時には「ロンドンの公立はどこもひどいから、私立に入れるの一択でしょう」とかなりの極論をいただいてしまったが、そういえば「良い学校」って、どういう学校を指すんだろう、と考えてしまう。

テストの点数がいいところ、勉強以外にもいろんなアクティビティがあるところ、いろんな文化や背景の子供たちが集まり、みんなで相互理解を深めながらやっているようなところ・・・。一体何を「良い」とするのか、これは思いがけず自分たちの価値観や教育観が試されることにもなる。

イギリスにはOFSTEADという学校の監査評価をする政府機関があって、子供の学力や施設、プログラムなどを4段階評価している。とりあえずそこの評価が一番高い"outstanding"の学校に、みなさんこぞって子供を入れたがる。まあ一番わかりやすい指標ではある。

あと面白いのは、イギリス国教会カトリックなど、宗教系の公立校が結構あり、そこも人気が高いこと。これは学区内に住む信者がまずは優先されるが、信者じゃなくても入れる枠もあったりして、ムスリムだけどイギリス国教会の学校に行ってました〜、なんていう人もいたりする。

結構こじんまりしていてアットホームなこと、勉強もきっちりやる感じのところが多く、地元の不動産屋さんは「教会系の学校はやはりモラルが高いからね」と言っていた。そんな感じなので、私達の地元でも教会系の人気はすごく高い。そんなに熱心な信者じゃないけど、子供の学校のために教会に頑張って通う人もいるらしい。

ロンドンはboroughと呼ばれる「区」的な自治体に分かれているので、学校に空きがあるかどうかも、そこの教育委員会に電話をして確認する。当然ながら評価の高い小学校も宗教学校も全部いっぱいで、今空いてるのはここですよ、と教えてもらった学校はどれも評価が2番目の"good"のところばかりであった。

入学申し込みは、とりあえず第4希望ぐらいまで書けるので、とりあえず評価の高いところを優先的に書いておいたが、結局我が家から一番近いが評価は"good"だった学校に、9月から小さいさんは通うことになった。宗教系の学校は、今のところウェイティングリストの2番目ぐらいらしい。

この"good"と"outstanding"の学校の差は実際どれだけあるのか。今回学校選びについてはイギリス人ママが集まる掲示板などでも色々質問してみたのだが、どうもハッキリしなかった。イギリス人ママ達とのやりとりも面白かったので、また別に書いてみようとは思うが、OFSTEADの評価が高いともうそれで手放しで安心して子供を通わせている感じもあった。子供が通うことになる学校についても、あまり良くないという話も聞いた、という人もいたが具体的に何が、となると何も出てこなかったり。

で実際にイギリスの学校が夏休みに入る数日前に学校見学をする機会があり、子供と行ってみてびっくりした。

評価がAだろうがBだろうが、イギリスの学校、アメリカより全然良い。

まずは施設が素晴らしい。外からみると築100年以上のドロドロのお化け屋敷かホグワーツのようにも見えた校舎だったが、中はモダンに改装されていて明るくとても綺麗。外から中が全然見えなかったのは、セキュリティがそれだけしっかりしているからで、門はがっちりしまっていて誰でも入れるわけではない。変な話、イギリスで学校内での銃乱射を心配する必要がないのも嬉しいが、子供が通っていたアメリカの学校よりもそこらへんはしっかりしていた。

保護者が学校内に入るときも、顔写真をとりサインをしバッジを発行してもらうのだが、シリコンバレーの会社で使ってるのと似たようなシステム。

校庭も外からは想像できないほど広く、イギリスらしい素敵な庭もついていた。休み時間になるとスピーカーを出して先生が音楽をガンガンかけ、走り回りたくない子のためにアートや手芸のテーブルも用意される。

授業はクラスごとだけれど、数学特別ルームがあり、進み具合が早い子、遅い子はそこに行って個別指導を受けている。実はカリフォルニアの算数、イギリスのカリキュラムより遅れているので、小さいさんも多分ここにお世話になるのではないかと思われる。

他にも庭に出て、iPadを前に先生とマンツーマンで何かをやっている子もいた。

カウンセラーも常駐していて、この部屋に行けば家のことでも学校のことでも、何か心配ごとや嫌なことがあったらなんでも吐き出していい、という部屋もある。

クラスは担任と副担任の2人体制で教室に必ず先生が2人いる(!!!!!)

