愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

奈良・恐怖の館へ潜入!


関東暮らしが長いが、私の家族は全員関西出身。休暇中は、前々から関西に行こうと計画していたのに、絶妙のタイミングで豚インフルが関西中心に流行ってしまった。「せめて北海道か日光にしたら」「吉本なら東京でも見れる」「阿修羅も今なら東京で見れる」などと心配した家族にいわれる始末。しかし、世界一うらやましい職業を持つアンソニーボーデンの旅番組で、彼が大阪で粉もんやら串かつやらを食べている姿を再放送も含め何度も見ていた旦那は、「オーサカでクイダオレーがしたい」という希望をもっており、また運良く?京都などには何度も足を運んだことがあったので、今回は京都ははずして何とか親を安心させ(そういう問題?)、奈良・大阪へ行った。


以前、「シンカンセンに乗りたい」という旦那の強い希望で、東京から新横浜まで乗せたことがあるが、今回は「10分以上乗っていられる」とご満悦。昔は夏になると、弟と二人で新幹線に乗り大阪の祖父母の家に行くのがちょっとした冒険だったが、オトナになってすべての縮尺が変わってしまったのか、ひと寝入りしたら味気ないほどあっという間に京都についてしまった。新幹線で安倍川もちやわさび漬けやアイスクリームを買おうと思ったのに、売りにもこなかった。今はコーヒーとサンドイッチぐらいしかないの?


京都から近鉄で奈良に向かう。関西と関東では、電車の感じがなぜにこうも違うのだろう。それが通勤電車であっても、なんだかほわーんと、のんびりとしたやわらかい感じがする。駅も小さくてこじんまりしているからかもしれない。関東に引っ越す前、京都に住んでいた。最寄だった丹波橋の駅の近くに踏み切りがあり、なぜか母が近所の人と踏み切りのど真ん中で立ち話をするので、踏み切りが降りてきて電車が来たらどうしようと、恐怖に打ち震えていたことを思いだす。当時は非常に巨大に見えた踏み切りだったが、30年ぶりぐらいに丹波橋の駅を通過してみると、そこにあったのは車が1台通れるかどうかというとても小さな踏切だった。3歳児の記憶ではすべてが10倍ぐらい大きく見えていたのだろうな。


近鉄奈良駅の近くの奈良ホテルに泊まった。興福寺東大寺にもほど近い、創業100年というふるいホテル。皇室の皆様方がお泊りになるところでもあるらしい。概観はこんな感じ。寺ではない。


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ここに黒塗り、シートにはレースのシートカバーがついたような車が乗り付けてくる。地元のロータリーやライオンズクラブの親父達が会合をする。インテリアは全体的に、黒い皮のソファに、レースで作った敷物の上にクリスタルの灰皿がおいてありそうな勢いで、吉田茂華麗なる一族でも出てきそうだ。フロントには古い金庫、ドアマンの兄ちゃんはそれこそ明治の御代から使っていそうな木製の小さな手押し車に荷物を載せてカラカラと運んでくれるが、エレベーターがないので階段にさしかかると、荷物を下げて階段を登ってくれる。壁には徳の高い昔の誰かが民に施しをする図とか日本画が所狭しと吊ってある。天井が異様に高く、ヒノキの古いにおいが漂っている。お部屋もこんな感じ。100年間の間にどんな人が泊っていったんだろう。


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昔からのたたずまいが残る旧館のほうの部屋を予約。とても雰囲気があるお部屋なのだけれど、夜は廊下が薄暗くがらーんとしていて、部屋までたどり着くのが結構コワイ。犬神家の一族でも出てきそうな勢い。そんなことを考えながら旦那と廊下を歩いていたところ、曲がり角にある支度部屋からタオルを抱えたボーイさんがぬっと登場。「ひっ!!」と恐怖の声を上げたのは、旦那のほうだった。


併設のレストランで、夜は結構な懐石料理(フォークとナイフで寿司を食べる外人を目撃!)、朝は大正時代のメイドさんのようなユニフォームのお姉さん達に茶粥などの豪華な朝食をサーブしてもらって、お一人一泊1万7千円は結構お得かも。