愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

イスラエル⑫ 正田さん

エルサレムから少し足を伸ばして、死海へ!死海というと、水に入っただけでぷかぷか浮いて、水に浮いたまま新聞が読めちゃうという、あれです!イスラエルに来るときこの死海に行くのを一番楽しみにしていました。実は最初、死海まで行くのにレンタカーを借りようとしていたのですが、レンタカー会社に予約をいれてみたところ、規約に「西岸、ガザ地区では運転しないでください云々」という一文が。


エルサレムから死海へは、ほとんど直線で南下して1時間。でもそれは西岸沿いのハイウェイを使っての話。多分、ここで個人旅行者が道を間違えてガザ地区に入り込んでしまったり、また西岸沿いのハイウェイでは昔スナイパーが出るということもあったらしく、そんなところにレンタカーを置いて逃げられた暁にはレンタカー会社も困ってしまうのでしょう。でも西岸を避けて死海までいくとなると遠回りして3時間!それはイヤダァということで、急遽バスツアーに参加しました。


テルアビブからの参加組と合流して、バスに乗り込んだのはオーストラリアからきたユダヤ人親子、ロシア人の女の子、イギリスから来たユダヤ人家族、フランス人の兄ちゃん、スペイン語をしゃべる一団とインターナショナルな面々。これに石立鉄男そっくりでクルクルパーマの「チャーリー」という5ヶ国語ぐらいしゃべる親父がガイドにつき、ツアーの間中、「ここで皆様のお許しを得まして死海のことについて語らせていただきたいと思います」という仰々しい語りを英語スペイン語で延々と聞くことになったのでした。


印象的だったのは、イスラエルの街から車で一歩外にでると、やはりここは中東の砂漠地帯なのだなぁということがいやでもわかること。だって外を見ても何もない!あるのはただ、ここは月の表面?というような色の岩ばかり。スターウォーズの撮影に使えそうな感じです。そこにとつぜん、ユダヤ人が入植して作ったオアシスがぽーん!と現れたりするわけです。


そして恐るべしは、その何もないハイウェイ沿いに住んでいるベドウィンの人達。ガイドの鉄男が「これはベドウィンのキャンプでございます」と指差したところは、ハイウェイ沿いに建てられた、トタンで出来た、文字通りの掘っ立て小屋の群れ。新宿の段ボールハウスとあまり変わらない様相のところで、おばさんが洗濯物を干していたり、離れたところにロバの死体が転がっていたり、ラクダがぼっさーと立っていたり・・・。日陰になる場所もない、緑もない、照りつけるような場所にトタンで建てた家は暑くないのか?水や食料はどこから確保しているのか??これが彼らのライフスタイルだとは言うものの、近代的な暮らしをしているエリアから少し離れたところにいくと、本当にデジタルの「0」「1」のようにまったく異なる世界がぼん!と出てくることがあまりにもシュールすぎて、一瞬どう理解していいのかよくわかりませんでした。


死海に行く前に、古代都市マサダに寄りました。断崖絶壁の上に立っている要塞都市は、旧約聖書にも出てくるそうです。ちょっと、2番目のロードオブザリングに出てくる街みたい。1世紀頃作られたこの都市は、ローマ帝国に攻め込まれて滅びてしまいます。ローマ軍の兵隊はマサダの周りにキャンプを作り、そこからカタパルトでもって大きな岩とかを投げて城壁の扉に穴を開け、そこから攻め込んだのだとか。しかしローマ軍がマサダに入ったとき、街はしんとして人の気配がない。街の住人は奴隷になるくらいならとみんな自決したのだとか・・・ちょっと日本の時代劇のような?話ですね。


ここはとてもキレイに整備されていて、ケーブルカーで上まであがります。ケーブルカーに乗り込む前にはちょっとした歴史ドキュメンタリーも上映されました。奴隷になるくらいなら自決を選んだというこの言い伝えをイスラエルの人はとても大事にしていて、こういう目には二度と遭うまい、という気持ちが強いらしく、民族のシンボル的な場所でもあるみたい。ドキュメンタリーもちょいとプロパガンダチックでした。マサダには、ちょっとした舞台のようなプラットフォームが作られていて、イスラエル軍に入るとここで誓いの儀式のようなこともするらしいし。でもこの言い伝え、どこを掘っても大量の死体は出てこないし、本当はちょっと眉唾の部分もあるらしいですが。



でもローマが攻めてきたのは本当。いまだにこうやってキャンプの跡が残っている!ローマ人は建築の達人だったのでしょうね。


Roman camp


周囲は何もなく、太陽が照りつける。四季や自然があふれる日本だと、周囲の色々なものに神を見出すことができるかもしれないけど、こんな苛酷な環境にいたら、やっぱり命をゆだねる神様はただひとつ!とか思っちゃうような・・・


View from Masada


マサダの鳥。やはりこのような環境だと、観光客に愛想を振りまいて餌をもらうのが一番簡単ということを心得ていて、これは至近距離15センチで撮りました。id:Tpong先生〜!お呼び出ししてすみません!これはやっぱり砂漠の鳥なんでしょうか?


Bird