学年によってクラリネットやバイオリンなど、一つの楽器をマスターする(!)。放課後にピアノなどのレッスンを受けることもできる(!!!)。

体育でプールの授業があり、泳ぎ方も覚えられる(!!!!!)。

日本でいうところの3年生から、フランス語の授業もある(!!!!!)。

放課後のクラブが色々ある。学期ごとに先生が自分の興味に合わせて、スポーツやダンス、読書やアートなどのクラブ活動を受け持ってくれるそうな(!!!!!)。

プールの授業や放課後のクラブなどは日本の学校では普通にあるかもしれないが、アメリカの公立校ではまず考えられなかった。小さいさんがアメリカで通っていた小学校は、地元でも一番評価の高い学校ではあったが、いかんせんアメリカの教育予算の問題や教師のサラリーの低さの問題は深刻で、そんなことができる余裕など一つもない。まず先生が授業時間以外に何かする、ということが考えられない。

色々足りない分はPTAが資金を集めておぎなっていて、例えば勉強が遅れている子のための補助の先生を雇うための資金も、PTAが出していた。さらに図画工作や体育の一部の授業は親がボランティアで教えていたりもする。毎年色々ファンドレージングイベントがあって、そこで数百万円単位のお金を集めていたから凄かった。逆にそういう経済的余裕がない家族が多い学区になるとそういうわけにもいかず、学校間の格差は広がるばかり。うちの学校のPTAは集めたお金の一部をそういう学校に回してあげたりもしていた・・。

と話は飛んだが、そんな環境から来た我が家にとっては、イギリスの小学校はものすごくパラダイスに見えて、うわー、ふわー、すごーい、ととにかく感心感動して帰ってきてしまった。イギリスの学校も教育資金難などの問題はあるのかもしれないが、それでもこれだけ出来ている。まあアメリカという国の仕組みからして、政府が色々手厚くやるような感じではないのもあるが、それにしてもアメリカの教育問題は根が深いのかもしれない・・・。

来週からここに通うことになった小さいさん。制服もそろえ、準備は万端。また通い始めるとわかることも多いと思うので、小さいさんの感想も楽しみである。

ロンドンでの家探しのこと

今回の家探しは、ものすごおぉく、大変でした。何が大変だったって、子供の学校も平行して探さないといけなかったから。

子供は現地の公立校に行ってもらうことにしたので、まずどの学校がいいのか、そもそもその学校に入れるのか(公立であっても定員オーバーで入れないことも多いのです)、そして私たちが渡英するタイミングで入居できるいい物件が、その学区内にあるのか・・・、と、クリアしなければいけない条件が山積み。

学校探しのことはまた別に書きますが、この条件を一挙にクリアさせるって、一体どれだけミラクル起こせっていうんだ・・という感じでした。

それに物件を探すといっても、6月まで私と子供はアメリカにいたので、自分で見にいくことができない!とにかくウェブで物件を見まくり、気になるものがあれば遠隔で旦那に見に行ってもらう、ということをギリギリまでやっていて、それも地味に辛かったです。

毎日のように仕事帰りに物件を見に行ってもらい、ビデオを撮って送ってもらい、それを目を皿のようにして何度も再生し・・。ストリートビューで近所の雰囲気を見たり、遠くにいても色々わかるのは便利ではありましたが、現地にいる旦那がこれは大丈夫、と思っても、ビデオで見るだけではええ〜、と私が思ってしまったり、またチェックしたい箇所がビデオに写っていなかったりで、意見が一致しないことも多く・・・実際に自分の目で見たほうが、絶対もっと早く決まっていただろうなとは思いました。

ロンドンは高い!とはいいますが、不動産が高騰しまくっているサンフランシスコと比べると、私たちが選んだ地域に関していえば、値段的にはまあこんなもんかな・・という感じではありました。でもやはり、全体的に古い。

よく見かける住宅街の街並み。建物が建てられた時期により、エドワーディアン、ビクトリアンなどと呼ばれますがいわゆるテラスハウスがだーっと並んでいます。わー素敵!と外を見ると思うんですが、何しろ築100年以上です。持ち主によって改装度も色々で、ものすごくモダンで素敵にしてあるところもありますが、それが賃貸ともなるとなかなか。

