愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

2017子連れおギリシャ旅㉑アテネで出会った人々

クレタ島からまたアテネに戻り、今度はまた別の地域のアパートに滞在した。

旅行者である私達が出会ったり話をする機会がある人々は、だいたいがサービス業や観光業に関わっている人たちに限られる。

そうでなくても経済が大変そうなギリシャにおいて、みなさんどのように生活しているのか気になるところではあるが、不動産を持っていてAirbnbでいい値段で観光客に貸しているような人達は、勝ち組というか、良いほうなんだろう。

アテネ滞在前半にアパートを借りた人は、家族が長年持っているアパートがいくつかあって、それを貸し出している。掃除などは彼のお母さんとその友達が引き受けていてある意味ファミリービジネス。

滞在中、アパートにおいてあった折りたたみ式のクリブを他で使うからと、このお母さんと友達が取りに来た。英語はほとんど喋らないこの小さなギリシャ人のおばちゃん達。クリブのたたみ方がわからなくなって、私達が助けてあげた。

今となってはなぜかよくわからないが、この友達のおばちゃんはクレタ島の出身なんだとか、泊まっている時にお邪魔してしまって申し訳なかったとか、色々話が通じていたのはなぜだったんだろう。

子供のこともえらく可愛がってくれて、帰り際にはまるで久しぶりにあった親戚のおばちゃんとお別れするかのようなハグをしてくれた。

アテネ後半泊まった宿のホストの兄ちゃんは、雨が降りそうだからと一瞬傘を持ってきてくれた時にしか会わなかったが、彼も何軒か物件を持っていて、掃除などはフィリピン人のおばさんがやっていた。

景気が悪いとはいってもフィリピン人のゲストワーカー的な人は時々見かけた、特に高級住宅地などで見かけたのはやはりお手伝いさんなどで雇われているのだろうか、アジア人の女性一人歩きはだいたい出稼ぎの人のようだった。時に子連れの人もいて、子供達がすれ違う時にお互い凝視していた。

私達は家族でフラフラ歩いているとアメリカ人観光客という感じで見られていたが、私が1人で買い物に出ると途端に空気感が違うように感じたのは、多分もしかしたら出稼ぎの人だと思われてたのかもしれない。

毎日歩き回るのもずいぶんばててきて、後半のアテネはあまりガンガン出歩かなかった。アパートの近くにギリシャ語、英語、フランス語などの書籍を扱う本屋があったので、読む本を探しに立ち寄る。

店主のおばさんは本も買わないうちからコーヒーを出してくれ、フラッと店に入ってきた一人旅だというオーストラリア人のにいちゃんも巻き込んでのおしゃべり大会に発展した。

このおばちゃんはお父さんがフランス人、お母さんがギリシャ人で、何かの技師をしていた父親の仕事の関係でベネズエラだかどこだかにいたのだそうだ(数ヶ月前の話なのにもう忘れてしまった)。

その後フランスに戻ったが、政治的にもワチャワチャしていた当時のフランス、母親が生まれ故郷に戻りたいとギリシャに移ったのだとか。

当時のギリシャとて軍事政権だ何だと色々ややこしい時期だったとは思うが、それでも今の経済危機は今まで色々あった中でも前代未聞、一番大変だと言っていた。

観光客が歩き回る範囲でのアテネの街ではそのインパクトがあまり見受けられないという感想を持ったが、ギリシャ人は誇り高いので、例え貧しくてもそれを外に見せようとはしない部分もある、とのことだった。

そして何より夏はギリシャ経済にとっては観光客が見込める掻き入れ時。一年の間で今が稼ぎ時、そして太陽が昇ればその日差しが全ての問題を溶かしてくれる。でもこれが日が短く暗い冬になると、状況はまた変わるのよ・・とのことだった。

若い人達はこんなご時世でも、夏に稼いだお金を後先考えずにパーっと遊びに使ってしまうのだと言っていたが、閉塞感があるのであれば余計そういう方向に走ってしまうのかもしれない。その遊びというのがコーヒー飲んだり踊りにいくことらしいので可愛いものだが、クレタ島の宿の横のレストランの若いスタッフが、朝5時ぐらいまでワイワイやっていたのを思い出した。

そんなおばちゃんは「そんなことよりあなた達の国は大丈夫なの。これからどうなるか心配よ。これからも近況を教えてちょうだい。Facebookで繋がりましょう」

経済危機の国の人に心配されてしまうようになってしまったアメリカよ。

あとでもらったアドレスを見てみたらこのおばちゃん数百人規模の友達と繋がっていた。まあちょっと店で会った人にプライベート晒す必要もないし友達申請は見送った。旅のご縁とか人との繋がりとか言うかもしれないが、なんとなくそういうところはドライになってしまうのであった。

子供も大人も本を抱えて近くのカフェで涼む。ここでもギリシャの親父達が集っている、店主もその輪に入って一緒にワイワイやっている。

「君たちギリシャは初めてかね」「2回目です(旦那だけ)」「戻ってきてくれたのか、嬉しいね、ギリシャへようこそマイフレンド」

どこまでもお上手なおじさんであるが、リピしていると聞くと嬉しいらしい。旦那は感動屋なので、すぐにテンションが上がってギリシャが好きだ、ギリシャ料理は最高なんだ、ギリシャの海は素晴らしいと心から言うのでさらに喜ばれる。

クレタ島ではカフェに親父ばかり集っていて、ギリシャのおばさん達はどこで何してる、と思ったものだが、ここではちょっと上品な老婦人がたも集まって、皆でワイワイ編み物をしていた。

アテネの結構良い住宅街のカフェで、こうやって集えるご老人たちはどういうバックグラウンドをお持ちなのだろう。経済危機のギリシャとはいえ、私達の行動範囲内で見かけた物乞いの人達が老人ばかりだったのを思うと、ついつい気になってしまった。