愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

室内楽 またまた始めました

キーのガタなど色々放置していたのを治してもらい、心機一転久しぶりに自分が一番得意なものを一生懸命やろう、と再開したフルート(小学生の時から始めて、オーケストラやマスタークラスで演奏する程度には出来る!)

1人で練習したりレッスンを受けるのはだいぶ頭打ちな感じになってきたし、やはり一緒にやる仲間がいる方が楽しいので、今期は久しぶりに室内楽のワークショップに参加してみることにした。

今までも、2日間の短期集中型ワークショップに何度か参加したことがあったけれど、今回サインアップしたのは、地元の音楽学校で3ヶ月に渡って取り組む長期決戦型のもの。

一応名ばかりのオーディションがあり、こちらの希望も述べると、それに合わせてメンバーと演奏する曲を選んでくれる。14組ほどの室内楽グループが出来上がるということなので、なかなかその作業も大変そう。

今回私が希望したのは、

  • 管楽アンサンブルはもうやり飽きたので、弦とやりたい。
  • 演奏してただできたね〜楽しかったね〜で終わりたくない。ちゃんと曲に向き合って、深く分析しながら表現を掘り下げるなど、向上心のある人達と組みたい。
  • 先生もベリーグッドだけでなく厳しくはっきり言ってくれる人希望。
  • 曲はロマンスか近代曲希望。

こういう希望を述べるに至った背景は色々あるのだが今回は割愛。

そしてアサインされたのは、ピアノとバイオリンとのトリオ。曲はイベールの2つの間奏曲。

イベールさんは1960年代までご存命だったおフランスの作曲家。結構有名なフルートコンチェルトも書いていて、他では知らんがフルート界では超有名な存在。私も以前マスタークラスで演奏したことがあった。

カチャカチャごちゃごちゃウィットに飛んだ感じの作風なイベールさんだが、新しくもらった曲はそれに比べると緊迫感は少ない、ほわ〜としたシンプルな感じの曲。フルートは長音が多くて物足りない感じもし、う〜んこれを3ヶ月も演奏し続けるのか、一体どんなメンバーが集まるんだろうと、多少不安に。

結論、今までにない良いメンバーだった!

ピアニストもバイオリニストも私よりずいぶん年上のおばさま達だったが、初見の合わせからバッチリ!!!!!

バイオリンがリズムで多少引っかかる部分もあったものの、もう基本の形は出来上がった!!!早速細かい表現の調整に突入。

先生はクラリネットの先生で面白いジューイッシュのおっちゃん。本当に「オイ・ベイ!」とか言うし、フルートとバイオリンが並行するフレーズは「ここはJudeo-Christianの衝突と融合がうんぬんかんぬんな気持ちでぇ〜」などと真顔でわかりづらい冗談を言うので吹き出してしまったりとなかなか楽しいレッスンだった。

そして何よりも、初対面の人達なのに、やはり同じ方向を向いている人達だからか、すごく話しやすくコミュニケーションがすっすっと取れたのもすごくすごく嬉しかった。自分も得意なことをやっているからか、すごく自然体でいられた気がする。

それでもこれ、あと1−2回さらったらもう出来上がっちゃって、飽きてしまうのではないかという心配も無きにしもあらずだけれど、これからさらにどう進化していくのか楽しみ。

バイオリニストの人も、私同様しばらく楽器を触らない時期があり、最近演奏を再開したとのことで、特に大人の生徒に対して本気で取り組んでくれる先生を見つけることの大事さ難しさについての意見が完全に一致した。

大人の生徒は趣味でなんとなくだらだらとやる人も多いから、きちんと一緒に目標に向かってプランを練って、システマティックに向上していく手助けをしてくれる先生、ってかなり貴重なのです。

早速曲の背景もリサーチして皆と共有したらノリノリで喜んでくれた。やっぱりみんな同じ方向を向いてるみたいで嬉しい。

ちなみにこの曲は間奏曲、という形になっているが、実際にイベールが“Le Burlador”という戯曲の間奏曲として書いたものだそう。スザンヌ・リラールという1990年代まで健在だったベルギーの女流作家によるこの戯曲は、プレイボーイとして有名な「ドン・ファン」の話を女性視点で描いたもので、深い心理分析を含むもの、らしい。

一曲目はフランス風のメヌエット的なもの。二曲目はもっとスペイン風味が入っていて格好いい。バイオリンのメロディの方がずいぶん格好良くて美味しい。フルートの旋律は、演奏しているとだんだん大河ドラマのオープニングみたいな気分になってしまう(苦笑)

そしてこの曲、もともとフルート、バイオリンと、ピアノではなくハープシコードまたはハープの組み合わせで書かれている。実際に演劇の舞台でこの曲が演奏されている情景を想像すると、確かにハープシコードやハープのほうがかなりしっくり来る。

学校にハープシコードがあるというので、ピアノではなくてそちらでできないかと相談中。それも楽しみ!

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ハープシコードでの演奏。幕間にこの曲が鳴って、その間に幕の後ろで舞台上のセットや役者がガタガタ動くところを想像してしまう。そして多分この戯曲をやる小屋は小さめ。(学生時代演劇もやってました・・)

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ハープのバージョン。ハープが音符を刻むのがかっこいい二曲目。そしてバイオリン(この人はヴィオラでやってるみたい)がソロでひく旋律のセクシーな格好よさ。



以下は自分用メモ

  • ネットでダウンロードできる無料の楽譜は小節番号がついてないのでみんなで先にふっておく
  • 旋律スローな割にフォルテや長音が多い、なるべくワンフレーズ息継ぎなしで吹き切れるように肺活量を鍛え直す(しばらく楽器を触っていなかった+ジョギングもやめて数年、やはり肺活量ががくんと落ちていて驚愕)
  • 装飾音的に表現するところと、その中間的表現をするところあり
  • バイオリンとの旋律のからみはわかったがピアノの音も理解する
  • 舞台で演奏する時の演出方法、皆が楽譜に顔を埋めることなく、視線を合わせて「アンサンブル」してる感をもっと出したい
  • 低音Cの出だしに弱い、低音がかき消されないように音出し練習必須