ギリシャに来る観光客は、アテネにはせいぜい2日ほど滞在し、あとはさっさと島巡りに行ってしまうらしい。そんな観光客でも、ギリシャで必ず行くところといえば、アクロポリス。例のパルテノン神殿が乗っかっている丘だ。
アテネの守護神アテナを祀ったこの神殿。
しかしキリスト教徒がやってきて像をぶっ壊し、次にイスラム教徒が弾薬庫代わりに使ってまるで漫画のように間違えてどっかーんと爆破してしまい、さらにはイギリス人がやってきてレリーフを引っぺがし、大英博物館のお土産に。
そんな悲惨な末路を遂げたアクロポリスも、最近は世界遺産というものに指定され、世界中の観光客がやってきてセルフィーを撮りまくる、「インスタ映えする場所」と変貌を遂げた。
この丘、日を遮るものが全くないので、行くなら早朝か夕方に行くか、それこそ大型の日傘でも持っていくか、夏は特に日よけ対策を十分しないと熱中症になりかねない。
私たちが訪れた前日にはスタッフのストライキがあったらしい。その上でっかい地中海クルーズ船がアテネに到着、船から降りてきた観光客がストなど知らずに大挙してアクロポリスに押し寄せたため、中に入るのに猛暑の中何時間も並び続ける地獄絵図が繰り広げられたらしい。
そうでなくてもサンフランシスコ生まれで暑さに弱い6歳児を抱える我が家。昼間は丘のふもとにあるアクロポリス博物館に寄って暑いのをやり過ごすことにした。
エジプトでいえばピラミッド、アテネでいえばアクロポリス、昔の人が残してくれたものがものすごい財源になっているこの国であるが、思いの他博物館は高くない。中は冷房完備で、パルテノン神殿から引っ剥がしてきたレリーフや彫刻が展示されている。
奈良京都同様アテネでもどこか掘ると何か出てくる、それも紀元前ずいぶん前の下水道とか立派なもんが出てくる。地下鉄駅にもここを掘ったらこんなん出ました的な展示が結構あった。
博物館の入り口付近も、発掘した上にガラスをかぶせて上を歩けるようになっている。下で働いている人からは上が見えないようになっているかは不明。
博物館の中はというと、アクロポリスからはがしたり取り出したり持って降りてきたりした石の彫刻だらけである。これはもしかしてずいぶんつまらないのでは・・と危惧したが、ギリシャ神話マニアとなった6歳の娘が予想以上に大フィーバーした。
子連れでここに行く人がいたら、特にお勧めしたいのが、受付で「ファミリーバックパック」というのを借りること。
http://www.theacropolismuseum.gr/en/content/family-programs
IDと引き換えに貸してくれるのだが、中には子供向けのちょっとしたゲームやアクティビティキットが入っている。私たちが借りたのは「アテナちゃんを探せ」的なセット。中に地図とステッカー、カード、アテナの着せ替え的なものが入っている。カードに書いてあるアテナ像を博物館の中で見つけたら、地図にそのステッカーを貼っていくのだけれど、まあ面白いほど色々なサイズ、デザインのアテナがいるもので、子供は嬉々としてアテナ像を探し回り、思ったよりもずいぶん楽しかった。
というか、以降もヘルメットの形だ何だで、小さいさんはどこへ行ってもアテナを目ざとく見つける子供になった。ここまでハマるとは・・
修復の様子なども映像展示されている。しかしビデオは裏に繋げられたWindows XPのラップトップから再生されているものだった。そろそろアップグレードしませう(苦笑)
博物館の中はとてもモダンですっきりしていて気持ちいい。写真撮影は一応禁止らしいが、博物館の内観を撮影して注意される人はいても、なぜか展示物を撮影するのは怒られない。時々手持ち無沙汰な学芸員の人がウロウロ歩いていると思うと近づいてきて「何か質問は」と聞いてくる。聞くと聞いた以上の雄大な情報を教えてくれるが雄大すぎて忘れてしまった。
この他にもレゴで再現したアクロポリスの展示もある。色々な時代の人達がアクロポリスに登ったり、ふもとの劇場ではエルトン・ジョンがコンサートをしていたりとなかなか楽しい。これは今年いっぱいの展示のようです。
とても普通の観光案内日記になってしまった。