愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

微熱の日の風景


しんどくて会社を休んだ。疲れと寒気と微熱で頭がぼーっとする。誰かが台所の冷蔵庫をばたんばたんと開けたり閉めたり、ダンナが珍しく「退屈だといけないからファッション雑誌を買ってきてあげたよ」と袋に入った雑誌を持ってきてくれたと思ったら、急に母親が私の会社に就職することになった、という連絡が来たり・・・えー何それ!と思ったらそれは全部夢だった。午後まで寝て、今度は寝すぎで体が痛くなったので起きて、家に何も無いので買い物がてら外に出た。ちょっと調子が悪くてぼわーんとしているときに、外界の空気に触れると、なんだか別世界をふらふらしている感じがする。久し振りに昼間に近所を歩いたら、相変わらずわいわい買い物をしている人、店に荷物を運び入れている人、昼から飲んでいる人・・オフィスとは違う活気が広がっている。ちょっと地元のアーケード商店街の賑わいのような感じで、小市民の生活が繰り広げられている。


オープンカフェでは、口の周りがまっ茶色に汚れた短髪のマルチーズを膝に乗せたおっちゃんがぼーっとコーヒーを飲んでいると思えば、小雨だろうが風が吹こうが、防寒着と皮の手袋をはめて外で蛍光ペン片手に本を読んでいるいつものおじいちゃんもいる。ここらへんに常連のホームレスも相変わらずうろうろしている。この人達は昼間から一体何をしてるんだろう・・・と思いつつも、自分も数ヶ月前まではこの中にいたのかと思うと少し懐かしい。


近所のオーガニックのお店で野菜やらをしょぼしょぼと買い込んで家路につくと、うをー近所の空から黒煙がもくもくあがってる!火事だ火事だ。4階建て木造アパートの最上階が燃えている。あっという間に・・・というよりは後から後から消防車が8台もやってきた。消防士が屋上から非常階段を伝って4階に降りて、ガラスをバリバリ割っている。中にも消防士が居るみたいで、懐中電灯の光がちらちらしている。消防士は30人は来ていたと思うけれど、実際に稼動していたのは半分以下。てきぱきと、というよりは緩慢な動きでうろうろ、うろうろと何かしている(あの装備はかなり重いらしい)。隣のアパートの窓から顔を出した消防士は、アパートに据え付けてあるらしいホースを窓から投げてきたけれども、結局使わなかった。


小雨が降ってきて、アパートの住人らしき人達は黄色いビニールシートをかぶっている。誰も危ないからどきなさいとも言わないので、野次馬はみんなプライム・ロケーションを陣取って手に手にデジカメを持って火事の様子を激写している。中には一眼レフの人、そしてどこからか写るんですを買ってきてまで写真を撮っている人、ビデオカメラまで回している人も。頭上をヘリコプターまでばりばりと飛び始めた。煙も収まったし、スーパーの袋を持って風邪の人が小雨の中を火事現場にぼーと突っ立っていたので余計寒くなって来たし、何しろやはり被害にあった人を見ていたら気の毒になったので、家に戻って、買ってきた葱を全部刻んでうどんに入れて、FBI捜査事件簿みたいな番組を見ながら食べた。