愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

白洲正子自伝:白洲 正子

白洲正子自伝 (新潮文庫)

白洲正子自伝 (新潮文庫)

白洲正子という人がどういうことをした人なのかは、この本以外を読んだことが無いので実はよく知らない。でもこの自伝は、ことあるごとについ手にとって読んでしまう本の一つ。彼女の生い立ちはあまりにも一般とかけ離れすぎていて、お手本として読もうなんて思ってはいけない。でもその違う世界が嫌味なく書かれていて、ただただ「すごいナァ」と感心して読んでしまう。過去はふりかえらないから、自分ほど自伝を書くのにふさわしくないものはいない、それに今までおめおめと生きてきたことを恥を忍んで書く・・・、というご本人の言葉どおり、自分のゴージャスライフをハナタカダカに細かに語らず、逆に古典やお能の話に飛びまくるのもなぜか好ましく思った。お能を習うのはたしなみとして普通であった、なんていわれるとへぇぇ、と思ってしまうが、あまり自分の知らない古典の世界を、ロックミュージックに陶酔するのりではまり込んでいた人の筆を通じて知るのは楽しい。恵まれた人だったんだなぁとは思うけれど、必ずしも彼女と同じ境遇にいた人がこうだったというわけではないだろう。お尻の重い自分にとっては、思い立ったらすぐ行動、受け売りではなく、自分の目で見て、感じたことを書く、という、自分がやってみたいと思っていることを実現した彼女はかっこええ、と思った。