愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

イスラエル⑨ これは奇跡だわ!

キリスト教エリアとは別にあるアルメニア地区も、アルメニア教会がたくさん建っていますが、もう少し住宅地っぽい感じでもありました。市街の壁にはいかにアルメニア人が歴史的に迫害されてきたか、ソ連による虐殺の写真とかがどーんと張ってあったりします・・・。このエリアにある、小さな教会St.Marksに立ち寄ったら、ミサをしている最中で、教会の人が招きいれてくれました。


Syrian Church


20人も入るかという小さな教会には、男性ばかり10人ほど。黒装束と水球の時にかぶるヘッドギアみたいなのをかぶった、ラスプーチンのような「坊さん」が前に座っていて、一番前の座席に左右4-5人ずつ、近所のおっちゃんや10歳ぐらいの「檀家のひとたち」みたいな感じの人達が並んでたっていて、お祈りの歌のようなものを歌っています。ほんとに近所に住んでいて、時間になるとふらっとやってきたのだな・・・という感じ。みんなファイルにある歌詞を見ながら歌ってるのですが、これがまた、私たちが聞きなれたいわゆるキレイな「賛美歌」というよりは、もっと土臭い、ちょっと単調なお経のような、民族的なメロディでなんともいえない雰囲気でした。


まず左のグループが歌うと、次に呼応するように右のグループが歌います。伴奏も何もなし、最初は何かみんなが違う音程で歌っているので、はもろうとしているのか?と思ったのですが、ちょっと聞いていたら6割ぐらいの人が単に音痴で、好き勝手な音程でがなっているだけだということがわかった・・・(笑)。でも一人小学生ぐらいの男の子でよく声の通る子がいて、彼の歌声を聞いているうちに何とかメロディを確認することができました。ブログに楽譜はかけないけど、「どれみーみみっみみみみみれ、しどれ、しどれーれれっれっれれれふぁみ、みふぁれみど」っていう感じ。こういう単調な音の連続が延々続き、とても不思議な雰囲気、でもなんだか地元の小さな神社で氏子だけで何かやっているのにちょっと混ぜてもらったような、とてもアットホームな感じのミサでした。


ではちょっと失礼して・・・と外に出ようとしたら、後ろに座っていたおばさんが、もうひとつのチャペルも見ていく?と聞いてくれたのでお言葉に甘えて見せてもらいました。これもまた7畳ほどの小さなチャペルで、彼らの古代の王様が馬に乗ってるイコンなんかがありました。アルメニア地区にあるこの教会、シリア正教会なんだそう。さっきのお祈りの歌も、キリストが話していたといわれるアラム語で歌っていたのよー、とのことで、より原始キリスト教に近いんでしょうか。おばちゃんもイラク出身なんだそうで、ヘブライ語はできないのだとか。彼らの祖先の王様がどうやってキリスト教に帰依したかの言い伝えなどを英語で教えてくれました。


私たちはふん、ふん、と聞いていたのですが、おばちゃん、一瞬私たちの顔をしげしげとみた後、「神様が降りてきて、奇跡を起こすことがあるのよ」と急にいいだすではないですか。はぁぁ・・・と思って聞いていたら、「ある時ロシア人の人がこの教会を尋ねてきて、1時間ほど神について話し合ったことがあった。そして1年ほどしてから、その彼がまたこの教会に来てくれたのだけれど、不思議なことに二人の話が通じない。なぜなら、彼はロシア語しか話せないというではないか。でも前にここに来たとき、私は彼と英語で1時間も話し込んだはずなのに。英語がわかるロシア人の通訳でようやくわかったのは、そのロシア人は、逆に前回会ったときにはふたりでずっとロシア語で会話をしていたのに、なぜ今日あなたは英語で話すのだ、というではないか。これは何たる不思議なことだ、これは神様が降りてきて二人の間の言葉を通訳してくれたに違いない・・・」とな。


急に脈絡のない話だったので一瞬驚いたものの、あーもう、おばちゃんあなたの思考回路が手に取るようにわかったよ!アジア人の顔をした私たち夫婦が、おばちゃんとこうやって英語で話をし、夫婦間でも英語で話しているのを聞いて、二人は今きっと中国語を話しているはずなのに、また神様が降りてきてくれたんだわ!とか思ってるのだな・・・・。お賽銭をおいて教会を出ましたが、出るときにいきなり日本語で話しかければよかった、惜しいことをした。