あと、アメリカのサイズ感に慣れてしまっていると、どのアパートもびっくりするほど狭く感じます。2ベッドルームで50平米とか普通にあります。日本により似ているのかな。家具を全部処分してきて正解。収納もあまりないので、モノも極力減らしたほうが良いかも・・・。

まだテナントが住んでいるところにお邪魔して見せてもらうことも多かったのですが、イギリス人の皆さんも、狭いところにモノをごちゃごちゃ並べて生活している印象でした。スペースに合わせてモノを持つって、どの国でもなかなか難しいことなのかも。

アパートが建てられた年代によって、レイアウトも特徴的。古ければ古いほど、リビングとキッチンが別々になっていて、ひどい時には建物の端と端に分かれている、なんていうこともありました。今でいうリビングルームは「レセプションルーム」とも呼ばれていて、家族がくつろぐ場所、と言うよりは客間、応接間という位置づけだった名残りなんでしょうね。

もう数え切れないほど色々な物件を見てもらったのですが、大きさ、古さ、キッチンや水まわりなど・・どれも中途半端で、これはいい!と思えるものがない。それでも物件の情報を見ると、家具の配置から生活動線、駅や学校、買い物に行くことなどを事細かに想像してしまいます。

それを毎回無意識にやっていたら、かなり気分的に疲労&消耗してしまい、メールやチャットでビデオを旦那がどんどん送ってくれるのですが、最後はもうどれがどこの何だか分からなくなってしまいました。

あと毎回物件探しをしていて思うのですが、自分がいい!住みたい!って思える物件って、必ず予算より3万円以上オーバーのところなんですよね・・。これはアメリカでもそうだった・・。

そして最後にここにしよう!と決めたのが、上の写真にあるような感じのテラスハウスの2階の家。ビデオで何度も何度も見て、うーんやっぱりちょっと古いよな・・狭そう・・・・とかなり逡巡したのですが、やはり安かったのと、何より希望していた学校2校からどちらも徒歩4分だったので決めました。

これがその家の間取り図。お風呂はシャワーのみ、ベッドルームはベッドを入れたらもういっぱいな感じの部屋が3部屋。その一つを物置にすればなんとかなるかな・・などと、子供と2人アメリカで想像を膨らませて描いたのがこれ。私たちが渡英する前に旦那が先に入居できるはずでした。

ところが・・・

大家がかなりの年寄りで、その息子が実際の管理をしていたのですが、シャワーの改装が入居日までに終わらないから1週間待ってくれと。手続きは全部不動産屋を経由していたのですが、その不動産屋さんも、その息子が海外出張に行ってしまったりでなかなかつかまらずに困った様子。

仕方がないのでそれは了承したのですが、再度旦那が連絡して進捗状況を確認したところ、今度は屋根から水漏れがあったので修理しないといけない、ついでに窓も全部取り替える、あと2週間かかるその間の家賃はタダにするから云々。

数ヶ月に渡り物件を見続け疲れていた旦那はとうとうブチ切れて、契約をキャンセル。デポジットも払っていたのですが、状況が状況だったので、不動産屋に言って返してもらいました。この時点で私たちの渡英2週間前ぐらい。

結局、気に入っていたけれど、予算を少しオーバーしていたのであきらめていた物件が空いていたので、急遽そこに入ることになりことなきを得ました。結局自分たちが決めた予算だと、どうも微妙な物件しかなかった・・・。ベイエリアでも似たような感じで、それでも今まで住んだ3軒のアパートは、たまたますごくいいものが見つかってラッキー、だったのですが、陳家の不動産運はそこで尽きたようです。

でも新居はエレベーターつきの比較的新しいビルで、広さもアメリカにいた時とあまり変わらない上に、トイレもバスも2個、バルコニーもついていて、思わぬアップグレード。何しろアメリカで最後に住んだ家も築100年で、水漏れだネズミだカビだと色々問題があったので、それに比べると夢のような物件です。まあ、その分私も頑張って稼がないとだけれど・・・。

