毎年毎年、服がない!去年の今頃、何着てたっけ?となるのは何故なんでしょう・・・。と言ってクロゼットの中に服が無いわけではないのに!!
実際、仕事で着るようなワンピースやスカートなどは沢山あって、それこそ会社に行ってた時には1〜2ヶ月毎日違うコーディネートで通えてた時もあったのですが、家にいる時間が増えるようになったここ2年ほど、特に冬場に家で着られる服が・・・あまり無い!
と言うことで、これを機会に、ちょっと今更感もありますが、オンラインで自分の好みを入力すると、こんな服はいかがでしょう、とカスタマイズした洋服を詰め合わせて送ってくれるサービス、Stitch Fixを試してみることにしました。
サイトに自分のサイズや好みを入力
サインアップすると、いろんなことを聞かれます。
サイズ
- 身長、体重、服やブラ、パンツのサイズ
- 腕や足、胴のプロポーション(長め、短め、普通)
好みのフィットやカット
- 好みのフィット感(パッツリ系、ちょっと余裕系、ゆるゆる系など)
- どれくらい露出したいか(腕、胸、足など)
好みのスタイル
- この組み合わせの中で、どれが好き?(7種類ぐらいありました)
値段
- それぞれのアイテムにいくら出したいか(安ければ安いほど良い〜50〜200ドルまで幅あり。安ければ良いを選択)
個人情報
- 誕生日、職業、子供がいるか
- このサービスを使う目的(自分が普段着ないスタイルを試してみたい、自分へのご褒美、買い物時間を節約したい、など)
ゼイゼイゼイ・・・ずいぶん記入したけどまだあるぞ・・・・!!!
最後に、自分が持っているSNS(pinterest, twitter, instagram) のリンク情報、そしてフリースタイルで自分の希望を記入しました。
インスタは食べ物の写真ばっかりだから役に立たないかも・・・Pinterestは自分の好きなファッションをピンしたボードをすでに作っていたので、それをシェアしました。
私のPinterestはこんな感じ。なんとなく趣味がわかってもらえるだろうか。
自由に記入する欄にもう少し具体的な好みを書きます。
- ブランドによって自分に合うサイズ(0~6まで!)に幅がありすぎて、正確なサイズが良くわからず、設定画面で指定したサイズが本当か自信がないこと。
- ウェスト、ヒップの正確なサイズ。体型で気になるところも細かく伝えた
- 在宅主婦なので、カジュアル服希望。スーパーへの買い物や学校の送り迎えなどに、スロッピーにならない感じにしたい。
- 明るい色目希望
- スカートはひざ下、ホルタートップやスクープネックはNG
- 好きな服、良く買う服のブランドを追加でお知らせ(ModCloth, Boden)
自分のサイズを確認したりで、全部記入するのに10分ぐらいはかかりました。
待ってる間のワクワクがたまらない。
これだけ自分の好みやサイズや希望を色々書いたので、これを読み取ってどんなものを提案してくれるんだろう!とかなりワクワク。申し込んでから1週間ちょっと。最初のボックスが発送されたよ!と言うお知らせが届きました。ワクワク!ワクワク!
とうとう来た!!
そして、キター!お知らせが来た翌日には家に到着。
スタイリストからのお手紙と、気に入らなかったものを送り返すための返品用袋もついています。
ジャスティーンと言うスタイリストからのコメント付き。ん?これのどれが入っているのだ?
