ロンドンに帰る便が早朝だったので、前日から品川に移動した。
日本滞在もあと1日と思うともうなんとも言えない気分になって、午前中からホテル周辺を散策。
高輪方面は、今まで用事もないので品川駅周辺以外は行った事は無かったが、駅から西のほうは結構高低差のある、昔ながらの住宅街だった。歩いていると、なぜこんな所にチューダー朝風の家が?!といった感じの洋館があったり、狭くて坂の多い道を高級スポーツカーがガロガロ1速で走っていたりもした。
あちこちに灯篭があった。住宅街の中にもう入りこんでしまっているものもある。一体何だろう。ブラタモリがしたくなるなあ。
そろそろ引き返そうかな、と思うような路地に入り込んだら、お地蔵さんにぶち当たったりするのも良かった。
そんな高輪の坂道にチョークの粉で印をつけている西洋人2名に遭遇した。思わず「あなたたちはもしかしてハッシャーですか」と声をかけるとまさしくそうであった。
ハッシュハウスハリヤーズという世界中にあるジョギンググループ、大昔に少し参加していたことがある。チョークの印を辿りながらジョギングするというグループである。ここらへんは確かに、いかにもハッシャーが好みそうな高低差ではある。
ハッシャーは走りながら酒を飲んだりもする。そして走り終わると皆で色々と下品な歌を歌う。考えたらこのグループ、マレーシアにいた英国人がもともと始めたはず。これはいかにもイギリス人がやりそうなことだ、というのはイギリスに越してきて感覚として妙に納得した部分がある。
それにしても、遠い過去の存在になっていたものが急に眼の前に現われてなんだかとても不思議な気持ちになった。2人はOn-on!といって去って行った(わかる人にはわかる)。
高輪にはたまたま先祖ゆかりの寺があるというので、そこにも寄ってみることにした。
ここを宿舎に使って仕事をしていたことがあったとの事。
何か看板があったので近づいてみて驚いた、この寺は幕末、英国公使館としても使われていたとのこと。オールコックがここに詰めてたんだ。数年前だったらへー、としか思わなかったと思うが、たまたまロンドンに住むようになったので、あれまぁ、という感じであった(先祖の仕事とは直接は無関係)。
今は建物が立て込んでいるが、昔は品川駅あたりが海岸線だったようで、この高台からお台場がよく見えたんだろう。
境内には軽トラックが止まっていたけれど人の気配はなく、建物の中に入れるような感じでもなかったので、中庭をぐるっと歩いて帰ってきた。色んな偶然があったものだ。