イギリスの賃貸、家具がついているところも多くて面白いなと思ったのですが、残念ながらこの家はついていませんでした。まだ引っ越し荷物は海の上。入居日に合わせてベッドやマットレスなど必要最低限の家具だけ買って配達してもらい、組み立てる・・・とまた疲れる作業もありましたが、もうそれも終わったのでどうでもいいや。

お役立ち?情報
  • 物件探しはRightmoveというウェブサイトを使った。主に不動産屋が扱っている物件が出てくる。
  • ロンドンの賃貸物件やその管理は、数件の大手不動産屋がかなり牛耳ってる感あり。そこを通じて借りるときは最初に手数料がかかったりもするが、そこを通じてアパートを借りていると、銀行口座を空ける時の信用もあったし、トラブル時の対応も早いので結果良かった。
  • 日本人がたくさん住んでいるエリア(アクトン、ウィンブルドン、ハムステッドなど)をメインに扱っている日系の不動産屋さんも何件があって、結構ロンドンの中心地にもお店を構えていたりしてびっくりした。それだけ需要があるってことなのね。
  • 家賃は交渉可。特に長い間リスティングされているような物件は、追っているとどんどん値段を下げているのが見えて面白かった。
  • 家賃の他に、住んでいる地区に収めるカウンシルタックスという税金がかかる。家賃に入っているかいないか要確認。場所によっては大家が払ってくれるとか、家賃に入っているらしいがあまり見かけず。
  • EUの法律で提示が義務付けられているらしいが、借りる物件のエネルギー効率レベルなどの情報も載っている。窓が薄かったりすると冬の暖房費もバカにならないし、参考になる。Brexitしちゃったらこういう情報も見られなくなってしまうのだろか。

2018夏の思い出① グリニッジ

アメリカの学校が終わったのが6月の1週目、そしてイギリスの小学校は9月からなので今年はまるまる3ヶ月の夏休みの思い出シリーズ。

本当はちょっと住みたいなと思っていたグリニッジへ。

テムズ川の南東、ちょっと中心から外れているので、ロンドンに観光に来ても行く機会がないことも多い場所かもしれないけれど、とてもいい感じのところで結構おすすめなのである。

夫は一足先にこちらにやってきて家探しをしていたが、その間グリニッジにもしばらく部屋を借りていた。結論としては通勤には便利だが、観光地が近すぎてうるさい、もっと住宅地に行くと車が必要、あとは学校のことなど色々あって実現せず。

個人的には音楽系の学校やクラスがここら辺にたくさんあったので、それも魅力だったのだけれど・・・。

我が家からは電車とチューブを乗り継ぎ1時間ほど。1700年代から続くマーケットや、古い街並みが続く港町。世界遺産にもなっている。

そんな古い建物の間を歩いていると最初はなんだかボストンにいるような感覚におちいってしまった。って、それ逆や!ボストンがイギリスっぽいんや。

王立海軍学校や海事博物館、そして広い広いロイヤルパークが広がっていて、ゴロゴロしたりピクニックしたり。この夏は天気が良かった(良すぎた)日が多かったので、とても気持ちが良かった。

クイーンズハウス。1600年代に当時の王様が奥さんに建てたもの。中は博物館になっているけれど、こういうのを無料で見られるのがロンドンのいいところ。

どうやらこの建物の中に幽霊が出るらしく、心霊写真が取れたり学芸員が目撃したりしているらしい。公式サイトにも予約をすればそういう証拠品(!?)を色々見せてあげるとの記載が・・(怖)

こないだのロイヤルウェディングの時は、大型スクリーンがここに出て旦那も見たとか。ずいぶんな人が集まったそう。

グリニッジといえば天文台グリニッジといえばGMT. もう丘の上に上がるのが面倒なくらい暑かったので登らず。ここで天文観測はもうしていない。

イギリスっぽい意味不明さw

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夏の間はいろんなお祭りをやっていたり、公園では子供向けのインタラクティブな展示があったり、ああイギリスっぽいなぁ、という感じの意味不明なモンティパイソン的パフォーマンスをやっていたり。楽しい。

帆船カティーサーク。ここら辺で時差ぼけとエネルギー切れであえなく帰宅。ここからちょっと歩いたところに、ウォーターフロントで新しいアパートがたくさん建っている。そういうところに住めたらなぁ・・とも思っていたが、週末ごとにこの混雑は確かにちょっと嫌かなあ。