さらに開けてみます。
プレイドのスカーフ、グレーのタートルネック、そしてバーガンディーのコーデュロイのパンツ。
ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜地味。
明るい色(bright color)希望って2回書いたのに、「バーガンディーは今年の流行色です!」とか書いてあるぞ。知らんがな。
「新しいパターンを試してみたいとのことだったので」
で、来たのがこれか〜〜〜。水玉とか着てみたいかも、って書いたのになぁ・・。着るとちょっとおばさん臭い。七分袖で生地もツルツル。冬もの欲しいのになぁ・・。
特にコメントもなしで入っていたドレス。Aラインは好きなので良しですが、柄は自分では選ばない感じのもの。着てみたら悪くはないが、すごく良くもなく。
ワクワク感とともに、外した時のがっかり感は大きい
箱を開けたらパッと色とりどりの服が出てくるところを想像していたので、思いの他地味で薄暗い色の服が出てきた時にまずズドーンとがっかりしましたw
サイズについては、あれだけ細かく指定、自由に記入する欄にも正確な数字を書いたので、フィット感はかなり優秀。
特にパンツは生地も気持ちよくて履きやすかったのですが、股上が深すぎてお尻が気持ち悪かったのがアウト。もう少しローライズだったら買ったかも・・。
グレーのタートルネックも、素材はすごく気持ちよかったけど、タートルネックのもっさり感がなんともいえず。
二番目の柄モノブラウスは言語道断で返品でしたが、残りは着られないことはない。でも自分が店でこれをみたら買うかといえばノー。こんまり風にいえば全然ときめかない。
明確に好みを表明したつもりだったのに、全然違うものが出てきたので、ワンピ以外は全部返品しました。
ワンピは一応頭の中で着ている場面やコーディネートが浮かんだので、キープ。全部返品してもスタイリング料20ドルは払わないといけないし、一品でも購入すれば20ドルは服代から引かれるとのことだったので、半分仕方なく。全部買うとかなり割引があってお得にはなります。
しかしワクワクしていた分、開けた時のがっかり度は、がっかりを通りこして少し悲しくなったぐらい。本当はカジュアルな服が欲しかったのになぁ。ここまでわかってくれなかったとは・・(苦笑)
フィードバック
返品手続きをする時に、一つ一つのアイテムにフィードバックを残すことができます。スタイル、サイズ、色など色々な項目で良かった、まあまあ、最悪、など選択肢から選び、コメントも残しました。
全体的な満足度としては1。理由の中の「スタイリストが希望を聞かなかったから」を選んだところ、次回はスタイリストを変えます、とのこと。ジャスティーンちゃん、首。
こんなメールも来ました(苦笑)
Stitch Fix はAI と人間のスタイリストの両方を使ってコーディネートする、と言うのが売り。今回は初めてだったし、今後もフィードバックを続けていれば、スタイリストもAIも訓練されてもう少し気に入ったモノが出てくるようになるのかしら。そう思って、まあいいかな〜キープしちゃおうかなと一瞬妥協しそうになったものも、実際の希望に合わなかったものは返品して厳しく採点しておきました。
ただこれ次が来るのが3ヶ月後なので、自分好みのボックスが来るように整うまで、一体どれぐらいかかるのだろう・・。
感覚的な好みをデータ化する難しさ
このサービスで一つだけ感心したのは、サイズはどれもぴったりだったところ。特にパンツは、気持ち良くフィットするものを見つけるのが難しいので、驚きました。やっぱり明確な数値として出る事実は処理しやすいのかもしれません。
一方人の「好み」を推測するのはマシンではやっぱり難しいんだろうなぁ。客のロケーション近くに在庫があるもの、サイズが合うものをフィルターアウトして、さらにユーザーが設定画面の選択肢から選んだ好みをスコア化して・・・と、実はそんなに複雑なことはやってない気がする。
パンツが欲しい頻度とか、ヒールの高さ、なんていうのを弾き出すのは得意でも、好きなコーディネイトの雰囲気とか、そういう細かいニュアンスはやはりちょっと・・。
感覚的な好みを、ユーザーがそこまで言葉や数字で指定するのも難しいと思うので、設定画面で画像を見て好きなコーディネートを選べるのは良いなと思ったけれど、ここで評価できるコーデは7種類だけ。
TwitterやFacebookに上がってくるStitch Fixの広告コーデはどれも好きで欲しい!と思ったのだけれど、設定画面で出てきたコーデの画像はどれもイマイチでピンとこなかったのも敗因だったかも。
もっといろんなコーデをフラッシュカード見たいに見て評価させて欲しかった。フィードバックだって送られてきた5点にしか出来ないし。
そこでPinterestでビジュアル的に自分の好きなものを説明できるのかな、と思ったけれど、これを見て私の好みを理解してくれた形跡はゼロでした。
AIとか言うから、つい私が書いた細かいコメントを自然言語処理して、それを考慮に入れた上で商品をマッチングしている・・なんて想像していましたが、多分そうじゃないですね。設定画面上で入力したデータはそれなりに使っていても、コメント欄の処理は下手くそな気がしました。
字数制限もあったけど、あれは自然言語処理しているんだろうか、人間が読んでいるんだろうか。機械だったらまだまだ性能が悪いし、人間だったら読解力が最悪かも(苦笑)
スタイリストは当てにならない?というよりオペレーション体制の問題かも
