愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

日帰りバース旅⑤:ロイヤルクレセント

石造りの建物が途切れることなくだーっと続いている街並みを歩いていると、ああ、ヨーロッパにいるんだなぁ、という気持ちになる。

バースは世界遺産として、街並みが保存されているのもあって、ロンドンを歩いている時よりもさらに「ヨーロッパ感」があったような。街角から馬車でも出てきそうな、それこそジェーン・オースティンの時代の服装の人が歩いていても全然おかしくないような。

そんなバースの中でも、目を引く建築物ふたつに寄ったのが、旅の締めくくり。ザ・サーカスと、ロイヤル・クレセント。

ザ・サーカスはご覧の通り、円形の道路に沿って建っているタウンハウス群。

真ん中は緑地になっていて、それをぐるっと囲む形で三つのタウンハウスが建っている。1768年に完成したこの建物、ストーンヘンジも参考にしたらしい。中はどうなっているのかな、壁に微妙にカーブがあると、家具を置いたりするのが大変そう。

ここからさらに西に向かっていくと、今度は半円の弧を描く、ロイヤル・クレセントに着く。

設計したのは、ザ・サーカスを設計したジョン・ウッド、の息子のジョン・ウッド。ザ・サーカス建築中にお父さんの方のジョン・ウッドが亡くなり、その後息子のジョン・ウッドが後を継いだらしい。どっちにしても、ジョン・ウッド。

途中坂があって歩くのが大変、と他のブログに書かれていたが、サンフランシスコに住んだ身には、どこに坂があったのかさえわからないぐらいの高低差だった。でも確かに少し高台にあるので、目の前の広大な緑地、そしてそこから見下ろすバースの景色が何とも綺麗。

携帯カメラではうまく収められなかったけれど、今も人が住むこの建物を一目見ようと観光客がぞろぞろやって来る。

昔のバースは冬の間に貴族やお金持ちが集う場所だったそうで、この建物も、そういう人たちのいわば別荘のような形で使われていたみたい。何とも贅沢な。

その後は一部ホテルになったりしたらしいけれど、今では一般の住宅と、一部博物館になっている。どんな人が住んでいるんだろう。とはいえ、観光客が自分の家の周りをウロウロしているのは、ちょっとイヤかな(それこそサンフランシスコも、家の周りがそんな感じではあったけれど)。

建物の一番端が博物館になっていて、当時のインテリアが再現され、暮らしぶりがどんなものだったのかがわかる。

客間、家族の間、それぞれの寝室など、部屋数は思ったほど多くない。でも外から見るよりも中の天井はとても高くて、玄関や階段のスペースも大きくとても立派。「タウンハウス」じゃなくて立派なお屋敷。

それぞれの部屋にはいかにも地元のボランティアっぽい感じの年配の人がいて、説明書きを渡しながら色々説明してくれる。後で見てみたらだいたいそこに書いてあったことを話していた。

寝室数などは少ないかもしれないが、ここにさらに召使が控える小部屋や、使用人のための場所、広い広いキッチンなども地階に広がっている。金持ち家族が生活するだけで、どれだけの経済が回っていたことか。これは生活を維持するのにお金がずいぶんかかっただろうなあ。

建物自体、改装して再現してあるからか、昔の建物にある古い匂いが全くしない。実際新築当時ここに住んだらこんな感覚だったんじゃないかな、というのが逆に感じられたのが新鮮だった。

この建物、キーラ・ナイトレイが主演した映画「ある公爵夫人の生涯」のロケ地にもなっているそう。

一つ驚いたのがこれ。使用人の食堂にあった展示なのだけど、昔はストーブで肉をローストする時に、こうやって犬を使って肉を回転させていたんだそう・・。

この建物では実際犬は使っていなかったそうだけれど、当時の風習として参考に展示しているとの説明だったけれど、昔はこういう犬を2匹ぐらい飼っていて、1−2時間交代でこういう滑車に乗せていたそうだ。働き手なので、大事にされていたとはいうが、火に近いので熱いし、かなり虐待風なのでやはりある時から禁止されたとか。

バースで不動産を持った皆さんへの、維持や修理に関するガイドブック。何しろ世界遺産なので、好きなように建物に手を入れられない。このロイヤル・クレセントでも、ドアの色を塗り替えて問題になったりとかなり細かいみたい。やはりそういうものにコミットする覚悟と資金がないと、こういうところには住めないですね。

取り替えるよりは修理を、建物の歴史をまずは理解しましょう、歴史的な建物に理解のある、できれば認可済みのコントラクターを使いましょう、建物の景観を損ねない増築を、オリジナルにマッチする素材や色を使いましょう、などなど・・。

さてこういう博物館に行くと、必ず子供向けのキットが用意されていて、この部屋でこのアイテムを見つけよう!などと子供も飽きずに楽しむことができる工夫がされているのが、とても良い。

今回も各部屋に回って、指定のアイテムを見つけることができた小さいさん。全部見つけたことを売店のおじさんに報告すると、ご褒美のシールと鉛筆をいただいた。

どこから来たの、何年生、などと話をしていたら、このおじさんが40年前ロンドンの大学に行くために、うちの隣町に住んでいたことが判明。おお、と盛り上がっていたら、展示を同じようなタイミングで見ていたゲイのカップルが、実はうちの近所に住んでいることもわかり、東京から静岡ぐらい離れているこの場所で、なんとも奇遇なとこれまたびっくり。

ご覧の通り街は人で溢れかえっていたけれど、この時期はクリスマスマーケットも開かれていて、とても良かったバース。できれば日帰りじゃなくて、もう少し滞在してみたかった。普通の人はもう少し中心から離れたところに住んでいるだろうけれど、バースの暮らし、実際はどんな感じなんだろう。

でも1日だけでもこれだけ十分堪能できるバース、とても気に入った。