このサービス、Stitch Fixが持つインベントリーの中からユーザーに合ったものをアルゴリズムで選び、さらに人間の「スタイリスト」がユーザーの微妙な好みを読み取って最終的な選択、提案をすることになっているらしいのですが、ここで言う「スタイリスト」も実際はどれほどプロなのか、意欲的にスタイリングをしようと思って仕事をしてるのかは、ちょっと疑問でした。
Stitch Fixのサイトで見ると、ここで働いているデータサイエンティストは80人ほど、その中でもスタイリング専門でやってる人は16人(関係ないけどその半数以上がおっさん)。一方でスタイリストは3500人ほどいるらしいです。
Glassdoor(現役社員が自分の職場をレビューできるサイト)でスタイリスト職についている人のコメントをいくつか見たところ、どうもこの仕事、在宅のパート契約社員がやっているらしい。
でも「プロの」スタイリストの仕事といっても、どうやらシステムがピックアップした洋服を適当に組み合わせて、ユーザーに送る服を決めるという、微調整的、流れ作業的な仕事らしい。ユーザーへのメッセージの文章もある程度テンプレートがあってそれを組み合わせてるっぽい。「単純な仕事なので大した研修も無かった」とレビューサイトにも書かれていました。
顧客サービス的な役割の他に、アルゴリズムのQA的役割も果たすのかと勝手に思っていたスタイリストだけれど、その他のレビューを見ていても、この仕事は組織内で評価もされないポジションだし、インベントリーがひどい中から服を適当に選ばないといけないらしいので心苦しい、というコメントもありました。
どうもスタイリストの役割はオペレーションの中でもウェイトがずいぶん低い形になっていて、自分からより良いスタイリングを提案するモチベーションも体制もあんまりなさそうな感じでした。
特にシリコンバレーのテクノロジー第一主義的な会社では、機械が出してきた情報至上主義みたいな感じになって、こういうオペレーションレベルの人達がどんどん考えることをやめて流れ作業的な仕事をするような環境になっている・・・というのはありがちなんですよねぇ。
本来はユーザーからのフィードバックだけじゃなくて、オペレーション側から上がってくるフィードバックもアルゴリズムの改善に役立つんじゃ無いかと思うんですけど、今回私のスタイリストは、AIが選んだものが私の希望と全然違う!やり直し!と言う盾にもなってはくれませんでした。
究極的にはまさに人間が介在しなくてもスタイリングができることを目指しているから、逆に人間のスタイリストに重点を置いてないのかもしれないけど、その割には「スタイリストが選びました」的に宣伝してるのもちょっと。
ユーザーとしてはAIよりスタイリストの最終判断に期待していた部分もあったので、今回のポンコツコーデはさらにがっかりでした。
次回は設定強めでチャレンジ・・というか人がAI(?)に合わせないといけないのか
次回のオーダーでは、スタイリスト向けのコメント欄の充実よりも、設定ページで好みをより細かく絞り込んで、まずはシステムが自分の好みにあった服をスタイリストの目の前に提示してくれるよう、様子をみようかと思います。
実際、履きやすいけど股上が深すぎる!と不満に思ったパンツは、後で設定画面を見てみたら、パンツのフィットの指定を「ローライズとミディアム」両方選んでいたから来たみたいだし、明るい色が欲しい、とコメント欄にはは書いたけど、グレーや暗い色を「欲しく無い色」に設定まではしていなかった。絶対欲しくないわけじゃなかったし、そこはスタイリストが采配を振るってくれるもんだと思ってたので・・でもあんまり設定がファジーだとダメみたい。ってこれAIとはちょっと違う気もしてきた・・。
そしてこのサービスを選んだ理由「普段着ないものを試してみたい」、選んでましたね〜〜、本当なら、「あなたはいつもこんなファッションしてるけど、実際はこんなのも似合うはずよ」って敏腕スタイリストさんが予想していなかった素敵なファッションを提案してくれることを想像していたんですが、このサービスではちょっとそれは望めなそう。
だったらこのサービスを使う理由に「買い物の手間を省きたい」を選ぶのが無難なのかもしれません。せいぜいスタイリストには「Pinterestをちゃんと見て!」とリクエストするしかなさそうです。
このシステム、積極的なファッションの提案をしてもらうと言うよりは、自分で条件をどんどんフィルターアウトして行って、消去法で残ったものを提案してもらう・・と言う形になりそうです。うーん。なんかこのサービスの特徴を読み取ってこっちから歩み寄らないといけない感じか。それって嬉しいかな?
サービスを使った後でやったこと
そうは言っても2011年にスタートしたこの会社、ずいぶん続いてます。周囲で使ったことがある人もぼちぼちいます。と言っても数回やって辞めてる人がほとんど。churn rate気になります。
サンフランシスコの会社だし、ベイエリアでは一度でも使ったことある、と言う人はそれなりにいるようで「自分がStitch Fixで買ったのと同じ服を着ている人を街で見かけた」「パーティーでドレスがかぶっている人がいて、聞けば二人ともStitch Fixで買ったと言っていた」と言う話も聞きました(笑)やっぱりインベントリーの問題もありそう・・。
今回、AIとスタイリストによるパーソナルサービスがどんなもんか気になって試してみましたが、結果はかなりがっかりでした。
同時に、自分の服の好み、自分が思ったより意外とはっきりしてるのかもなぁ、と気がつき、だったらこんなサービスに頼るより、Pinterestでピンした服を買えばいいじゃん、という結論に至り、結局その中から数件買ってしまいました。ははは。
3ヶ月後、春物が来た時のアップデートはこちら: